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夢幻水滸伝

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第百四十五話 勝ち取ったものその六

 間合いに入ったのを見てミョッルニルを振り上げたトウェインに対して二刀の居合をそれぞれ放った右手の童子切は左から右へ、左手の千鳥は右から左へ。それぞれ一閃させ。
 トウェインの腹を切った、トウェインの鎧と彼の筋肉により内臓までは至らなかったが。
 血が噴き出た、トウェインはその血を見て言った。
「負けたわ」
「敗北を認めるな」
「ああ、ここでこの二撃を受けるとな」
 一撃でなく、というのだ。
「もう闘えん」
「お互い気力も体力も限界やしな」
「それでや」
 まさにその為にというのだ。
「わいも負けを認めるしかないわ」
「そういうことやな」
「そや、それでや」
「それでやな」
「自分の勝ちや、見たところな」
 ここでだ、トウェインは周りを見渡した、見ればだった。
「アメリカは負けたみたいやな」
「そうみたいやな」
「やれやれや」
 トウェインは苦笑いを浮かべこうも言った。
「近代兵器と圧倒的な数で攻めてもな」
「負ける場合もあるってことや」
「そやな、それやったらな」
「これでやな」
「アメリカは覇権争いから脱落や」
 負けた、その為にだ。
「後は自分達の健闘を祈るで」
「ほなな」
「ああ、わい等はこれでアメリカに帰って」
 そしてというのだ。
「戦の成り行き見守るわ」
「そうするか」
「ああ、ほなこれで暫しのお別れやな」
「今度会う時は仲間としてやな」
「自分等は強い、それは敵としては厄介やが」 
 このことは紛れもない事実だがというのだ。
「しかしや」
「それでもやな」
「味方やったらな」
 その場合はというのだ。
「これ以上はないまでのな」
「有り難い味方やな」
「そうなるさかいな」
「お互いにやな」
「頼りにしていこうな」
 戦が終わった二人は笑顔で言葉を交えさせた、そうしてだった。
 トウェインの敗北で戦は完全に終わった、この度も勝利を収めた日本軍は勝鬨をあげた、そうしてだった。
 蓬莱に集結したがここで綾乃は言った。
「いや、アメリカにもここまで勝つとか」
「思わんかったか」
「だって日本が一番小さいんやで」
「その日本がやな」
「覇権争いで三タテして」
 つまり三連勝してというのだ。
「そのどれもがな」
「圧勝やな」
「そうなってるなんて」
 それこそとだ、芥川にも話した。
「ほんまに」
「信じられんか」
「うちとしては」
「いや、僕はな」
「全部の戦でやね」
「ここまで勝つ様にな」
「策を立ててるんやね」
「日本は星のモンの数が多いさかい」
 それでというのだ。
「その強さはな」
「ここまで勝つだけものがあるんやね」
「そや」
 まさにという返事だった。
「それだけこの世界では星のモンの力が強いんや」
「それを発揮して」
「それでや」
 そのうえでというのだ。 
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