夢幻水滸伝
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第百四十八話 蝦夷へその十二
「やはり海の幸にはお醤油だな」
「何というてもな」
「ですからこちらも好きですが」
「アイヌ料理もか」
「こちらも好きか」
「はい」
千歳の返事もはっきりしたものだった。
「大好きです」
「つまりあれやな」
川端は葱、よく炊けたそれを食べつつ言った。
「自分はアイヌ料理も日本の料理も好きやな」
「どれも」
「そういうことやな」
「どちらもそれぞれの味があるので」
それでというのだ。
「好きです」
「そういうことやな」
「はい、そして熊鍋は」
「本来はか」
「お味噌も生姜も入れないです」
「そのままの味やな」
「私はそれも食べられますが」
それでもというのだ。
「お二人はどうかと思いまして」
「それでやな」
「お味噌を入れて」
それもかなりである。
「生姜もです」
「入れたんやな」
「そうしました、胡椒は使っていないですが」
「生姜を使ってるからやな」
「生姜を使いますと」
「同じ香辛料やからな」
「別に使う必要はないので」
生姜で匂いを消すからだ、肉の匂いを消す香辛料は胡椒が有名だが生姜等他の香辛料でも充分出来るのだ。
「それで、です」
「そういうことやな」
「生姜をかなり入れて」
「それで臭いを消して」
「お鍋にしましたが」
「成功している」
遠藤はその生姜も食べつつ言った。
「しかも生姜は身体にもいいしな」
「そのこともありまして」
「多く入れたか」
「はい、私自身好きですし」
「成程な」
「あとです」
千歳は二人にさらに話した。
「内臓も食べましょう」
「そちらもか」
「よく火を通して」
そのうえでとだ、遠藤に話した。
「食べましょう」
「羆の内臓か」
「はい、身体は全て食べる」
「それは絶対だな」
「生きものは」
それこそというのだ。
「羆も然りです」
「それでか」
「内臓も脳味噌も」
頭もというのだ。
「食べましょう、目もですし」
「そういえばな」
川端はここで笑って話した、それは何故かというと。
「掌な」
「熊の、ですね」
「そや、熊の掌もな」
これもというのだ。
「食べるんやな」
「勿論です」
千歳の返事は一も二もないものだった。
「身体のあらゆるところを食べるのですから」
「掌もやな」
「食べます、舌もですし」
こちらもというのだ。
「身体の全てを食べましょう」
「そうするな」
「これから、ただ」
「量が多いな」
遠藤はこのことを問題視した。
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