おっちょこちょいのかよちゃん
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70 訪れた男
前書き
《前回》
三河口が通う高校の文化祭を訪れたかよ子達。大野や杉山達男子はゲームができるコーナーでゲームを行う事とする。藤木も笹山にいいところを見せようとするも空回りを繰り返して恥をかき続けてしまったが、笹山に気にして貰えた事で少し嬉しく感じるのであった!!
すみ子は山口、川村、ヤス太郎と共にある事を期待していた。
(もしかしたらかよちゃん達に会えるかしら・・・?会えたらいいわね・・・)
皆は様々な模擬店を廻り、綿飴やパンケーキを食べた後、体育館で行われるライブを観劇する事にした。
三河口のクラスの焼き鳥・唐揚げ屋は昼になると繫盛し始めた。三河口は2時間以上も唐揚げを揚げる作業を続けており、汗だくになった。
「三河口君、もう二時間もやってるし、少し休憩していいよ」
「そうだよ、お前だけまだ休んでねえじゃん」
真希と北勢田が慮った。
「え?ああ、そうだったね」
三河口は三角巾とエプロンを外した。
「じゃあ、好きな所らせてもらうよ」
三河口は店を離れた。三河口は何を買って食べようか考えた。その時・・・。
「あ、三河口君!」
「ああ、奏子ちゃん」
「一緒に廻らない?」
「うん、いいよ。そうだ、奏子ちゃんも近所の子を誘ってんだよね?一緒に探そうか?」
「うん、ありがとう。そうだ、まだ何か食べてないよね?私、何か奢るわ」
「え?それ、男の俺が奢るのが普通じゃないのかな?」
「ううん、三河口君料理頑張ってたから私が奢りたいわ」
「あ、ありがとう。お言葉に甘えるよ」
三河口は奏子と祭の模擬店を周った。
「じゃあ、あの焼うどんをまず貰おうかな」
「うん」
奏子は一年生のクラスが販売している焼うどんを二人分買った。
「奏子ちゃんもか」
「うん、丁度三河口君と一緒に食べたいなって思ってね」
「そっか、それなら美味しくなるかな」
「う、うん」
「そうだ、飲み物もいるね」
「あ、そうだね、あそこにラムネとか売ってるからあそこにしない?」
「いいよ」
奏子は一年生の別のクラスが売っている飲み物の模擬店にてラムネを二本購入した。そして二人は休憩所として設けられたベンチとテーブルのある場所に腰かけて焼うどんを食べようとした。
(はて、かよちゃん達はどこにいるのか。校内にあるゲームとかを楽しんでいるのだろうか・・・)
「三河口君、一緒に食べたら校内の中のゲーム廻ろうよ」
「いいよ。皆見つかるかもしれないね」
かよ子達はストラックアウトやサッカーのPKなど、男子が夢中になるゲームばかり見ていたので、今度は女子も遊べるようなゲームを探していた。
「あ、あそこのヨーヨー釣り楽しそうだよ」
とし子が提案した。
「うん、いいね!」
「こはるもやりたい・・・」
「よし。じゃあ、小春の分はお兄ちゃんのお金で出すよ」
「おにいちゃん、ありがとう・・・!」
女子達はヨーヨー釣りを楽しんだ。まる子、たまえ、とし子、笹山、小春、そしてかよ子はヨーヨーを釣ろうとした。
(笹山さん、楽しそうだな・・・。僕もやりたいなあ・・・)
藤木は笹山を羨ましがる。もし自分が笹山と二人きりだったら、一緒にヨーヨー釣りを楽しんでいたかもしれないのにと思い、落胆した。
「藤木、お前もヨーヨー釣りたいのか?」
杉山が質問する。
「あ、いや、そんな事ないさ!そんな女子の遊びなんて・・・」
藤木は慌てて誤魔化した。しかし・・・。
「ねえ、ヨーヨー釣りやってみる?」
「うん!」
両親と遊びに来た男の子がヨーヨー釣りをやろうとしているのが見えた。
「ヨーヨー釣りに男女関係ねえと思うんだがなあ」
「い、いいんだ。僕は。君達もやろうとするつもりないだろ?」
「ああ、俺達もさっきまでゲームしてたからな・・・」
杉山は藤木は素直じゃないと思いながらもそれ以上は追求するのを辞めた。
女子達は楽しくヨーヨー釣りを行った。皆一個ずつヨーヨーを釣って満足気味だった。
「それじゃあ、そろそろお腹空いてきたんじゃないかしら?」
「そうですね、そろそろ模擬店を見に行ってみましょうか」
