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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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二人のアイリス

アイリスside

「行くわよ。」

コピーアイリスは、アーマーのバーニアを吹かして飛行し、背後から小型のビットを大量に呼び出し、襲わせる。

「うっ!」

アイリスは、バスターでビットを撃ち落とし始める。しかし、連射性はかつてのゼロバスターほどであるためビットのいくつかが攻撃を潜り抜け、アイリスに接触した瞬間に爆発する。

「きゃっ!?」

「フッフッフ、やっぱり弱いわね。」

コピーアイリスは外からは見ることができないバイザーの中で笑みを浮かべながら右腕に装備されているビーム砲を発射する。

「はっ!?空円舞!」

アイリスは咄嗟にラーニングシステムを作動させ、かつてレプリフォース大戦でゼロが習得した空円舞でビーム砲を回避する。

「上も敵で一杯よ?」

「!?」

逃れた先には誘爆式のビットが無数に待機していた。ビットたちはアイリスの動きをキャッチすると一斉にアイリスへと接触し、爆発する。

「あぁあああ!!」

爆風で吹き飛ばされたアイリスは、さらにコピーアイリスの体当たりで壁に打ち付けられる。

「う、うぅ・・・・・・」

アイリスは何とか起き上がり、サーベルを引き抜く。

「しぶといわね。」

コピーアイリスは見下すようにアイリスを見下ろす。

「はあ・・・・・・はあ・・・・・・・」

「ここまで弱いとゼロも本当に迷惑でしょうね。」

「龍炎刃!!」

「!?」

アイリスは、ゼロの技の一つである龍炎刃をコピーアイリスに繰り出す。コピーアイリスのアーマーは、斬れることはなかったものの、焼け跡が点いた。

「・・・・やってくれたわね・・・・・」

コピーアイリスは、バイザー越しで一瞬イラっとした表情をしながら背後に結晶体を召喚し、ビーム砲で再度攻撃する。

「空円・・・・・きゃっ!?」

先ほどのように空円舞で回避しようとしたが結晶体にビームが命中すると反射して、大出力のビームがアイリスを襲った。

「あ・・・・あぁ・・・・・・・・」

アイリスは地面に叩きつけられ、動かなくなる。それを確認するとコピーアイリスは、アーマーを解除して近づく。

「・・・・・・・」

「本当に倒れたのかしら?」

コピーアイリスは落ちているサーベルを拾い、展開すると彼女の背中に突き刺そうとした。

「・・・・・どうやら、本当に死んじゃったみたい。」

刺す寸前でコピーアイリスは、ピクリとも動かないアイリスを見て攻撃を中断し、部屋の隠しパネルをいじって転送装置を出現させる。

「じゃあね、本物の私。ゼロは私が大切にしてあげるから。あなたはそこで眠ってなさい、二度度覚めることないけど。フッフッフッフッフッ・・・・・アッハッハッハッハッ!!」

そう言うとコピーアイリスはカプセルを通じてその場から消えた。

しかし、その直後、動かなかったアイリスの手が僅かに動いた。


「ゼ・・・・・・・・ゼロ・・・・・・・」


























ドラえもんside

「うわあぁぁぁぁああ!?」

『MMM!MMMM,MMMM!』

イエローデビルMk-IIの攻撃にドラえもんは必死に逃げ回っていた。特殊武器やチャージショットで攻撃してみるものの本体にダメージが通った様子はなく、イエローデビルMk-IIは、その巨体を分裂させてドラえもんへ猛攻を仕掛けていく。

