ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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究極対光速
19XX年 骨川宅
「ねえ、スネ夫。僕にもやらせてよ~。」
「ダメ、のび太は下手過ぎるからいつまで経ってもクリアできないよ。」
遥か懐かしき過去。のび太としての生涯を終えるほんの一か月前。
のび太は、ジャイアンと共にスネ夫の家に来ていた。スネ夫の話によると新作ゲームの先行公開らしい。
「そんな意地悪しないでよ~!!僕だって前作のボス6体倒したんだよ!?」
「甘いなのび太は。今回のボスは8体いるんだよ。」
「「は、八体!?」」
「そう、前回カットマンのステージさえ時間がかかったのび太にはやらせられないよ。」
「はぁあ・・・・・・・」
「スネ夫、グズグズしないでさっさと始めろよ!」
「はいはい。それでは、今回初『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』をプレイします!!」
「いよっ!待ってました!!」
スネ夫はファミコンにソフトを差し込み、テレビをつける。
すると画像が映りだし、オープニング曲と共にストーリーが展開され始めた。
『200X年 Dr.ライトの生み出したスーパーロボット ロックマン によって ナゾの天才科学者Dr.ワイリーの野望は阻止され 世界に平和がよみがえった。しかし、世界征服をたくらむDr.ワイリーは、再びロックマンに戦いを挑むべく、新たに作り出した8体のロボットを送り出したのである・・・・。』
チャラチャラチャラッチャ~!テレテッテッテッテ~!
「うぉお!?オープニングまで出るのか。今回の新作は豪華だな!」
「でしょ?これ本当は来週発売されるんだよ。」
タイトルをセレクトすると早速ボスの選択画面へと切り替わる。
「うわぁあ・・・・・・今回はボスのセレクト画面が顔出しになっているんだね。」
のび太はステージのセレクト画面を見て感心する。
「スネ夫、もったいぶらないで早くステージを選べよ。」
「分かったよ。」
スネ夫は、ボスの選択を行う。
「『Bubbleman』は一番弱そうだな・・・・・・・」
「こいつはどうだ?角がはみ出て強そうだし。」
ジャイアンは、左上のボスを選択する。
「『Quickman』か。確かに強そうだな・・・・よし、今回はコイツから挑戦だ。」
スネ夫はボスを選択し、画面が変わる。
テレッテッテッ~テレッテッテ~テッテ、テッテ、テッテテレレレ~ン!!
現在 ラビリンス内
「ストックチャージショット!!」
エックスはアルティメットアーマーのバスターをストックチャージに切り替えて、クイックマンに連射する。
「・・・・・・」
クイックマンは、残像を残しながら攻撃を回避していく。
「くっ!速過ぎて当たらない!」
気がつくとクイックマンはサーベルをエックスの首元に向けて振り下ろそうとしていた。エックスは、咄嗟に回避するが脇腹を斬った。
「痛・・・・・竜巻旋風脚!!」
「!?」
傷の痛みに耐えながらもエックスはクイックマンに竜巻旋風脚を繰り出す。クイックマンは回避の間際に一撃喰らうが大してダメージにはなっていないようだった。
「フルチャージダブルサイクロン!!行けー!!」
両腕を掲げてエックスは巨大な竜巻を放つ。
「・・・・・・・」
クイックマンは一瞬呑まれかかるがサーベルの一太刀で無力化する。
「ノヴァストライク!!」
アルティメットアーマーの一部を変形させて一瞬動きを止めた彼にぶつかる。
「・・・・・・・」
「グ、グウ・・・・・」
しかし、ノヴァストライクの一撃必殺すらサーベルで受け止められてしまっていた。
「・・・・・・どうした?お前の力はこんなものではないだろ?」
「うぅ・・・・・・」
距離を取り、エックスは険しい表情でクイックマンと睨み合う。
「・・・・・お前の本気を見せろ。」
「・・・・・・・」
「それで隠しているつもりか?」
「・・・・・バレてたのか。」
エックスは、バスターを一回通常の腕に戻す。
「・・・・・いつから気づいていたんだ?」
「お前と戦ってからすぐだ。」
「・・・・・・・」
クイックマンの指摘でエックスは、深刻な顔になる。
「理由は知らんがお前は自分に秘められている力を隠そうとしている。その力を使わないのは何故だ?兄と同じく相手を傷つけたくないからか?」
