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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十六話 香織さんとの距離その十一

「地元じゃ名君だったんだよね」
「それ有名よね」
「いつも領民の為に善政を敷いていて」
「領民の人達に物凄く慕われていたのよね」
「そんな人だったんだ」
 これが吉良さんの真実だ。
「逆に浅野さんその時胃潰瘍で」
「神経質になってて」
「それで被害妄想にもなっていて」
 しかも仕事のストレスもあってだ。
「それでだったみたいだよ」
「遺恨といっても」
「それもね」
 刃傷沙汰になった原因と言われるそれもだ。
「実はね」
「浅野さんの被害妄想で」
「実際はそういうのなかったみたいだよ」
「つまりストレスでイライラしてる人の突発的行為だったのね」
「あのお話はね」
「そうだったのね」
「それにね」  
 僕は香織さんにさらに話した。
「江戸城の中で刀抜いたら」
「切腹は仕方ないわね」
「改易になってもね」
 浅井家がお取り潰しになってもだ。
「仕方ないよ」
「そんなことをしたら」
「ましてこの時って将軍様のお母さんが官位授かるから朝廷の方が来られて」
「それを迎えるものだったわね」
「そんな時にそんなことしたから」
 もうそれこそだ。
「幕府も面子丸潰れだから」
「余計に怒ったのね」
「実際滅茶苦茶怒って」 
 その将軍である徳川綱吉さんが駄、実はこの人は武士には厳しいけれど民百姓には寛容で仁愛を基にしたいい政治を行っていたらしい。
「切腹になったんだ」
「もうその日によね」
「外でね」
「これが駄目って言う意見もあるのよね」
「大名だったからね」 
 その浅野さんがだ。
「何といっても」
「格ね」
「そう、大名の格があって」
 それでだ。
「大名は即刻切腹じゃなくて時間を置いてしかもお部屋の中での切腹がね」
「大名の格だったの」
「それを幕府の面子しかも大事にしているお母さんのお祝いの場だったのに潰されて」
「将軍様も怒ったのよね」
「徳川綱吉さんもね」
「怒って当然よね」
「幕府にとって面子って財政より大事だったから」
 何しろ諸藩の手本になるという面子の為に租税を軽くしていてそれで慢性的な財政難に百六十年位苦しんでいた程だ、幕府の領地つまり天領では実際お家が大きかったという。それだけ租税が軽く豊かだったのだ。
「その幕府にね」
「そんなことしたら」
「もうね」
 それこそだ。
「即刻外で切腹もね」
「仕方ないのね」
「もう幕府にとってみたら」
 つまり綱吉さんからしてみればだ。
「切腹させただけでもね」
「ましとか?」
「そんな考えだったかもね」
「そこまで幕府怒ったのね」
「江戸城で刀抜いただけでもアウトだから」
 もうその時点でだ。 
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