ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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ネズミ大騒動
ハンターベース
アイリスが研修生としてハンターベースに来てから三日目。
アイリスは、元々の目的であるオペレーターとしての研修を受けながらもホーネックの手伝いをしたりと充実な日々を送っていた。
「ゼロ隊長、今日の提出書類持ってきました。」
「あ、あぁ・・・・・・・・すまない。」
「今日もちゃんとやってくださいよ?」
「わかったわかった。だから、もうそう何度も言わないでくれ。」
ゼロは困った顔をしてアイリスから書類を受け取る。実はというと初日以降、ホーネックと二人がかりで見張られているのだ。
(普段は外での仕事が多かったからな・・・・・・くっ!パトロールに行くと言ってこの場から離れたい!体が身震いする!)
そうは思うものの逃げられない。
何故ならすぐ近くの机ではアイリスが研修レポートを作成しているからだ。彼女がいなくなるとホーネックが交代で見張るため逃げようにも逃げられない。力づくという方法もあるがカーネルの妹である以上、それはできない。
「・・・・あら?ゼロ隊長、手が止まっていますよ?」
「ぬっ!?」
「もう、しっかりやってください。じゃないと書類がこの間みたいに溜まっちゃいますよ。」
「あ、あぁ・・・・・・」
笑っているアイリスにそう言われながらゼロは、どうにか書類を書き終えるのに成功した。
(隊長、うまくやっているようですね・・・・・・あの子と意外に相性がいいかも・・・・・はあ、それだけに研修期間が限られているのが残念だな・・・・・・)
部屋の外ではホーネックがドアの隙間からそっと二人のことを見守っていた。
一方、こちらは17部隊の倉庫。
「・・・・・・・・いたか?」
ビートブードは、虫網やら罠やらを設置して部下たちに聞く。
「いえ、こっちにはいません。」
「こっちもいません。」
「ここにも。」
「うん・・・・・・・ここにいない以上ハンターベースのどこかに逃げ込んだ可能性が高いな・・・・・」
ビートブードがこんなに焦っているのには訳があった。
それはほんの数十分前、ドラえもんが気分転換にハンターベースの手伝いに来た時のことだ。
ハンターの一人が最近発売された観賞用の超小型ハツカネズミ型メカニロイドを見せびらかしていた時に偶然その場を見てしまい・・・・・・
「ぎゃああぁぁああ~!!!ネズミ~!!」
っと、ショックガンを撃ってしまったのだ。
おかげでメカニロイドは暴走、ハンターベースのどこかへ逃げてしまい、現在捜索中なのだ。
「むう・・・・・・まさか、エックス隊長が言っていた事がこんな事態を招くとは・・・・・・・」
ビートブードは頭を抱える。
新婚旅行出発前
「ビートブード、言っておくけどネズミに関係するものは決してドラえもんの前で見せないでくれよ。」
「えっ?どういうことですか?」
出発前のエックスに言われてビートブードは首をかしげる。
「ドラえもん・・・・・ネズミが大の苦手なんだ。昔色々あってネズミの単語の一文字を聞いただけでも銃を見境なく乱射してくるから。最悪な場合、ハンターベースごと吹き飛ばしかねない。」
「そうなんですか?」
「あぁ・・・・・・俺も人間だった頃、危うく地球ごと消されるかと思ったよ(深い意味で)。」
「・・・・・・わ、わかりました(汗)。」
「うん。後、ネズミ以外にもハムスターとかもダメだから気をつけてくれ。」
「はあぁ・・・・・・早いところ見つけ出さないと豪いことになるぞ。あのメカニロイド、駆除用として特殊な音波で小動物を誘導する機能がついていたらしいからな。もしかするとハンターベース中のネズミを集めているのかもしれない。」
ビートブードは部隊を割いて、ハンターベースをくまなく探すよう指示してその場から離れて行った。
第0特殊部隊隊長室
「ゼロ隊長、今日は早く終わりましたね。」
「そ、そうだな・・・・・(そんな明るい目で見ないでくれ。恥ずかしいったらありゃしない)」
ゼロは、早くこの場から離れたいとばかりに首を傾げていた。ちなみに先ほどまで見張っていたホーネックは自分の仕事に戻るためもういない。
