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夢幻水滸伝

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第百五十一話 吹雪の中の夜襲その十二

「すぐにお薬を使わせてもらうわね」
「えっ、丁度いいところに」
「吉川さんに言われて来たの」
 宮子は驚く遠藤に微笑んで答えた。
「この場所は攻めるべき時、けれど将兵の負傷者が多くて攻められない」
「だからこそか」
「私を向かわせてくれて」
 それでというのだ。
「今ここに来たのよ」
「そうだったのか」
「すぐに将兵達の手当てにあたるわ」
 言いつつだ、宮子は自分の兵達を見た。僧侶や薬剤師が多い彼女の兵達はすぐに術や薬で傷付いた者達の治療を行った。すると。
 兵達は見る見るうちに回復していった、遠藤はその様子を見て言った。
「いい感じだ」
「これで、ですね」
「あと少しでな」
「攻められる様になりますね」
「そうなる」
 宮子に会心の声で告げた。
「ではだ」
「兵達の回復が整うと」
「すぐにだ」
 まさにというのだ。
「攻める」
「そうしますね」
「助かった、本当にな」
「これが私の隊の務めですから、ただ」
「ただ?」
「私の隊もです」
 こう遠藤に言うのだった。
「ここでの攻勢にです」
「参加するのか」
「はい」
 そうするというのだ。
「そうさせて頂きます」
「そうなのか」
「ここを攻めるにはです」
「より多くの兵が必要か」
「吉川さんがそう判断されたので」
 だからだというのだ。
「私もです」
「そうか、ではな」
「はい、ここはです」
 宮子、そして彼女が率いる隊長もというのだ。
「共に」
「では頼む」
「一気に攻めますね」
「自分は戦はそちらだ」
 遠藤は防御戦より攻撃戦を得意としている、このことは有島も同じで二人の性格がよく出ていると言われている。
「だからな」
「そうですね、では」
「攻めるぞ」
「あと少しで兵達も回復しやす」
 有島は将兵達の回復状況を見つつ言った。
「それでは」
「あと少しでな」
「攻めやしょう」
「そうしよう」
「攻める時は」
 どうするか、宮子は二人に話した。
「まずはですね」
「術を使うが」
「どの術にしますか」
「召喚の術がいいな」 
 遠藤は宮子のその問いに鋭い声で答えた。
「それで広い範囲でだ」
「敵軍を攻めて」
「それで崩してな」
「そのうえで、ですね」
「さらに自分達が攻める」
「そうしますね、では」
「三人で召喚の術を使う」 
 三人それぞれが召喚の術を放った、遠藤はフェンリル、有島はヨルムンガルド、宮子はリバイアサンを召喚した。そうして前の敵軍を多く倒した。
 そこから遠藤は有島そして宮子と共に軍勢を率いて攻めた、敵軍はその攻勢を受けて多いに退いた。 
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