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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十九話 香織さんの告白その四

「最後まで飲むよ」
「そうよね、じゃあ」
「この一本は最後まで飲むよ」
「それで寝るのね」
「そうするよ、もうすぐ一本飲むから」
 最後の一本までだ。
「だからね」
「もうすぐ寝るのね」
「そうするよ、そしてね」
「明日の朝起きて」
「テスト受ける為に学校に行くよ」
「朝ご飯も食べて」
「そうするよ、香織さんもだよね」
 見れば香織さんもワインを結構な勢いで飲んでいる、このワインが美味しいせいもあるけれど香織さんのお酒の強さも出ていた。
「明日また学校に行くよね」
「当たり前よ、風邪ひいていてもね」
 それでもとだ、香織さんは僕に笑って話してくれた。
「行くわよ」
「そうするよね」
「何があってもね」
「テストの時は皆出るね」
「成績がかかってるからそうするわよ」
 香織さんは飲みながら僕に返した。
「学校のね」
「そうそう、もうそれはね」
「私達にとっては絶対のことだからね」
「学生にとってはね」
「単位も取れないし」
 追試はあってもだ、それでも当日受けた方がいいに決まっている。
「だからね」
「そうだよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「皆絶対に出るわよ」
「風邪を引いてもね」
「そうするわ、じゃあね」
「ワインも飲んで」
「私も寝るわ、じゃあ返事はね」
「何時でもだね」
「いいわ、こうしたことは飲まないで言わないとね」
 絶対にという口調で僕に話してくれた。
「卑怯よね」
「酔った勢いでってはしないんだね」
「私はそういうの好きじゃないの」
 香織さんは今は飲んでいる、けれどその時は確かに飲んでいなかった。それで言うのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、だから」
 それでというのだ。
「さっきまで飲んでいなかったの」
「そうしていたんだ」
「けれど言ったから」
「今は飲んでるんだね」
「そういうことなの」
「そうなんだね、ただ僕は」
 僕の考えではだ。
「酔っていても別にね」
「こういうこと言ってもいいの」
「どうしても言えない人っているからね」
 だからだ。
「素面じゃ」
「それ卑怯だって思うけれど」
「卑怯じゃないかな、勇気がないってね」
 その様にだ。
「思うけれど」
「勇気がないのも駄目でしょ」
「それは仕方ないよ、告白って重いから」
 僕が考えるにはだ、それはその人にとってはそれこそ命を賭けることに等しい場合がある。それだけ必死だからだ。
 それにだ、こうしたことも聞いて知っているからだ。
「こっぴどく振られてそれを周りからずっと言われてドン底に落ちた人もいるから」
「それは言う方がおかしいし振り方もね」
「あるっていうんだ」
「言う方はその痛さがわかっていないのよ」
 振られるそれがというのだ。 
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