八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百八十七話 夜に入ってその十二
「神様が絶対の正義よね」
「そうじゃないと成り立たない論理だね」
「もう無条件でね」
「それってね」
「ちょっと日本人じゃ言い切れないよね」
簡単な善悪二元論はだ、けれど日本でも極端に左か右に偏ってしまうとそうした考えに至る人がいるみたいだ。
「それは」
「どうもね」
「けれどね」
「それがなのね」
「世の中こうした考えの人もいるから」
神は無条件で絶対の正義だとだ。
「それで悪魔は何か」
「そう考えると」
「神に逆らうからだってね」
「百人いたら百人の正義じゃないのね」
「この考えだとね」
神が絶対の正義とするとだ。
「そうじゃないよ」
「神だけが正義で」
「それで悪魔は悪になるんだ」
神に逆らうからだ。
「それだけでね」
「じゃあ悪魔も見方によっては悪じゃないのね」
「野党だって政権に就けば与党だし」
そうなるしだ。
「悪魔も神様の座に就けばね」
「神様になるのね」
「そうなるよ」
「正義も変わるのね」
「ナポレオンだってそうだったよ」
この英雄にしてもだ。
「エルバ島を脱出した時だって」
「ああ、百日天下ね」
「教科書にもあるけれど」
復権したけれどすぐに失脚したからこう呼ばれている。
「その時エルバ島を脱出した時は食人鬼とか言われていたのに」
「それがなのね」
「呼び名がどんどん変わって」
当時のフランスの新聞のそれがだ。
「最後は皇帝陛下だったよ」
「王政を倒してよね」
「ブルボン家のね」
フランス革命で倒れてまた復活したのだ、けれどそれがすぐに倒れた。もっと言えばナポレオンの百日天下の後でまた復活した。
「それで皇帝に返り咲いて」
「その時は皇帝陛下って書かれたの」
「正義はその都度変わるよ」
百日天下の後ナポレオンはまた否定されて第二共和制になってまたしても敬愛される立場になった。
「だから悪魔もね」
「正義になるのね」
「うん」
その場合はだ。
「正義と悪はね」
「変わるのね」
「というか絶対の正義ってね」
「ないわね」
「黄金の精神はあって」
そしてだ。
「吐き気を催す邪悪はあっても」
「それでもなのね」
「絶対の正義はなくて」
それと共にだ。
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