戦国異伝供書
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第九十五話 負け戦その四
「瀬戸山城が陥ちました!」
「何っ!?」
「尼子家の別動隊に急襲を受け」
そしてとだ、驚く義隆達にさらに話した。
「そしてです」
「陥ちたというか」
「はい」
そうなったというのだ。
「それがしその瀬戸山城から来ました」
「な、何と」
「やはり」
驚く陶達とは正反対にだった、元就は毛利家の家臣達と共に冷静でいた。そうして元就はこう言った。
「その瀬戸山城が攻め落とされた今です」
「もうか」
「はい、戦は止めて」
そしてとだ、元就は義隆に話した。
「退きましょうぞ」
「今すぐにか」
「今なら何とか大軍でもです」
「戻せるか」
「それが出来ます、後詰は我等が務めます」
元就は義隆にそちらのことも申し出た。
「ですから今すぐです」
「我等はか」
「はい、退かれて下さい」
こう言うのだった。
「是非共」
「任せてよいか」
「はい」
まさにという返事だった。
「ここは」
「そうか、ではな」
義隆も瀬戸山城が攻め落とされては頷くしかなかった、さしもの陶も同じであった。無論大内家の他の家臣達も。
そしてだ、大内家は。
すぐに陣払いに入りそしてだった。
退きに入った、元就はすぐに自軍の陣に戻り共に戻った家臣達に告げた。
「ではじゃ」
「これよりですな」
「後詰を務めますな」
「そうしますな」
「既に用意はしてある」
退きのそれはというのだ。
「ではな」
「戦っていきますな」
「安芸に下がるまで」
「そうしていきますな」
「そうじゃ、陣には柵と堀を用意してある」
既にというのだ。
「ではな」
「戦えますな」
「敵の攻めに持ち堪えられる」
「それが出来ますな」
「うむ、そして徐々にな」
戦いつつというのだ。
「そしてじゃ」
「退いていく」
「そうしていきますな」
「安芸まで」
「その様に」
「そうじゃ、敵を防ぎ逆に追い払い」
そしてというのだ。
「退く、そしてまたな」
「敵が来ればですな」
「また退ける」
「そうしていきますな」
「それを繰り返してな」
そのうえでというのだ。
「安芸まで下がるぞ」
「苦しい戦になりますが」
それでもとだ、元網は言ってきた。
「していきますな」
「一人でも多くの者を逃がしつつな」
「そのうえで」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
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