「じゃあ、私はレポートと一緒にホーネック副隊長に提出してきます。」
「あぁ。俺は街のパトロールに行くから時間になったら戻ると伝えておいてくれ。」
「わかりました。」
そう言うとアイリスは書類とレポートを取って部屋から出ようとドアを開けた。
「きゃあぁ!?」
「どうした!?」
ゼロは悲鳴を上げるアイリスの後ろに立つ。
「な、なんだこれは!?」
廊下ではネズミの集団が何かから逃げるかのように通り抜けていたのだ。
「な、なんでネズミがこんなに・・・・・・・・」
「ネズミ~!!!」
「「!?」」
二人は大声と共に近づいてくる爆発音に思わず反対側を見る。
そこには、マシンガンを見境なく乱射しているドラえもんの姿があった。
「ネズミ!!」
ドラえもんはネズミを狙い撃ちするべくマシンガンをゼロたちに向かって放つ。
「伏せろ!!」
ゼロはアイリスの盾になってドラえもんの銃弾を受ける。見た目は通常のマシンガンだが威力は底知れず、レプリロイドであるゼロにも十分通じる威力だった。
「グウゥ!?」
「ゼロ隊長!?」
「ネズミ~!!」
ドラえもんは血眼になってネズミの集団を追いかけて行った。アイリスは自分を庇ってダメージを受けたゼロの顔を見る。
「だ、大丈夫ですか!?」
「このくらい・・・・・・問題ない。」
ゼロは起き上がるとヨロヨロと歩きながらもドラえもんの後を追おうとする。
「ダメですよ!ちゃんとメディカルルームで診てもらわないと・・・・・」
「アイツは、俺の仲間のかけがえのない親友なんだ。あのままだとイレギュラーに認定されかねん。早く止めなければ・・・・・・」
「でも・・・・・」
「あっ!ゼロ隊長!大丈夫ですか!?」
そこへホーネックとビートブード、はたまたこの間会ったしずかたちが駆けつけて来た。
「ドラえもん見ませんでした?」
「・・・・さっき、暴れながら向こうへ行った。」
「「やっぱり。」」
「早くドラちゃんを止めないと・・・・・」
「ドラえもんって・・・・・さっきのイレギュラーみたいな方ですか?」
アイリスは恐る恐る三人に聞く。
「いや、あれはドラえもんの反射的行動なんだ。」
「えっ?」
「のび太さんや本人から聞いたことがあるんだけどその昔、ネズミに耳を齧られちゃって・・・・・・それがトラウマであそこまで敏感になったの。」
「そ、そうなんですか・・・・・。」
アイリスは、しずかの言葉を聞いて思わずあの無茶苦茶ぶりに納得できた。確かに一瞬しか見ていなかったがドラえもんの頭に耳は付いていなかった。おそらく、ネズミに齧られたのが原因なのだろう。
「どうする?あの状態のドラえもんじゃおそらくまともに話を聞いてくれないよ?」
「う~ん・・・・・・要はネズミを誘導しているロボットを止めればいいんだろう?だったら、そいつを壊しちゃえばいいんじゃないか?」
「なるほど!」
「でも、今度は残ったネズミたちで・・・・・・・!そうだわ!」
しずかは、何かを思い出したのかのようにポケットに手を突っ込む。そして、中からスペアポケットを取り出した。
「「あっ!スペアポケット!?」」
「のび太さんが旅行に行く前に渡しておいてくれたの。これで何とかできるわ。」
しずかは早速、ポケットから道具を探し始める。
「えっと・・・・・・ハメルンチャルメラ!」
ポケットから一つのラッパのようなものを出す。
「これは?」
「この道具は片付けたいものに向かって吹くと、片付けたいものが、山へ独りでに行くの。そして、二度と帰ってこないわ。」
「おぉ~!そいつはちょうどいいもんだぜ!」
「でも、問題は誘導しているロボットに止めてから聞かせないといけないの。」
「えっと、待ってくださいね。メカニロイドの反応は・・・・・・・・」
ビートブードはレーダーで位置を確認する。反応はちょうど止まっているが周辺にはネズミと思われる反応が多数確認できる。
「困りましたね・・・・・こうも多いのでは。」
「あの・・・・・」
「ん?」
「わ、私もお手伝いさせていただけないでしょうか?」
「「「「えっ?」」」」
「あ、アイリスさん!?」
「さっき、大事なお友達をイレギュラー呼ばわりしてしまったことについても申し訳ないので。それに、人間であるあなた方を危険な目に遭わせたくないので・・・・・」
