八条学園騒動記
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第五百八十話 これも役作りその三
「それでね」
「醜いね」
「うん、所謂吐き気を催す邪悪とか」
そう呼ばれる様な輩がというのだ。
「醜いんだよ」
「吐き気を催す邪悪ってヤーゴやマクベス夫人もかな」
「けれどああしたキャラは純粋な悪だね」
「ああ、歪んで恰好よくもない悪だね」
「それが醜いっていうのかな」
人の心でのそれはというのだ。
「人の内面見ないで外見やお金や地位だけを見る奴とか」
「そういう奴もいるね」
「そうした相手には諂って」
作り笑いを浮かべてだ。
「そして弱かったり利用価値がないと」
「辛くあたる奴だね」
「そうした奴が醜くて」
「悪でもだね」
「色々だね」86
「悪のカリスマっていうのかな」
「そうそう、それそれ」
ここでだ、ベンはマルティにこう言った。
「そうした悪だね、ファルスタッフいやフォルスタッフだね」
言い間違いにも気付いた。
「舞台では」
「ああ、そうだったね」
「歌劇ではファルスタッフで」
それでというのだ。
「今回の舞台ではね」
「フォルスタッフだよ」
「ファルスタッフはイタリア語読みだから」
マルティはその理由も話した。
「ヴェルディの歌劇で」
「ヴェルディはイタリア人だからね」
「イタリア語になるね」
「当然ね、けれど」
ベンもワインを飲みつつ言う、青ワインである。
「僕達の舞台はね」
「そのファルスタッフの原作のね」
「ウィンザーの陽気な女房達でね」
「名前が原作でね」
「フォルスタッフだよ」
「英語読みだね」
「そっちになるから」
だからだというのだ。
「一文字違いでもね」
「違うことは違うね」
「そうだよ」
「同じ人物でも」
「呼び方は違うよ」
イタリア語と英語でというのだ。
「そうなっているよ」
「そうだったね」
「うん、そうだったよ」
こうマルティに話した。
「言われてみたら」
「同じキャラでもね」
「言葉によって呼び方が違うね」
「そうだね」
「昔は言語がかなり分かれていたから」
ベンはこうも言った。
「そうなっていたからね」
「公用語がね」
「今は連合は銀河語が公用語だよ」
今自分達が使っている言葉がというのだ。
「英語に中国語、スペイン語、日本語、アラビア語を入れた」
「そこにロシア語もね」
「エスペラント語も入れたね」
「それでね」
公用語はとだ、マルティも話した。
「それぞれの国でね」
「各国の言語を喋ってるね」
「どっちもね」
「英語とか中国語とかね」
「あとスペイン語も」
「アラム語もあるし」
かつて使っていた古代の言語を復活させたのだ。
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