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夢幻水滸伝

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第百五十二話 さらなる優勢へその六

「だから味方の兵達も敵の兵達も救助することはだ」
「おいら達ですね」
「僕達がしますね」
「それで頼む」
 尾崎と又吉に答えた。
「いいな」
「わかりました、ではです」
「戦が終われば」 
 二人も吉川に答えた。
「その時はです」
「救助に専念します」
「同盟、地下世界と北極上空も戦になれば我等の領土になり」
 そしてというのだ。
「そこにいる民達もな」
「我々の民となりますね」
「そうなりますね」
「そして将兵は民達からなる」
 軍勢を構成する彼等もというのだ。
「それならばだ」
「是非ですね」
「彼等も必要ですね」
「だからこそ、ですね」
「敵兵も救助しますね」
「永遠に敵ではない」
 吉川は落ち着いた言葉で述べた。
「そうだな」
「はい、今吉川さんが言われた通りです」
「まさに」 
 二人もその通りだと述べる。
「戦の後は我々の民となり」
「兵となります」
「星の人達も仲間になりますし」
「味方になりますね」
「今日の敵は倒すべきだが」
 敵だからだ、これは当然だというのだ。
「しかし今日という日が終わりだ」
「味方になれば」
「その時はですね」
「救わねばならない」 
 絶対にというのだ。
「何があろうともな」
「そこが変わりますね」
「まさに百八十度です」
「それがおいら達が今行っている戦で」
「この世界の摂理ですね」
「そういうことだ、起きた世界でも敵味方は永遠の間柄ではない」
 吉川は自分達のそちらの世界の話もした。
「そうだな」
「あのイギリスとフランスも手を結びますし」
 歴史を見れば常に争ってきた両国でもとだ、尾崎は話した。
「ハプスブルク家とブルボン家もでしたね」
「長年争ってきたがな」
「手を結びましたね」
「その二国も両家もな」
「そう考えますと」
 又吉も言ってきた。
「この世界でも起きた世界でも」
「同じだ」
 まさにというのだ。
「それはな」
「そうなりますね」
「我々の条約がそうしたものであることを置いても」
 そえでもとだ、二人は話した。二人の頭の中には今は長い時をかけて話して結んだ平城京条約がある。
「それでもですね」
「どうしても」
「どちらの世界でもですね」
「永遠に敵味方の間柄はないですね」
「千年恨むのもな」 
 吉川はここでこうも言った。
「ない、というか言った人は千年生きているのか」
「人間精々は百年と少し位です」
「生きられることは」
「世代を経ても」
「千年となると」
「日本の歴史では平安時代だ」
 丁度その終わり頃になる。
「その頃に何かをされてもだ」
「あまりにも過去で」
「実感が湧かないですね」
「原爆を落とした大統領の孫がそのことを申し訳ないと言ってもだ」
 今度は百年も経っていないことの話だった。 
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