夢幻水滸伝
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第百四十一話 敵影発見その三
「それもや」
「軍師の仕事か」
「そんなことまず不可能でもな」
それでもというのだ。
「僕はそういう風にしたい」
「それでか」
「二次大戦中の状況でもな」
「硫黄島ではか」
「撤退させてるわ」
「それが常識か」
「普通に考えたらな、しかしあの人達は戦った」
栗林忠道中将を中心とした硫黄島を守備する日本軍の将兵達は実際にそうした、最後の一兵までそうしたのだ。
「恐ろしい話や」
「人の限界を超えてるか」
「まさにな」
その域に達しているというのだ。
「あの人達はな」
「それでそう言うんやな」
「そや、この世界でも浮島ないとな」
空に浮かんでいるこの島々がというのだ。
「硫黄島は補給基地には使えん」
「そうした場所やな」
「そや、そんな島もあるんや」
「こっちの世界にもやな」
「そういうことや、まあとにかくな」
ここまで話してだ、芥川は話を変えた。
「これからな」
「アメリカ軍との決戦やな」
「そや」
まさにというのだ。
「そうなるわ」
「綾乃ちゃんが囮か」
「というか向こうが来る」
アメリカ軍の方がというのだ。
「そうしてくるからな」
「それにか」
「こっちは乗ってな」
そしてというのだ。
「戦うのがな」
「今回の戦の仕方やな」
「敵の考えがわかってるなら」
それならというのだ。
「そこをや」
「衝くことやな」
「そや、あと一つ言うておくけどな」
「何や?」
「策は何でも嵌れば強いが」
「戦術、戦略でもやな」
「謀略でも作戦でもな」
そういったものでの話だとだ、芥川は話した。
「強いけどな」
「それでもやな」
「見破られて返させるとな」
「その時はやな」
「そや、倍返しや」
「そうされるもんか」
「それだけに怖いもんや」
策はそうしたものだとだ、芥川は中里に話した。そして彼は中里に対してこうしたことも話したのだった。
「野球でも相手チームの四番を敬遠策で封じる」
「どうしても無理やとやな」
「けどな、この策はな」
「次の五番やな」
「五番を完全に封じんとな」
「倍返しになるか」
「敬遠は確かに打たれん」
このことは間違いないとだ、芥川は話した。
「確実にな、けどランナーを一人出す」
「一塁におっても得点の元やしな」
「そこで五番に打たれるとな」
「一点入るか」
「そして四番を封じても」
例えそうしてもというのだ。
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