八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十六話 香織さんとの距離その二
「フィルダーとか先生に言われたんだよね」
「確か阪神に一年いた」
「メジャーにもいたね」
「その人よね」
「何でもこの人も調子の波が激しくて」
「それで西園寺君は、そう呼ばれてるのね」
「フィルダーってね」
この助っ人の名前をそのまま付けられたのだ。
「結構悪い表現だね」
「そうね」
「まあ普段は成績いいから」
その西園寺君もだ。
「たまにね」
「酷い時があって」
「その時が本当にね」
「酷い点数なのね」
「いつも九十点取る人が赤点とかね」
そうした風にだ。
「極端なんだよね」
「確かに極端ね」
「うん、ただフィルダーさんはメジャーだとね」
阪神に一年いた後で復帰したのだ。
「安定感ないどころか」
「よく打ったのね」
「そうなんだよね、もっと言えば」
「もっとっていうと」
「阪神でも波があったのは最初だけで」
もう途中からはというと。
「結構安定してね」
「打っていたのね」
「そうみたいだよ」
「そうだったの」
「流石にバース程じゃなかったにしても」
この人は流石に別格だ。
「結構以上に打ったみたいだよ」
「だからメジャーでも活躍出来たのね」
「そうみたいだよ、ただね」
「ただ?」
「阪神って結構バッターの助っ人はね」
「あっ、そういえば」
香織さんも僕のその言葉に応えて言ってきた。
「昔はね」
「所謂外れの人多かったね」
「そうよね、図書館にも阪神の本あるけれど」
僕達はもうその図書館の中に入っている、そこで二人で話した。二人でその阪神の本があるスポーツコーナーの方を見ている。
「ピッチャーの助っ人はいいのに」
「バッターになるとね」
「どうかってなってるわね」
「これも伝統みたいで」
その阪神のだ。
「かつてはね」
「バッターの助っ人はどうかって人が多かったのね」
「打たないチームだったのに」
それで助っ人を獲得してもだ。
「その助っ人がね」
「打たないから」
「だからね」
その為にだ。
「阪神はずっと暗黒時代だったんだ」
「長かったのよね、暗黒時代が」
「かなりね」
もうそれが伝説になっている位にだ。
「バッターの助っ人をざっと見ても」
「打たない人ばかりで」
「中には中々来ない人もいたよ」
この人のことはあのいつも余裕のある感じの親父ですらどうかという顔になって僕に真剣な顔で話してくれた。
「グリーンウェルって人だけれど」
「その人私も知ってるわ」
香織さんはこう答えてくれた、二人共足は自然とスポーツの本が置かれているそのコーナーに向けていた。
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