ユーノに憑依しました
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無難な一日を過ごしました
昼飯を食い終わった後、なのは目が虚ろになり舟を漕ぎ始めた。
「眠いのか?」
「……うん」
「奥の部屋でお昼寝する?」
「俺が家に連れて行きますよ、そのまま寝かせて下さい」
「大丈夫?」
「ええ、問題ないです」
「――それじゃあ、お願いね、冷蔵庫にシュークリーム入れてあるから、おやつに食べてね」
「はい、いただきます」
なのはが夢の世界に飛び立ち――客足が途切れた所で高町家へ転移する、玄関で着地して靴を脱いだ後は魔法で揃えてお邪魔する。
魔法で適当に布団を探して、なのはを寝かせた所で問題が起きた。。
――なのはが俺の袖を掴んで離さない。
何時の間に握っていたのだろうか? 取り合えず、結界を開いて袖を離そうとしたが――なのはの腕には魔力が籠められていて結界でも隔離できない。
真逆こんな単純な方法で結界隔離を破るとは――コレだから感覚で魔法使ってる奴は怖いな。
俺は手を離すのを諦めて魔法で毛布を手繰り寄せ、なのはと一緒に寝る事にした。
………………寝てる途中で誰かが動いた様な気配がする――。
目を覚ますと既になのはは起きていて、おやつの準備をしていた。
「おはよう」
「おはよう、ユーノ君、顔と手を洗ってきて、おやつにしよう」
「ああ」
涎でも垂らしながら寝たかな? まあ、顔洗うか。
「はい、ユーノ君の分」
「大量だな」
「昨日お母さんと一緒に作ったからいっぱいあるんだよ」
「こっちはキャラメルミルクか」
「うん、お母さんに習ったんだよ」
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
形が不揃いだったり皮の厚さが薄かったりする物もあったが美味しくいただけた。
「ごちそうさまでしたー、おいしかった?」
「ああ、さて、片付けますか」
「ユーノ君は座ってて、私がやるから」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
それからなのはとおままごとをして遊んでると電話が鳴った。
「ちょっと出てくるね」
「ああ」
わたしが電話を取ると相手はアリサちゃんだった。
『そっちにユーノ来てるわね? はやてから聞いたのよ』
「うん、来てるよ」
『今からすずかを連れて行くから待ってなさい、絶対帰しちゃ駄目よ!!』
電話が切れた。
アリサちゃんとすずかちゃんが来るんだ、はやてちゃんも来るのかな?
「おかえり」
「ただいま、アリサちゃんとすずかちゃんが来るんだって、はやてちゃんも来るのかな?」
「そっか、んじゃ帰るかな、お邪魔しちゃ悪いし」
「あ、アリサちゃんが絶対に帰すなって」
「あいつにまで読まれる俺の行動パターンって!?」
「アリサちゃん鋭いから」
「あいつなら超能力を持ってても俺は驚かない」
「ユーノ君が言うと本当に持ってそうだね」
「今度スプーン曲げでもさせてみるか」
「アリサちゃんなら出来そう」
アリサが来ていきなり、すずかが新作ゲーム買ってるからすずかの家に直行よ、などと言うので書置きを残してすずかの家に。
「アンタこっちに来たんなら連絡の一つくらい入れなさいよ」
「習い事で忙しいと思ってな」
「アンタの為だったらいくらでも空けてやるわよ」
「俺も忙しい身なんだ、許してくれ」
「なのはとはしっかり遊んでたじゃない、来た時は連絡入れなさいって言ってるのよ!」
「わかったよ、次からは連絡を入れる」
「最初っからそう言いなさいよ」
相変わらずアリサは元気だ、弄られてるのを理解しているらしくニコニコ笑ってやがる。
「まあまあ、アリサちゃん、ユーノ君も内緒にするつもりだった訳じゃないんだから」
「すずかは甘いっ! そんなんじゃコイツあちこっちで浮気するんだから!!」
「何処でそんな言葉覚えて来るんだお前は」
「うるさい! 今日はすずかの家に泊まりなさい、あたしも泊まるわ!」
「でも今日が日曜日だよ? 明日月曜日だし私は良いけどアリサちゃん大変じゃない?」
「大丈夫よ、コイツいつもフラっと居なくなるじゃない、捕まえられる時に捕まえて無いと駄目なの」
アリサの意思は硬そうだ。
こっちに来る前にお泊りセットを持ち出す辺り、かなり本気だな。
何故こうなってるかと言うと、前回海鳴に来た時にとある事件が起きた。
それのせいでなのは、アリサ、すずか、はやての四人が一堂に会する事になり俺の存在もバレた。
