夢幻水滸伝
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第百四十一話 敵影発見その一
第百四十一話 敵影発見
日本の移動要塞である蓬莱は江戸方面から硫黄島の方に向かいそして硫黄島からさらにサイパンの方に向かっていた。
だが芥川はそちらに7向かいつつ中里に話した。
「サイパン近くまではな」
「行かへんのやな」
「そこまではな」
こう言うのだった。
「いかんで」
「そうするんやな」
「そや、それでや」
「アメリカ軍とはやな」
「相手は本土からハワイ、サイパンに至ってるな」
「まさに島づたいにな」
「そうしてきてる、ほなな」
それならというのだった。
「こっちも本土から硫黄島に来たけどな」
「あまり深くはやな」
「進まんとな」
それでというのだ。
「戦うで」
「そうするんやな」
「あまり敵地に深く入ってもな」
そうしてもというのだ。
「今は意味ないやろ」
「アメリカ本土に入る訳でもないしな」
「サイパン占領もな」
彼等の拠点であるこの島もというのだ。
「せんやろ」
「アメリカとの決戦や」
「一戦でのな」
「それやからやな」
「こっちの望む場所で戦えばええんであって」
「敵地に深く入ることはないな」
「むしろ深く入るとな」
そうすると、というのだ。
「敵の地の利のある場所に入る」
「そうなるからやな」
「避けた方がええ」
絶対にとだ、芥川は中里に話した。
「出来るだけな」
「そういうもんやな」
「そや、もうこっちはな」
「こっちの望む戦場にすぐに行けるな」
「そこはもうすぐ南や」
「そこやな」
「見晴らしはええし戦の頃にはな」
その時間帯にはというと。
「もうな」
「着くな」
「そうなるからな」
だからだというのだ、芥川はさらに話した。
「ここはな」
「急ぐこともないな」
「そや、しかしこっちの世界の硫黄島も」
芥川は今度はこの島について話した。
「名前の通りやな」
「ああ、硫黄島っていうな」
「火山島でな」
「人が暮らせる場所やないな」
「そやから人はおらん」
住んでいる者、即ち住人はというのだ。
「そうした島や、むしろな」
「硫黄島の周りの浮島達の方がな」
「遥かに環境がよくてな」
「実際に人も住んでてな」
「それでや」
そのうえでというのだ。
「補給基地としても使える」
「僕等も実際に使ってるしな」
「そうした場所やな、あんな島で戦うとか」
第二次世界大戦の硫黄島の戦いについても思いを馳せて話した。
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