八条学園騒動記
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第五百八十一話 皆で入るその七
「二日酔いって不思議だね」
「何でかな」
「いや、人によってね」
こうマルティに返した。
「なったりならなかったりするじゃない」
「それはその人がお酒に強いかどうかでね」
「変わるね」
「人によっては」
マルティはそのベンに話した。
「ビールの缶一本でなるよ」
「三百五十のだね」
「いや、二百五十でもね」
これ位でもというのだ。
「なる人はね」
「なるんだ」
「一滴も飲めない人いるし」
酒そのものをだ。
「その辺りの個人差は凄いね」
「実際に」
「もう二日酔いになる人は」
「すぐになって」
「ならない人はね」
「幾ら飲んでもならないね」
「お酒に酔うこともね」
二日酔いの前のこのこともというのだ。
「そうだよ」
「その人の体質によるね」
「二日酔いもね」
「中には」
今度はマルコが言ってきた。
「全くならない人もいるって思うと」
「羨ましいよね」
「このことについてはね」
こうマルティに話した。
「思うよ」
「そうだね」
「正直辛いからね」
「僕達もさっきまでそうだったし」
「うん、この辛さを思えば」
「二日酔いにならないと」
「それだけでも幸せだね」
マルティは心から言った。
「そうだね」
「全くだね」
「けれど風呂でその苦しみをなくすな」
洪童は酒が抜けるその喜びを感じつつ三人に話した。
「この快感もいいしな」
「この感覚はね」
「確かにいいね」
「実際にそうだね」
三人もそうだと洪童に応えた、水温十五度の水風呂に入っていて湯の熱さも酒もかなり抜けてきている。
「二日酔いは確かに辛いけれど」
「その辛さから解放される感覚」
「これは凄くいいね」
「苦しみから解放されるな」
洪童もその感覚を味わいつつ言う。
「これがいいな」
「そうだよね」
「これがね」
「実にいいんだよね」
「あれか。苦しみを知らずして」
まずはというのだ。
「解放される快感は味わえないってことか」
「それ哲学だね」
マルコは洪童のその言葉にこう返した。
「何ていうか」
「哲学か」
「紀伊てそう思ったよ」
「言われてみればそうかもな」
洪童も否定しなかった。
「苦しみから解放される喜びを知るにはな」
「まず苦しみを知れってね」
「苦しまないとな」
そもそもというのだ。
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