親達が提案する。
「いいねえ〜、アタシゃそれが一番楽しみだったんだよお〜」
「ま、まるちゃん・・・」
かよ子はまる子の食い意地にやや引いた。たまえやとし子、笹山も少し引いていた。皆は外の模擬店のコーナーへと向かった。
「あ・・・!」
外に出た途端、小春が声を挙げた。
「向かいのお兄ちゃんだ・・・!!」
「え?」
長山兄妹が向いた方向には北勢田竜汰がいた。
「よっ、治君、小春ちゃん」
北勢田は長山の両親にも挨拶する。
「こんにちは。随分友達連れて来たね」
「うん、皆楽しそうにやってるよ」
「そっか、なんか奢ってあげるよ」
「でも北勢田君一人じゃ大変そうね。私達も出すわ」
長山の両親が思慮する。
「はい、すみません」
皆は模擬店のコーナーへ向かう。その時、北勢田は大野や杉山、ブー太郎の姿を見た。
「そういえば、君達、前にも会ったよな。確か、大雨の時だっけ」
「ああ、そうでしたね」
「あの時は色々活躍してたね」
「いやあ、俺達は単なる人助けをしてただけですよ」
杉山は謙遜した。
「へえ、大野君や杉山君達そんな事してたなんて凄いわね」
笹山の言葉に藤木は反応した。
(う・・・、笹山さん、もしかして、僕よりも大野君や杉山君の方が・・・!!)
藤木は落ち込んだ。
(そういえば、あの時はただ僕は何もしてなかったな・・・)
「ああ、でも、ブー太郎や山田や長山も人助けに協力してたぜ」
「いやあ、でも、私おっちょこちょいだったし、それにあの時は隣のおばさんやおじさんも手伝ってくれたからね・・・」
「隣のおばさんとおじさんって三河口の?」
「あ、うん、そうだよ・・・」
「そういえば三河口も休憩してると思うから会えると思うぜ。ついでに一緒に探してみるかい?」
「う、うん、お願いします・・・!!」
三河口と奏子は焼きうどんを食べ、ラムネを飲みながら談笑していた。
「そういえば、たこ焼きも食べたくなってきたな」
「あ、買ってくるわ」
「いいよ、さっきのお返しで今度は俺が奢るよ」
「あ、ありがとう・・・」
三河口はたこ焼きの模擬店へと向かった。
一人の大学生が、たこ焼きを二人分買っている高校生を見つけた。
三河口は奏子とたこ焼きを食べる。
「たこ焼き、美味しいね!」
「うん、そういえば俺の従姉の一人が神戸に住んでて、本場の大阪のたこ焼きを食べた事あるって言ってたな・・・」
「従姉ってこの前私が会ったあの人?」
「いいや、その従姉は名古屋に住んでいて、その人の一番上の姉にあたる人だよ」
「え?よくわかんなくなってきた・・・」
奏子は三河口の親戚の関係に混乱した。
「ええと、ウチの従姉は三姉妹で、2ヶ月前に会ったのが一番のさりって言って名古屋に住んでるんだ。真ん中はありって名前で札幌に住んでいるよ。それで一番上のお姉さんがゆりって言って神戸に住んでいるんだ。その一番上のゆりちゃんの住んでる神戸が大阪に近いから大阪のたこ焼きを食べた事があるんだって。かなり美味かったらしい」
「へえ、大阪のたこ焼きも食べてみたいね」
二人はたこ焼きを食べ終わると、それぞれが招待した小学生の子を探すために廻り始めた。と、その時、だった。
「おい、健」
「え?」
三河口が自分を下の名前で呼ばれた事に気付いた。振り向くと、そこには一人の大学生ほどの男がいた。
「こんなとこで何やってんだよ、オイ!」
三河口はその男に凍り付いた。そしてその男に乱暴に連れて行かれた。
「あ、ちょっと、待ってください!三河口君をどこに連れて行くんですか!?」
奏子は追おうとする。
「悪いね、このバカが迷惑懸けて」
「そんな、バカなんて・・・」
奏子は止めようとする。
「邪魔すんな!」
男は強引に奏子を振りほどいて奏子の顔にフックをかました。
(ど、どうしよう・・・!!)
奏子は殴られた顔を抑えながら。恐怖を感じた。
後書き
次回は・・・
「学祭内の捜索劇」
かよ子達は学祭内の模擬店の食事を楽しんでいる所、三河口が大学生のような男に連れ去られたという情報が入る。かよ子達は三河口を探し始めるのだが、彼を連れ去った男の正体は・・・。
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