八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百八十話 これも役作りその八
「もうね」
「その役になりきる」
「そうしないと駄目だから」
だからだというのだ。
「もうね」
「ここはだね」
「フォルスタッフ卿になりきる為に」
「是非にだね」
「そう、どんどん飲んで」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「二日酔いにもなるんだ」
「あの人も絶対にしょっちゅう二日酔いになってるよ」
「大酒のみだからね」
「節制するタイプじゃないし」
ベンは笑って言い切った。
「どう見てもね」
「まあそれはね」
「マルティもわかるね」
「あそこまで好き勝手にやってたらね」
それこそというのだ。
「もうね」
「節制はね」
「していないよ」
絶対にとだ、マルティも言った。
「それこそね」
「そうだよね」
「だからね」
それでというのだ。
「ベンの言う通りにね」
「二日酔いもしょっちゅうだね」
「だからあの体格だね」
「大酒のみの大食漢だから」
「そうした人だから」
それ故にというのだ。
「当然だね」
「うん、しかも無反省だしね」
「多少以上に痛い目に遭ってもね」
それでもというのだ、とにかく節制がなくて図々しくかつ癇癪持ちであり尚且つ無反省な人物であるのだ。
「懲りずにだったし」
「ガーター亭で飲んでいたね」
「堀に落とされても」
そうして痛い目に遭ってもだ。
「そんな人だしね」
「節制もしないでね」
「しょっちゅうだね」
「もうね」
「二日酔いになってるね、それでかな」
マルティはさらに言った。
「朝いつもぼやいていたのかな」
「多分そこで迎え酒をね」
「飲んでいたのかな」
「当時のエウロパ人は滅茶苦茶不潔だったから」
ベンはナチュラルにエウロパへの反感を出して述べた。
「それでね」
「お風呂なんてだね」
「滅多に入らなかったから」
「そうだったね」
「しかも道の端にゴミやうんこ捨ててたし」
マルティにさらに話した。
「そうしたね」
「滅茶苦茶不潔な中にいたから」
「ペストも大流行したし」
このことは事実だ、フォルスタッフのいたロンドンも大流行し街を焼き尽くした火災が起こってそうして収まったのだ。
「あの人もね」
「お風呂にはだね」
「滅多に入らなかっただろうから」
「朝二日酔いでも」
「お風呂に入ってお酒抜く発想はなくて」
それでというのだ。
「もうね」
「迎え酒なんだ」
「朝から飲んで」
そうしてというのだ。
「やっていたと思うよ」
「従者の人達にあたりながらかな」
「そうだろうね」
「そこは違うね」
「まあね、二日酔いのままだとね」
ベンはどうしてもと話した。
「お芝居にも影響するし」
「それでだね」
「迎え酒は流石にね」
「駄目だね」
「酔ってお芝居も出来ないし」
それでというのだ。
ページ上へ戻る