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八条学園騒動記

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第五百七十話 タイツはないその七

「定着したんだ」
「王子様が着るみたいな」
「ロミオもそうだしね」
 ネロはまたこのキャラクターの名前を出した。
「それで今回のお芝居も」
「ウィンザーの陽気な女房達でも」
「タイツだったりするから」
「まだ美少年のタイツ姿はいいけれど」
 それでもとだ、七海はさらに話した。
「お鬚のおじさんのそれはね」
「駄目なんだね」
「顔中お鬚だらけの太ったおじさんが」
 七海は話しながら二十世紀から二十一世紀にかけて活躍したイタリアのテノールであるルチアーノ=パヴァロッティを思い出しつつ話した。
「タイツに提灯ブルマはね」
「駄目なんだ」
「それでマントで羽根つき帽子よね」
「靴は先が尖っていてね」
「絶対にアウトよ」
 生理的に受け付けないというのだ。
「そうした格好は」
「そんなに駄目なんだ」
「私はね、というかね」
 七海はさらに話した。
「男の人のタイツは謎ファッションよ」
「どうしてあのファッションが生まれたか」
「ズボンもあったのにね」
「まあファッションって色々だね」
 マルティは穏やかな声で話した。
「その時代のその地域で」
「必然でそうなる場合もあるのよね」
「ちょん髷とかね」
「あれは兜を被ると頭がむれるからね」
「剃ってたんだね」
「そうだったんだよ」
 こう七海に話した。
「あの髪型はね」
「そうよね」
「そうした場合もあるし」
「あとお洒落で」
「ウィンザーの陽気な女房達のイギリスだと」
 イングランドのことである。
「カラーがね」
「ああ、女の人のね」
 ネロが応えた。
「エリザベス一世の肖像画とかの」
「あのエリマキトカゲみたいなのも」
 そこまで大きなカラーもというのだ。
「ファっションでね」
「あったんだね」
「ネロが言うにはあのコッドケースも」
 これもというのだ。
「ファッションだよ」
「今あの恰好させられたら羞恥プレイだよ」
 ネロははっきりと言い切った。
「流石に」
「けれどネロが言ったじゃない」
「そうだけれどね」
「それでも自分があの恰好をすることは」
「羞恥プレイだよ」
 それに他ならないというのだ。
「本当にね」
「そうだよね」
「うん、歴史はわかっていても」
 それでもというのだ。
「僕自身がその恰好をするとなると」
「嫌だよね」
「絶対にね」
「若し」
 ここでこうも言うネロだった。
「あのファッションで行こうて話になっていたら」
「ネロも反対していたね」
「うん、カラーもね」
 ウィンザー期の襟巻の様なそれもというのだ。
「嫌だったよ」
「あれ動きにくそうだしね」
「当時の欧州ではこちらも結構あったけれど」
 ファッションとしてというのだ。 
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