「ハア、ハア、ハア、ハア、ハア・・・・・・」

柱に陰に隠れるがすぐさまブロック状に分かれたイエローデビルMk-Ⅱの一部に破壊される。

「うわあぁぁ!!」

ギガクラッシュもウッドマンの時に使ってしまっているため使用不能。


ドラえもんは、迫りくるイエローデビルに対して打開策を練ろうととにかく逃げ続ける。

そんなドラえもんに対してイエローデビルは、体の分裂パターンを変更して攻撃を仕掛けようとする。

「はあ・・・はあ・・・・あっ。そうだ、固めて動けなくすればいいんだ。」

ドラえもんはポケットの中に手を突っ込んでスモールライト、ビッグライトとは形状が異なる大型ライトを取り出す。

「カチンカチンライト!!」

ドラえもんはライトを点けるとイエローデビルの前に出る。

『MMMMM!?MMMMMM!!』

「いけ~!!」

ライトを浴びた瞬間、飛んできたパーツは、氷のように固まり落ちる。

『MMM!MMM!?』

異変に気付いたイエローデビルだが、時すでに遅く全身が身動きが取れないほど固まってしまった。

「ハードナックル!!」

動けなくなったイエローデビルに対してドラえもんはハードナックルを繰り出し、急所である目に直撃させる。急所を撃ち抜かれたイエローデビルはまるで塩をかけられたナメクジのようにその場で溶けるように崩れて行った。

「ふう・・・・・・あまりにも大きかったからカチンカチンライトの効果が切れる前に倒せてよかった・・・・・・・」

フラッシュマンに引き続いてイエローデビルという凶悪な敵を倒したドラえもんはほっと息をしながら進もうとする。

「!?」

その次の瞬間だった。ドラえもんの目の前に何かが飛んできてドラえもんに付着した。

「こ、これは!?」

当たった部位は結晶化しているのに驚きながらドラえもんは飛んできた方を見る。目の前に転送装置が現れ、そこには額に「W」のマークが付けられたロボットが入ってきた。



「き、君は!?」





























ゼロside

「くっ!雑魚が!!」

ゼロは、セイバーでメットールたちの操作する防衛システムを破壊しながら転送装置を目指す。防衛システムを破壊されたメットールたちは戦う気がないのかそれともゼロの気迫に押されて怖がっているのか一目散に逃げて行った。

「この先だ、この先の転送装置に行けば・・・・・」

「ゼロ!」

「!?」

角を曲がろうとした瞬間、ゼロは、出てきたアイリスと顔があった。

「アイリス、無事だったのか?」

「えぇ、ちょっと敵に襲われたけど何とか切り抜けられたわ。」

「・・・・・・・」

ゼロは、アイリスの顔を見て一瞬黙り込む。

「さあ、急ぎましょう。ドラえもんさんのことも心配だし。」

「・・・・・・・そうだな。」

ゼロは、右腕をバスターに変形させてアイリスに向けた。

「その前に本物のアイリスを助けてからな。」

「えっ?」

ゼロの言葉にアイリスは、思わず唖然とした。

「な、何を言っているのゼロ?私は、私よ。偽物なんてわけ・・・・・・・」

「・・・・・・・なら、お前の体に『パートナー回路』は入っているのか?」

「ぱ、パートナー回路?」

ゼロに詰め寄られ、アイリスは表情を強張らせる。

「・・・・・そのようだとそこまでそっくりに作っていなかったようだな。あの回路は俺とアイリスの意識をリンクする他にお互いの居場所を正確とまではいかないが何となく感じられるように作られている。」

「そ・・・・・・そんなものが・・・・・・・」

「だが、もう一つ大きな違いがある。」

ゼロは、警戒を崩さずにアイリス、否コピーアイリスの顔を見る。ほとんどオリジナルと変わらずにコピーできる「三次元立体コピーシステム」と言えど、回路のブラックボックスまでは解析しきれなかったらしい。

「お前はどういうわけか俺に対して何か憎しみのようなものを感じられる。何か・・・・・・只のコピーとは思えない・・・・・・ほとんど同じでありながら俺の知っているアイリスとは違う・・・・・・・」

「・・・・・・くっ!」

コピーアイリスは、咄嗟にサーベルを展開してゼロの右腕を斬り落とそうとする。


バシュッ!!


「うっ!?」

そのサーベルを飛んできた光弾で弾かれ、落としてしまった。コピーアイリスが手を押さえながら振り向くとそこには壁に寄りかかりながらもバスターを展開したアイリスが来ていた。

「あなた、死んだはずじゃ!?」

「・・・・・・いいえ・・・・・確かにダメージが大きくて一瞬機能が停止してしまったようだけど、あなたが転送装置で去った後兄さんの動力炉と掛け合わせたハイブリッド動力炉のサブ機能で再起動できたの。」