「・・・・・・・正確には違う。」
クイックマンの言葉に対してエックスは答える。
「俺は確かに力を隠している。確かにその力は凄まじい・・・・・・・・だが、力を使えば必ず代償というものがある。過去の戦いでその力を使った俺は見境なく暴れ、危うく自分を失いかけてただのイレギュラーになりかけた。だから、この力は過去の戦いで数回しか使ったことはない。」
「・・・・・・」
「・・・・・・でも、そうは言っていられないのは分かっていた。君を相手にしたときからね。・・・・・・この姿は誰にも見せたくはない。もう、あの姿を見て彼女を泣かせたくはない。」
「・・・・・・仲間を逃がしたのはそのためか。」
覚悟を決めたエックスの顔を見てクイックマンは特に否定することはなかった。もし、ここに彼の兄弟機が来ていたら彼の考えを否定していたのは間違いなかっただろう。
「この力を使ったのはナイトメアポリス、ドップラー博士、ゼロ、VAVA、シグマ・・・・・そして、君を含めて6度目だ。」
アルティメットアーマーのカラーリングがダークブルーから黒一色に変化し、エックスの目も赤一色へと変わる。同時に彼の周囲は赤黒い闘気に包まれた。
「・・・・・・・・それがお前の本気か。」
「俺の中の『鬼』・・・・・・・一度封印した力を・・・・・・・お前を倒すために使う!!」
ラビリンス内
「えっ、さっ、ほい・・・・・・・ん?どうしたんじゃ?マーティ?」
エックスと別れてがむしゃらに走って運よく別の休憩所を発見して一息ついてガイドマウスの修理を行っていたケインは急に椅子から立ち上がったマーティを見て言う。
「・・・・・・・・アタシ・・・・・やっぱり、さっきの場所に戻る。」
「な、何を言っているんじゃ!?」
マーティの言葉を聞いてケインは驚く。それはしずかやサピオたちも同じだった。
「危険です。ラビリンスの中で元来た場所に戻るなんて・・・・・・・道に迷って、最悪な場合出られなくなります。」
「そうよ、のび太さんが引き付けて時間を稼いでくれているのよ。私たちは少しでも早く研究室へ・・・・」
「でも・・・・・でも、嫌な予感がするの!?離れていてもわかる。エックスは・・・・・・エックスが何か危険な橋を渡ろうとしていることを!」
「ま、マーティ!?」
マーティが部屋から走り去って行くのを止めようとするがその直後タップが耳を動かして叫ぶ。
「あ~!!たくさんの足音と何かが壊れていく音がこっちに迫ってくる!!」
「なんと!?奴らまさか壁を壊してこっちに向かって来ようというのか!?」
「まさか!?いくらロボットの兵隊でも・・・・・いや、もしかしたら父が言っていたあのドクロの顔をしたロボットたちかもしれない。」
「ぬう~!!このままでは奴らに捕まってしまう!何とかせねば・・・・・・・・」
ケインは頭を抱えながら打開策を考えようとする。しずかは怖がる玉美を抱えながら隠れる場所はないかどうかを探す。
「・・・・・・・タップ!あのトランクを出して!」
「はい!」
サピオはタップにトランクを出させる。トランクが開くと門が出現する。
「さあ、みなさん。早くここから出てください!」
しずかは先に玉美を抱えて出て行く。
「サピオ君、君もハンターベースに来るんじゃ。」
「僕には父の研究を守る義務があります。あなた方と一緒に行くわけにはいきません。」
「バカもんが!」
ケインは持っていた杖で軽くサピオを叩いて気絶させると担いで門を潜ろうとする。
「タップ、お主はエックスとマーティが合流し次第このトランクを出して一緒に来ておくれ。それまでサピオ君は儂等が面倒を見る。」
「サピオ様をよろしくお願いします!」
「任せておけ!」
そう言うとケインは門を潜り、タップはトランクを閉じて口に放り込むと物陰に隠れながらエックスたちが来るのを待つ。
「波動拳!!」
「・・・・・・」
クイックマンは、エックスの波動拳を巧みに避けていく。エックスは、先ほどよりも威力と弾速が著しく向上したチャージショットを連続で撃ち込む。
「・・・・・・」
「ハア・・・ハア・・・・クッ!」
破壊衝動に呑まれないようにしながらエックスは、特殊武器を展開する。
「トルネードファング!!」
「フン!」
発射される小型ドリルミサイルをクイックマンは、サーベルで一つ一つ丁寧に斬り落とす。
「レイスプラッシャー !!」
光の弾をマシンガンの如く連射されるも更に加速して回避されて行く。
「ハア・・・・・ハア!」
「・・・・・・・・・」
