夢幻水滸伝
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第百五十三話 勝っていく者達その十二
「是非来て欲しいぜよ」
「確かな戦力ですから」
「これ以上はないのう」
「ですから」
それでと言うのだった。
「今は待つことですね」
「待つことも戦のうちじゃな」
「その通りですね、では」
「あと少しの辛抱ぜよ」
正岡は太宰に笑って話した。
「その間はわし等だけでやってくぜよ」
「はい、しかし私は」
太宰は難しい顔になりあらためて言った。
「一連の戦で痛感しました」
「戦は、ですね」
ここで正岡と共にいた亜紀が言ってきた。
「宰相さんは」
「やはり馴染めません」
「的確な指揮だと思いますが」
隊を率いてのそれはとだ、亜紀は太宰のそれについて述べた。それは決して悪いものではないどころかそれ以上のものだというのだ。
「わたくしは」
「そうでしょうか」
「術にしてもかなりの威力で」
「そうですか」
「まあ宰相さんはやっぱり宰相さんぜよ」
ここで正岡はこう言った。
「生粋の文官で政の人ぜよ」
「そういうことですね」
「軍を動かす人ではないっちゅうことじゃ」
「戦の場で戦うよりですね」
「都で国全体の政を見て国を動かす」
政、それを行ってというのだ。
「そうした人ぜよ」
「そういうことですね」
「人はそれぞれ最適の場所があって」
「それで、ですね」
「宰相さんのそれは政ぜよ」
こちらだというのだ。
「それでぜよ」
「戦にはですね」
「馴染めないことも仕方ないぜよ」
「やはり私は一連の戦が終われば」
「政に戻るんじゃな」
「その場に」
宰相として、というのだ。
「そうしたいです」
「そう言われるとわたくしもですね」
亜紀も言ってきた。
「やっぱりほんまにええ感じで動ける場所は」
「教育の場ですね」
「戦は馴染めません」
「今はどうしても人手が必要じゃからのう」
今の日本はとだ、正岡はこの現実を指摘した。
「だからぜよ」
「私達もですね」
「戦の場におるぜよ、けれど」
「そうした状況でなくなれば」
「やっぱり都におってもらって」
そうしてというのだ。
「政に専念してもらうことがきに」
「的確ですね」
「そうなるぜよ、しかし今は」
「戦ですね」
「それに頑張ってもらうぜよ、じゃあ戦うぜよ」
正岡は太宰にも亜紀にも言った、そうして二人を引っ張る感じで戦い今は綾乃達の軍勢同士の戦に加わる時を待っていた、その時が間もないことを確信しつつ。
第百五十三話 完
2020・3・8
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