「そんなものまで・・・・・・」

「無駄な抵抗はやめろ。俺たちは無駄な戦いをするつもりはない。ナポギストラーのところまで案内するのならイレギュラーとして処分もしない。」

ゼロはバスターを戻し、アイリスの傍へと駆けよる。

「大丈夫か?」

「えぇ・・・・・・まだ機能が回復しきれていないからふらついているだけ。」

「そう言って兄さんまで殺したくせにぃいいいいいいい!!」

「「!?」」

コピーアイリスの叫びに二人は思わず驚きの表情をする。コピーアイリスは、先ほどのように結晶体を出現させて、アーマーを身に纏う。

「そうやって、あなたは!あなたは!!」

コピーアイリスは、ビーム砲を二人に向けて発射する。

「アイリス!」

ゼロは、アイリスを抱きかかえて空円舞でビーム砲を回避し、エアダッシュで展開されたビットを器用に避ける。

「ぐっ!?」

それでも何機かのビットの爆発に巻き込まれ、ゼロは床に落下する。

「ゼロ!?」

「だ、大丈夫だぁ・・・・・」

「戦わないで、戦わないでってあれほど言ったのに!!」

コピーアイリスはバイザーを赤く発光させながらビットをさらに大量に展開して二人に迫ってくる。

(・・・・・私もやらなきゃ。やらないと私もゼロもこの子に・・・・)

アイリスは、倒れているゼロを壁際に寄せると落ちているコピーのサーベルを拾い、二刀流でコピーの前に立ちはだかる。

「ゼロ、ゼロ!!ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロオオォォォォォオォォ!!!」

「・・・・・兄さん、兄さんの力・・・・私に貸してください。」

アイリスは、サーベルを二本交互に振って斬撃を放つ。コピーアイリスのアーマーは斬撃を受けながらも特にダメージを受けた様子はなく更に近づいてくる。

(兄さんの使っていた斬撃による衝撃波が通じない・・・・・・!なら!)

アイリスは再び斬撃を放とうとする。

「無駄よ!!そんな兄さんの真似技、今の私には通じない!!そんなことわかっているで・・・・・」

「あなたは私ではなかったの?」

「!?」

コピーアイリスは、アイリスが繰り出そうとする技を見て目を丸くする。

アイリスはまずカーネルがやっていた時同様に最初の斬撃を繰り出す。本来ならその後遅れて次の斬撃を繰り出すのだがアイリスは時間を置くことなく次の斬撃を、さらに次の斬撃と合計三回分の斬撃を掛け合わせた衝撃波を放った。掛け合わせたことにより威力が上がった斬撃は、コピーアイリスの左腕を切断する。

「うっ!?そ、そんなことが!?」

コピーアイリスの背後に結晶体が出現し、ビットがさらに追加され攻守ともに強化されていく。

「このくらいで!!」

「アイリス・・・・・・」

起き上がろうとするゼロはアイリスの戦いを見て目を大きく見開く。先ほどの技は応用ではあるもののカーネルの技をアイリスが独自の技へと昇華させたものだ。アイリスは迫りくるビットたちに対して斬撃による衝撃波で破壊するものの徐々に追い込まれていることに気づき、今度は右腕をバスターに変形させてチャージを行い、床にゼロがアースクラッシュを行う用量で打ち付ける。