原作開始前に海鳴に来た理由? 地球の魔力に慣れる為だよ、原作開始みたいに弱体化してたまるか。
まあ、俺がユーノを乗っ取ったせいか知らないが原作にない事件がいくつか起きていた。
事件を起こした犯人を捕まえてロッサの魔法で調べてみたい所だが、どんなスキルを持ってるか分からない奴の前にロッサを出すのは危険だ。
深入りしようとした瞬間に自殺とか自爆とかされたらトラウマ物だしな。
「ちょっと、聞いてるの?」
「ああ、すまん何も聞いてなかった」
「アンタの番よ、今日こそ勝って見せるから相手しなさい」
「お手柔らかに」
この身体は実に良い、パズルゲームや落ちゲーと呼ばれるゲーム全般で軽く全面クリアできるからな。
あと憑依する前にやった昔のゲームが何故か新発売として売り出されたり、初期バグとやり込んだ経験で大抵勝てる。
誰かがこっちの世界に持ち込んでるのか、それとも何処かで繋がってるのか、まあ実害が無い分には放置だ。
そんな犯人探ししてるくらいならジュエルシードや闇の書に労力を回せと言いたい。
「何で勝てないのよ! 昨日の夜発売された新作なのよ!? アンタ開発者に知り合いでも居るの!?」
「どのゲームでも言えるが、アリサが新しいゲームやった時のパターンを覚えちゃったからな」
「え?」
「何か仕掛けてくる時は呼吸が深くなるし、疲れてる時は唸り出すし、何も聞こえてない時は視野が狭くなってミスする、まるで猫みたいだよな」
顔を真っ赤にしたアリサが部屋から出て行ってしまった。
次の対戦相手を待っていたが、すずかもなのはも触ろうとしない。
「どうした?」
「私達の事もそんなに見てるの?」
「あはは」
振り返るとすずかが顔を真っ赤にして、なのはが少し赤い顔で笑っていた。
「対戦台で相手が見えないならともかく、同じ部屋でゲームしてて気付かない方が難しいと思うぞ?」
「げ、ゲームは止めて他のにしようか、ビデオでも見る?」
「何か新しいのある? 映画とかあるかな?」
「ああ、それならお前らにプレゼントがあるからアリサを呼び戻してくれ」
「プレゼント?」
戻ってきたアリサを交えてプレゼントの説明をする。
「まずは、なのはには赤い宝石レイジングハート、アリサには青い宝石ブルームーン、すずかには緑の宝石ネフライト、それぞれ首から下げられるようにしてある」
「アンタが渡すからにはただの宝石じゃないんでしょ?」
「うむ、建物の四階から飛び降りても壊れるのは地面だけ、車とか自転車があったらそっちが潰れるな」
「何それ? 魔法なの?」
「アリサの言うとおり、コレは魔法の杖だ、デバイスって呼ばれる物だけどな」
「……デバイス、魔法の杖」
三人とも自分に手渡されたデバイスを見て興味心身だ。
「手で暗くすれば光が宿ってるのが分かると思うが、それが魔力、無くなってる時は怪我するから注意しろよ」
「これどうやって溜めるの? なのはのが一番光ってるけど?」
「デバイスの周りにある魔力を適当に吸ってるだけだからな、アリサとすずかは無理だが、なのはから光を分けて貰う事ができるぞ」
俺の説明に二人の目の色が変わる。
「なのは!」
「なのはちゃん!」
「ええっ!?」
「やりすぎるとなのはがぶっ倒れるから程々にな、アリサには俺が分けてやる、貸してくれ」
アリサのデバイスが強い輝きを放つ。
「わあ……あれ? 直ぐに消えちゃった」
「怪我をしない為のお守りだからな、コレにかけた魔法は全部守る力に変わってしまう……ライト機能付けようか?」
「え?」
「携帯のライトぐらいならコイツでも真似事が出来るぞ、トランシーバーの変わりもな」
「何か魔法って言うよりは……」
「急に未来の科学技術になったような?」
ちょっとアリサはガッカリで、すずかは困り顔だ。
「魔法も科学と融合する時代みたいだな」
「でも箒に乗って空を飛んだりしてみたいよね」
「やってやれない事も無いが、魔力が切れた瞬間にジェットコースターより怖い思いをして地面に叩きつけられるぞ?」
想像したのか三人の表情が硬くなる。
「落ちない魔法は無いの?」
「飛べば落ちるもんだぞ……アリサ達が飛べそうな空間を作ろうと思えば作れるが――かなり狭いな」
「飛べるの!?」
「自由自在とは行かないが紙飛行機よりは飛べるぞ?」
「充分よ!! 飛ぶわよ――今直ぐに!!」
あー、完全に興奮状態だな――――このアリサは止められそうもない。
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