頭を押さえながらバスターからプラズマチャージショットを連射するエックスの背後にクイックマンは、体の各部が加速によるGに悲鳴を上げながらもサーベルを振り下ろす。
「ふ、フロストタワー!!」
エックスは、自分の周囲に冷気を放ち、巨大な氷魂を形成して盾代わりにする。しかし、クイックマンのサーベルは氷塊すらも打ち砕き、エックスの後頭部に直撃した。
「ガハッ!?」
エックスは前方に飛ばされ、壁に衝突する。クイックマンは一瞬右腕に痺れを覚えるが構えを解かずにその場にとどまる。
「・・・・・・・」
しばらくするとエックスは瓦礫の中から起き上がる。先ほどとは違い息を荒くしていないもののその殺意は比べ物にならないほど大きく変化していた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・」
エックスは構えを取り、高速でクイックマンに急接近する。クイックマン自身もエックスの攻撃をサーベルで受け止めるがその攻撃の重さは倍以上になっている。
「!?」
「・・・・・・ここからが本番だ!!」
「・・・・・・・」
エックスとクイックマンの凄まじいラッシュが開始される。
もし、この場にケインたちが残っていれば一体何が起こったのかわからないのかもしれない。その裏ではエックスが拳を、クイックマンはサーベルと手刀で攻撃の打ち合いをしているのだ。
「波動拳!!」
一旦距離を取るとエックスは今までにない速度の波動拳をクイックマンに連続で放つ。クイックマンは速度を上げて回避していくが体の限界以上に速度を上げているため、徐々に体のいたるところから煙を吹き出し始めていた。
「昇龍拳!!」
「・・・・・」
エックスの昇龍拳をクイックマンはサーベルで受け止める。無理やりな加速が災いし、サーベルからひび割れをはじめ、そのひびが持っていた右腕にも及ぼうとする。クイックマンは腕全体が影響を受ける前に右腕を手刀で切断し、エックスと対峙する。エックスの方もよく見ると先ほど負った傷口からエネルギーが血のように流れていた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
両者は無言で沈黙するがそこへドクロボットたちが到着する。
「「「「・・・・・・(ターゲット、確認。排除開始)」」」」
「・・・・・・雑魚は引っ込んでいろ!!」
エックスは、現れたドクロボットを赤黒く変化したプラズマで一掃する。ドクロボットたちは武装を展開する前に赤黒い光弾によってことごとく破壊される。
「これで邪魔者はいなくなった。最終ラウンドだ!!」
「・・・・・・・・・」
二人は再び格闘戦を再開する。クイックマンは、左腕で不利になっていながらもエックスとほぼ互角に渡り合っており、エックスは攻撃を強める一方で傷口が悪化していく。
「・・・・・・・・」
「波動拳!波動拳!!」
闘気を纏った波動拳はクイックマンへと向かって行く。避けられても撃ち続け、エックスは徐々に体力を消耗して行った。
「ウ、ウゥウウウ!!」
「・・・・・暴走か。」
戦闘が長引くにつれてエックスは傷のダメージと破壊衝動に呑まれて行こうとしていた。エックスは、バスターを見境なく撃ち始める。
「ウオォォオオオオオオ!!」
「・・・・・・」
回避するクイックマンは、左腕でエックスを殴る。エックスは攻撃でノックバックするもののすぐにバーニアで態勢を整え直し、ノヴァストライクを仕掛ける。
「・・・・・・」
クイックマンに避けられるもののエックスは咄嗟に彼の足を掴む。
「!?」
「ハアァァァァァァアア!!」
エックスはクイックマンを何度も地面に叩きつけて壁に放り投げる。クイックマンはすぐに起き上がるがエックスの攻撃は終わらず、さらに一発、もう一発と殴り続ける。
「・・・・・違うな。」
「何ッ!?」
クイックマンの一言にエックスは動揺する。その隙にクイックマンは頭突きを喰らわせエックスを怯ませる。
「お前の真の力はこんなものではない。」
「グッ!?」
クイックマンの回し蹴りがエックスの腹部に炸裂する。
「お前の真の力は、こんな暴走した力ではない。何か別の・・・・・・あのロックマンと同じものを持っているはずだ。」
「くっ!ソウルボディ!!」
エックスは自分の分身を飛ばすがクイックマンは手刀で消してしまった。
「ハア・・・・ツインスラッシャー!!」
「無駄だ。」
斬撃もすんなりと避けられ、エックスは焦り続ける。
(勝てない・・・・・このままじゃ奴には勝てない!!)