「ギガフラッシュ!!」

バスターの光弾は床に叩きつけられたと同時にゼロの落鳳破のように拡散しビットを一斉に貫いて破壊した。

「うそ・・・・・・・」

コピーアイリスが言葉を失っているのを機にアイリスは、彼女へと迫って行く。

「疾風牙!!」

「きゃっ!?」

疾風牙はコピーアイリスの頭部を切りつけ、ヘルメットにあたる部位から本体が露わになる。

「うわあああああああああ!!!」

コピーアイリスは、錯乱状態でアイリスに対して攻撃を行う。すでに照準がずれているのか攻撃はアイリスに当たらず、無駄に周囲を破壊しているに過ぎなかった。

「アアァァァァアアアアアア!!」

その眼からは、愛憎によるものなのか血のような涙を流していた。

それがオリジナルのアイリスに対してなのか、ゼロなのか、それはもう誰にも分らない。


アイリスは、ダッシュをしながら猛攻を回避していくが肝心のコピーから距離が離れていく一方だった。

「このままだと・・・・・・」

「アァアアアア!!アァッ!?」

その時、コピーアイリスの顔を光弾が掠った。ゼロが撃ったバスターの光弾だ。

「ゼ・・・・・・ゼ・・・・・・ロ・・・・・・・?」

コピーアイリスは、壁に寄りかかりながらバスターを構えるゼロを憎しむように見る。 

「今だ、アイリス!やるんだ!!」

「氷烈斬!!」

動揺しているコピーアイリスに向かってアイリスは氷烈斬を繰り出し、彼女をアーマーの中から引きずり出そうとする。

「!?」

コピーの体に触れた瞬間、アイリスの中にあるビジョンが自分の中を通り抜けていく。

「こ・・・・・これは・・・・・・・」












『アイリス!』

目に映った場所はかつてレプリフォース大戦で自分とゼロがダブルに接触した部屋だった。しかし、そこにダブルの姿はなく、ゼロの目の前には不気味なオーラを発しているエネルギー体を抱えた自分の姿があった。

『・・・・・兄さんと・・・・・・戦わないでと・・・・・あれほど言ったのに!』

今交戦しているコピーと同様にそこにいた自分の目は憎しみに取りつかれたかのように光を失っていた。

『・・・・・・・すまない。』

対するゼロは、複雑な表情で謝罪する。アイリスが周囲を見る限り、エックスやドラえもんたちの姿はない。

(もしかして・・・・・・この子は・・・・・・)

『・・・・・・もう、遅いのね。何もかも。』

コピーと思われるその場にいる自分は、不気味なエネルギー体を自分の真上に掲げる。するとエネルギー体は自然に浮き上がり、彼女の真上で結晶体へと変化する。

『落ち着け、アイリス!話を聞いてくれ!!』

ゼロは、必死に止めようとするが自分の目にはその言葉が届いている様子はなかった。

『さようなら、ゼロ・・・・・・・』

彼女はそう言うと結晶体から発せられるエネルギーを直接浴びる。

『アイリス、止せ――――――――――!!』

アーマーを纏った自分はそのままゼロへと攻撃を仕掛けて行った。





























「アイリス!!・・・・・ぐう!?」

氷烈斬の攻撃でコピーアイリスのアーマーが爆発し、ゼロは爆発の衝撃に呑まれながらも柱にしがみついて何とか凌いだ。彼は、爆発が収まると急いでアイリスがいた爆心地へと向かう。

「アイリス!無事か!?アイリス!!」

ゼロが爆煙で視界が悪い中、進んで行くとクレーターのど真ん中にアイリスがしゃがんでいた。

「無事だったか!?アイリス。」

ゼロが駆けて行くとアイリスは、手足が吹き飛んで倒れたコピーに膝枕をしていた。

「あぁ・・・・・・・ああ・・・・・・」

「・・・・・そいつは・・・・・・・」

「・・・・この子も私だったのよ・・・・・」

既にダメージを受けて弱り切っているコピーの頭を撫でながらアイリスは悲しい表情で言う。

「この子も私と同じようにあなたと出会って、同じように想いを寄せるようになった・・・・・・でも、憎しみに勝てなかった。この子はあなたに兄さんを倒されて、その絶望からあらがう事ができなかった。私はみんなに助けられた・・・・・・たった一つの出来事の差なのに。」

「・・・・・アイリス。」

コピーの目はすぐにでも閉じようとしていた。そんな状態でありながらもコピーは、アイリスの顔を見て涙を流しながら口を開く。

「私も・・・・・ほしかった・・・・・・あなたのように・・・・ゼロと・・・・・彼と一緒にいられる世界が・・・・・・・・レプリロイドだけの・・・・・世界で・・・・」

「・・・・・・・レプリロイドだけの世界を作ったとしてもあなたはそこで幸せになれたとは思えないわ。」

「・・・えっ・・・?」

「レプリロイドだって完璧じゃない。人間と同じように心を持ち、時には争い、時には道を間違えてしまうの。その間違いを認めて手を取り合って行くからこそ平和への世界が近付けると私は思っているわ。」

