麗しのヴァンパイア

　　　　　　　　　　　　　　　　第二百五十七話　　公家眉
　亜美はセレニティとアルテミスに自分の部屋でも話した。
「公家眉とかな」
「考えてみましたか」
「その形の眉は」
「ちょっと考えてみたけど」
　それでもというのだ。
「これはな」
「どうもですね」
「それは、ですね」
「あかんな」
　こう二匹に話した。
「どうも」
「あの眉毛はです」
　セレニティが話した。
「やはり公家の方でないと」
「似合わんな」
「白塗りにして」
「お化粧してな」
「さもないとです」
「やっぱりそやな」
「そしてその恰好は一歩間違えますと」　
　セレニティは自分の主にさらに話した、その言葉はかなり考えてそのうえで出しているものであった。
「殿様といいますか」
「あのコントやな」
「ああなりますので」
　だからだというのだ。
「選ぶかと」
「まさかと思いますが」
　今度はアルテミスが言ってきた。
「ご主人様は」
「あの殿さまになりたいか、やな」
「そうなられたいですか」
「それはな」
　どうかとだ、亜美はアルテミスに話した。
「ないわ」
「そうですね、ではです」
「あの眉毛はやな」
「されない方がいいです」
「やっぱりそやな」
「それよりもです」　
　むしろというのだ。
「普通の眉を考えられる方が」
「ええな」
「今の普通の形の」
　公家のそれよりもというのだ。
「そうあるべきです」
「ほなな」
　亜美はアルテミスの言葉にも頷いた、そうしてだった。
　あらためて眉のことを考えた、そうして言うのだった。


第二百五十七話　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２０・４・２６