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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十六話 色鉛筆その十五

「贈ってね」
「そうしてだね」
「届けるの」
「それで喜んでもらうんだ」
「そう、後はね」
「その従妹の人が合格することだね」
「ええ、ただ偏差値は普通科も絶対大丈夫というか」
 それどころかというのだ。
「実は八条学園の普通科よりもね」
「偏差値高いんだ」
「うちの普通科偏差値五十八でしょ」
「それ位だよ」
 大学の殆どの学科もそれ位だ、それなりの高さと言うべきか。ただ高等部の特進科とか大学の医学部や法学部の偏差値は七十をかなり超えている。
「大体ね」
「実は従妹偏差値六十三か四あるのよ」
「結構以上に高いね」
 僕から見ればだ。
「地元の進学校行けるんじゃないかな」
「そう言われてるけれど」
 それがというのだ。
「私と同じ高校と大学に行きたいらしいから」
「それでなんだ」
「そう言ってね」
 そのうえでというのだ。
「八条学園受けるのよ」
「そうなんだね」
「私のこと実の姉みたいに慕ってくれて」
「うちの学校受けるんだ」
「それでね」
 僕にさらに話してくれた、お勘定を終えてクリスマス用の包装を終えると二人で百貨店の中の帰路についた。
「寮に入りたいって言ってるわ」
「学校の寮だね」
「そう言ってるのよ」
「寮は大変みたいだけれどね」
「けれど楽しいとも言うわね」
「男子寮はそうだね」
 僕が聞くところによるといつも賑やかでいじめもないとのことだ。
「ただ女子寮はね」
「あそこもそうらしいわよ」
「楽しいところなんだ」
「和気藹々で先輩は優しくて」
「女の子の方が上下関係厳しいんだよね」
「そうよ、八条荘はそういうのじゃなかったけれど」
「八条荘は皆ざっくばらんだからね」
 小夜子さんは生真面目でもだ、外国の人が半分なだけに日本的な上下関係はかなり薄れているという面もあった。
「だからね」
「上下関係はね」
「厳しくなかったけれど」
 それでもだ。
「女子寮はね」
「違うのね」
「やっぱりそうじゃないかな」
 僕が思うにだ。
「どうもね」
「先輩が神様になってるのかしら」
「何かね」
「何か?」
「先輩が絶対で」
 それでだ。
「宝塚みたいなのとか」
「流石にあそこまではいかないと思うわ」
「けれどやっぱりあるよね」
「他の学校の寮よりずっとましみたいよ」
「そうなんだ」
「ええ、それで平和で和気藹々としていて」
 そうした場所でというのだ。
「楽しいみたいだから」
「従妹の娘もなんだ」
「何よりも北海道の寒さが嫌みたい」
「北海道は神戸より寒いね」
「ずっとね」
 神戸の寒さなんか比較にならない、伊達に日本の北端じゃない。ただそれでも北欧やロシアから来た子達にしてみれば軽い寒さらしい。
「そうなの」
「だからなんだ」
「もう北海道の寒さが嫌で」
「神戸に行きたいんだ」
「従妹の娘寒さが苦手で」
 それでというのだ。
「逃げたいらしいのよ」
「それでなんだ」
「神戸も冬は寒いっていうけれど」
「北海道よりはましだよね」
「ずっとね。東北よりも暖かいでしょ」
「まだね」
「その東北よりも寒いのよ」 
 北海道はというのだ。 
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