「ど・・・・どうして・・・・・・?」

「ゼロやエックス、他のみんなと一緒にいて分かることができたから。だから、私は彼と共にここまで生きてこれたの。」

「・・・・・そ・・・・・・そうだ・・・・・ったのね・・・・・・」

瞳に光が戻り、コピーの目から枯れかけたと思われた涙が再び流れ始めた。

「人間も・・・・・・レプリロイドも・・・・・・・同じような者だったのね・・・・・・・・なんで・・・・・・気づけなかったの・・・かしら・・・・・・・早く知っていれば・・・・・・」

「もう、いいのよ。わかったのなら。」

「はあぁ・・・・・・・・・あり・・・・・が・・・・・・と・・・・・・」

涙を流したまま、コピーはゆっくりと機能を停止していく。その顔はようやく何かを理解できたように安らかだった。

「・・・・・・・まさか、コピーだと思った奴が本当のお前だったとはな。」

話を最後まで聞いていたゼロも何となく理解できた。

「・・・・・たぶん、偶然起きたことだと思うわ。装置が私をコピーしている間に一度死んだこの子の魂がコピーの体に入ったのかもしれない。あなたと一緒に生きる道を選んだ私、兄さんの敵を討つためにイレギュラーとなることを決めた私・・・・・・・私はたまたま運が良かっただけ・・・・・・」

アイリスは手を震わせながらコピーをその場に丁寧に寝かせた。

「もし・・・・・私も同じ選択をしていたら・・・・・・この子と同じ運命をたどっていたのかもしれない。ゼロと分かり合う事ができずにイレギュラーとして果てることを・・・・・」

震えが止まらないアイリスを見てゼロは力強く彼女を抱きしめた。

「・・・・だが、俺たちは今こうして同じ道を歩んでいる。そして、俺はこれからもお前のために戦う。イレギュラーになりかけようとも・・・・・・・・」

「ゼロ・・・・・・・」

アイリスは、コピーの遺体の方に向き直るとゼロと二人で両手を合わせて彼女を弔う。

「さようなら、もう一人の私・・・・・・それとありがとう。私に大事なことを教えてくれて。」

そう言うとアイリスはゼロと手を取り合って、王宮の奥へと姿を消す。


「ゼロ・・・・・・この戦いが終わったらやってほしいことがあるんだけど言ってもいい?」

「・・・あぁ。」

「えっと・・・・・・」




























???

「俺は・・・・俺は!一体なんのために戦っているんだあぁぁああああああああ!!!」

とある世界で一人の紅きハンターが一人の少女を抱えながら叫ぶ。その様子を戦友である純白のアーマーを身に纏った青いハンターは何の言葉も送ることもできず、ただ彼の後姿を見守っていることしかできなかった。

「・・・・・・・・ゼロ、今の君に対して言えることじゃないが今は時間がない。一刻も早くジェネラルを止めなければ・・・・・・」

青いハンターは、悲しみに暮れる紅きハンターに複雑な心境ながらも言う。紅きハンターは顔を向けることはなかったが今は悲しんでいる場合ではないと理解していた。

「・・・・・・あぁ。わかっている。すまないが先に行っててくれ。」

「・・・・わかった、後で合流しよう。ダブルがスパイだと分かった以上この戦いの黒幕も奴以外にあり得ないからね。」

青いハンターは、そう言うと要塞の奥へと一人先に向かって行った。紅きハンターは、少女の亡骸を丁寧に両手を合わせた後、強く抱きしめた。

「・・・・・・・・・すまない。アイリス・・・・・・」

許してくれと言っても許されるはずがない。

おそらくこれから先もこの少女の死が彼を苦しめることになるかもしれない。

しかし、今は悲しみに暮れている時間はない。

「・・・・・・・・ゼ・・・・・・ゼ・・・・・ロ・・・・・・・」

「!?」

紅きハンターは、耳元で聞こえた声に目を見開く。










「あ・・・・アイリス・・・・・・」

目の前では再び目を開いた彼女が自分を見ていた。止まったはずの動力炉も再び動き出している。

「・・・・・・・・・」

紅きハンターは、初めて涙を流した。一度失ってしまった命が戻ってくるなど有り得ない。でも、彼女も泣きながら自分のことを見ていた。

「・・・・ただいま。」

彼女の瞳にはもはや憎しみはなく、ただ想いを寄せた人の所へ戻ってこれたという喜びの涙が流れていた。

 
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