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夢幻水滸伝

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第百五十一話 吹雪の中の夜襲その一

               第百五十一話  吹雪の中の夜襲
 日本軍の移動要塞である蓬莱が雲から出た、その時にはもう同盟の移動要塞であるエリュシオン目の前はであった。
 夜の吹雪の中に何とか見えるその巨大な宙に浮かぶ島を見中里はにやりと笑った、そうして全軍に言った。
「よし、今からな」
「乗り込んでな」
 幸田が応えた。
「やってやるか」
「ああ、そうしたろな」
「いいねえ、この流れ」
 幸田は笑ってこうも言った。
「敵の意表を衝いてな」
「そのうえで仕掛けるっていうのがな」
「もうな」
 それこそというのだ。
「如何にもって感じでな」
「戦いがいがあるな」
「それでおいらはだな」
「ああ、一騎打ちの方頼むな」
「お前さんもな」
「小泉は任せるんや」
 中里は幸田に笑って応えた。
「あいつは僕がやる」
「強いがな」
「強い奴には強い奴やろ」
 中里は幸田に不敵な笑みで返した。
「そやろ」
「ああ、それはな」
 わかっているとだ、幸田も不敵な笑みで返した。
「おいらにしてもそうだしな」
「そういうことや、ほなな」
「これからな」
「やったろな」
「今回もな」
「さて、私もだ」
 日毬も出て来て言ってきた。
「やらせてもらうか」
「ああ、日毬ちゃんはほんまにな」
「一騎打ちにだな」
「一番強いからな」
 それだけにというのだ。
「今回も頼むで」
「わかっている、この度もな」
「日毬ちゃんの強さはうちにとってかなりの武器や」
「私は采配や政よりもな」
「武芸やな」
「やはりこちらの者だ」
 その剣を手にして言う、腰には今は和泉守と波泳ぎ兼光があり背中には倶利伽羅丸合わせて三本の神具の刀がある。その中の和泉守に手を当てての言葉だ。
「それを自覚している」
「ほなな」
「この度もな」
「頼むで」
「承知している」
「では行くでごわす」
 北原も言ってきた。
「そして一気に攻めるでごわす」
「敵は今気付いたみたいやな」 
 中里はそのエリュシオンを見て言った。
「ようやくな」
「そうした気配でごわすな」
「かなり浮足立ってるわ」
「そこにでごわすな」
「今から切り込むで、吹雪の中やけどな」
 それでもともだ、中里は言った。
「やったるで」
「今からな」
「この時の為にな」
「あったかい飯ば食って」
「そしてや」
「暖衣もしているでごわす」
「万全の準備をしてきたんや」
 中里は背中の温もりを感じつつ言った、その背にはカイロがありその温もりを感じながらのことであるのだ。
「それならな」
「やるでごわすな」
「このままな、しかしほんまにな」
 中里はここでこうも言った。 
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