夢幻水滸伝
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第百四十四話 見えてきた勝利その十二
「それぞれの特徴がある」
「まさにな」
「そう思うとな」
「一騎打ちにも相性がある」
「相性次第で随分変わる」
「相性がええ相手には強い」
「一騎打ちも勝てるわ」
こう言うのだった、そして綾乃も言った。
「今回のアメリカとの戦でもそこを衝いたけど」
「相性な」
「相性を念頭に置いて一騎打ちの組み合わせを考えていって」
「それで勝ってきたけどな」
「南洋との戦でも中国との戦でも」
「この度もやな」
「アメリカとの戦でもそうしてきたけどな」
大蛇はまだ攻撃を続けている、今も八つの頭から様々な息を出し術も使う。そうして術を繰り出す綾乃を助けて戦っている。
そうしつつだ、主に応えて言うのだ。
「それが効を奏してるな」
「アメリカに勝ってるな」
「軍勢同士の戦も勝ってるし」
「そっちもあと少しで決着がつく」
「そうなってるな」
「ここで一機に攻めような、一騎打ちに勝った星の子達も来てるし」
軍勢同士の戦、それにというのだ。
「それやったらな」
「このままやな」
「攻めてくな」
「そうしてくな」
「そうしてくで、ただ」
ここで綾乃は心配している顔になった、それでこうも言うのだった。
「問題は」
「あの二人やな」
「中里の兄ちゃんと芥川の兄ちゃんやな」
「二人がどう戦うか」
「そのことやな」
「二人はまだ闘ってるわ」
見れば二人共それぞれの敵、トウェインそしてメルヴィルと一騎打ちを続けている。それは今も激しいものだ。
「あの状況やと」
「ちょっとな」
「どうなるかわからんな」
「まさに五分と五分や」
「そんな状況や」
「二人共勝つやろか」
「勝つことは勝つで」
綾乃はこのことは間違いないと言い切った。
だがここでだ、大蛇にこうも言った。
「ただ、もう既に二人共結構な傷負ってるし」
「そのことやな」
「勝っても大丈夫か」
「それが気になるんやな」
「ほんまに傷が深いと」
それならというのだ。
「死んでまうから」
「復活出来てもな」
「やっぱり死なんことが第一やな」
「死ぬ時の痛みは相当やっていうし」
「例え勝っても死んだらあかん」
「そういうことやな」
「そや、それでな」
どうしてもと言うのだった。
「うち二人が心配やねん」
「勝ってくれても」
「それでもやな」
「皆心配やで、他の星の子達も将兵も」
六十万の彼等もというのだ。
「そやけどな」
「二人は今一番激しく戦ってる」
「それでやな」
「余計に心配やな」
「そやねん」
まさにというのだ。
「うちは」
「ただ勝つだけやない」
「傷が心配やな」
「その後が」
「一騎打ちの後が」
「そうやねん、トウェイン君もメルヴィル君も強いさかい」
それだけにというのだ。
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