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八条学園騒動記

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第五百七十話 タイツはないその八

「それでもね」
「自分がするのは嫌だね」
「これが日本の着物ならいいよ」
 こちらはというのだ。
「江戸時代とかの」
「ああ、時代劇の」
「町人の恰好もね」
「どっちも確かにいいね」
 マルティもそれはと答えた。
「実際に」
「そうだよね」
「私も着物好きよ」 
 七海もそちらについては笑顔で話した。
「振袖もお姫様の恰好もね」
「どっちもなんだ」
「ええ、そうした格好になったら」
 その時はというのだ。
「かなりね」
「いいと思うんだ」
「私としてはね」
「どっちもなんだね、七海は」
「ええ」
 七海はマルティに答えた。
「そう思ってるわ、ただね」
「ただ?」
「考えてみればね」
 七海はマルティそして彼とこれまで話をしていて一緒にいるネロについてあらためて話をした。考える顔で。
「町娘とお姫様って身分違うわよね」
「全然違うよ」
 ネロが答えた。
「というか日本人でそう言う?」
「だって身分とか言われても」
 それでもとだ、七海はネロにすぐに返した。
「日本は明治維新以降身分ないから」
「それでなんだ」
「服ってお金があれば」
 それによってというのだ。
「何でも買えるものってね」
「そう考えてるんだ」
「豪奢な服も」
 ここではお姫様が着る様なものである。
「お金があればね」
「買って着れるってなんだ」
「思ってるし」
「それでなんだね」
「実は身分って言われても」
 日本に江戸時代まであったそれである。
「ピンと来ないのよ」
「それ連合だね」
「そうでしょ、お姫様っていうと」 
 七海はこうも言った。
「プリンセスよね」
「銀河語で言うとね」
 マルティが答えた。
「そうなるね」
「日本の皇室や各国の王室の女性の方だけれど」
「そうした方々は特別だね」
「ええ、殿様やお公家さんのご息女と言われても」 
 それが姫と言われてもというのだ。
「どうもね」
「ピンとこないんだ」
「そうなのよ、だからお姫様の格好も」
 高貴だとされるこの服装もというのだ。
「あまりね」
「お金持ちのものっていう認識で」
「身分って言われても」
「ピンと来ないんだ」
「そうなのよね」
「それは仕方ないね、実際カラーとか」
 ネロがまた七海に言ってきた。
「それって貴族のものだったし」
「当時のイギリスの庶民は着ていなかったのね」
「コッドケースとか色とりどりのタイツとかね」
「そうした格好も」
「それなりの身分の人の服だったよ」
「そうなのね」
「もう一般庶民は」
 当時の町人や農民はというのだ。 
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