「ハアアアアアアアアアアアアア!!!」
『鬼』としての闘争本能をすべて開放し、エックスは、その闘気をすべて両腕に込める。
「滅殺豪波動!!」
部屋を吹き飛ばしかねないエネルギー波を両腕から発射する。その光にクイックマンは呑み込まれて行った。
その破壊力は、部屋のすぐそばにまで戻ってきていたマーティも目にしていた。
「な、何ッ!?この光は!?」
エネルギー波が完全に消えると部屋のあった場所は見事に抉れていた。
「ハア・・・・ハア・・・・・ハア・・・ハア・・・・・」
目が点滅しかけながらエックスはクイックマンの立っていた方を見る。そこは跡形もなく床も抉り取られていた。
「ハア・・・・・ハア・・・・・ウッ!?」
エックスは煙の中を見て目を疑う。
「・・・・・・・・・」
そこにはボロボロになりながらも滅殺豪波動を耐えきったクイックマンが立っていた。
「・・・・・・・これで終わりか?」
「ウ・・・ウ・・・・・ウワアアアアアアア!!!」
エックスは、これでもかと言わんばかりに波動拳を放とうとする。
「エックス!」
「!?」
後ろからのマーティの声にエックスは振り向く。
「ま・・・・・・マーティ・・・・・・」
「アンタ・・・・・また・・・・・・」
「・・・・・・」
マーティの姿を見るなり、エックスの目の色は元に戻る。それを確認するとクイックマンは背を向けて去る。
「ま、待て!」
エックスは、バスターを撃とうとするがマーティに押さえられる。
「もう、いいのよ!奴は逃げていくのよ!?」
「でも、増援が来たら・・・・・うっ!?」
エックスは脇腹の傷の痛みに膝をつく。マーティは、すぐに傷口を見る。
「こんなにボロボロになって・・・・・・・アタシを一人で置いて逝くつもり!?また、あんな姿になって!?」
「で、でも・・・・・・」
「アタシはエックスのことを一番大事に思ってるの。そんな無茶をして死ぬようなことがあったら・・・・・・アタシは・・・・・・アタシは・・・・・・・」
「あっ・・・・・」
泣き出してしまったマーティを見てエックスはまたやってしまったと思った。
「・・・・・・ごめん。でも、アイツに勝つには仕方ないと思ったんだ。アイツは今まで戦ってきたイレギュラーの中で一度も体験したこともない強さがある。だから・・・・・・かつてVAVAやシグマで使ったあの力が・・・・・」
「う、うぅ・・・・・エックス。アタシね、昔ね、アンタと同じようなことを考えたことがあるの。助けてもらいっぱなしで本当にこのままでいいのかなって・・・・・・でも、そんなときあのおじいさんが教えてくれたわ。アンタは自分の守りたいものを守るために戦っている。アタシやビートブード達、そして、みんなを護る為に。その心がアンタ自身の力を高めているって。」
マーティに膝枕されながらエックスはきょとんとした顔になる。
「ライト博士が・・・・・・・」
「確かにここ最近の敵は強敵ばかり・・・・・・でも、心を失えばその力は何の意味もなさないわ。さっきのまま戦っていたらエックスは、あのイレギュラーに負けていたのかもしれないわ。心も体も・・・・・・」
「マーティ・・・・・」
傷口を応急処置してもらいながらエックスは、マーティの顔を見る。
「これからも一緒にいるんだから、自分の身体を大事にしなさいよね。でないと・・・・・・・・じいさんに頼んで離れられないように背中と背中をくっつけてもらって一生離れないようにしちゃんだから。」
「・・・・・ふう・・・・・・わかったよ。君にまた心配かけさせちゃったな・・・・・・・」
エックスは、それ以上何も言えず応急処置を受ける。
ラビリンス 入口
「・・・・・・・・」
クイックマンは、エックスたちと別れてすぐに入口にまで戻ってきていた。
「おっ!あの方が戻られたぞ・・・・・ん!?」
「「「「あっ!?」」」
ネジリン将軍たちはボロボロになったクイックマンを見て唖然とする。
「そ、そのお姿は・・・・・・・・」
「・・・・・・この迷宮は途中で塞がれている。ドクロボットも全滅した。一回撤収しろ。」
「は、はっ!」
クイックマンに言われてネジリン将軍は敬礼する。
現にクイックマンを追ってラビリンスに乗り込んだ他の兵隊たちも戻ってくる様子はない。もしや、ネジが切れてしまったのかもしれない。となると長距離移動可能なドクロボットをまた連れてこなくてはならない。
クイックマンは、メカドラゴンに乗るとブリキン島から離脱する。
「・・・・・・・・・やはり、アイツは、ロックマンと同じだな。」
二人の姿を見てクイックマンは、ふと100年前の敵・・・・・・ライトナンバーズたちの姿を思い出していた。
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