「何言ってんだよ!友達を止めるのに人間もロボットもレプリロイドも関係あるかってんだ!」
申し訳なさそうに言うアイリスにジャイアンは、責めずに言う。
「そうだよ。ネズミがいなくなればドラえもんも大人しくなるし、みんなでやればうまく行くよ。」
「のび太さんを不安にさせる訳にもいかないものね。」
「・・・・・・(人間ってこういう人たちもいるんだ・・・・・)」
三人を見てアイリスはさりげなく感心する。
「よし!じゃあ手分けしてネズミをおびき出そう!そして、残った奴が道具を使って誘導させる!これでうまく行くはずだぜ!」
「そうだな・・・・・ネズミに対しては餌でおびき寄せればいいんじゃないかな?」
「じゃあ、俺とスネ夫、ホーネック、ビートブードでおびき寄せてしずかちゃんは、ドラえもんを一回機能停止にさせるんだ。そして、えっと・・・・・」
「あ、アイリスです!」
「そうそう!アイリスちゃんは、ロボットネズミを止めて道具を使ってネズミたちをハンターベースから引き離してくれ!」
「は、はい!」
「ちょっと待て。アイリスは飽くまで研修生なんだ。俺が代わりにやる。」
「ゼロ隊長!何言ってんですか!?その怪我で行くのは流石に危険です!」
「だが・・・・・・」
「大丈夫です!誘導ぐらいなら私にだってできます。」
心配するゼロに対してアイリスは、答える。ゼロはその目を見て一瞬戸惑うもののため息をつく。
「頑固なところはカーネル譲りのようだな。仕方ない、とりあえずハンターベースの外まで来い。ライドチェイサーの後ろに乗せてポイントまで運ぶ。運転するぐらいなら問題ないからな。」
「はい!」
「よぉおし!早速作戦開始だ!」
「「おぉ!」」
「「おぉ!」」
「・・・・」
「え・・・・お、おぉ・・・」
作戦はすぐに実行された。
ネズミが集まっている現場に四人は餌をばら撒いてネズミを誘導、そのネズミに釣られて攻撃しようとしたドラえもんを取り押さえ、尻尾を引っ張ることにより無力化。そして、アイリスがバッテリーが切れかけたネズミ型メカニロイドの電源を切った後にハメルンチャルメラを吹く。
音を聞いたネズミたちは一斉に移動するアイリスに付いて行き、外で待機していたゼロのチェバルの後部座席に乗り込むとそのまま誘導され、シティ・アーベルから少し離れた野山へと連れて行かれた。
ただ、このとき、街中のネズミやゴキブリまでも音色を聞いて誘導することになってしまい、街のハイウェイは一時的にゴキブリとネズミの大行進状態になり、市民は絶句した。
翌日にこのことは新聞に『異常現象発生!?ネズミとゴキブリの大行進!!』と載ってしまい、旅行中のエックスやアイリスの兄であるレプリフォースのカーネルが何事かと連絡を入った(前者はドラえもん自らが事情を話し、後者はアイリスが何とか説明して落ち着いた)。
その後、再起動したドラえもんは涙目で全員に感謝したという(特に誤射で負傷させたゼロに関してはガチ泣きで謝った)。
これを機にアイリスも空いている時間はしずかたちとも話す機会が増え、次第にプライベートでも親しい関係になった(ドラえもんに関しては最初は「タヌキさん」と言ったが激怒したので普通の呼び名に変えた)。
ちなみにゼロはカーネルに言われたこともあり、常の彼女から目を離さないよう傍にいた。
「ゼロさんとアイリスちゃんって、なんかカップルとして似合わない?」
「そうだな、のび太とマーティさんと違って別の意味で似合っているな。」
「もしかして、結婚しちゃったりしちゃって・・・・・・」
「まあ、私はそうだと嬉しいんですけどね。私の負担が減りますし(チラッ)。」
「お、おい!?お前たち全員そろってなんでそんな目をする!?」
「でも、あのやり取りを見ていると本当に夫婦みたいだね!」
「ドラえもん、お前まで・・・・・」
第0特殊部隊隊長室では、アイリスがその場にいないことをいいことにゼロの前でそんなことを話すドラえもんたち一同。
「大体な、アイリスはレプリフォース所属なんだ。そんなことできるわけないだろ?」
「「「えぇ~~~!冷たい。」」」
ホーネックとジャイアンたちに細目で見られるゼロ。
「そう言う事じゃない。それに彼女ならもっといい奴が・・・・・・・」
「皆さん揃って何を話しているんですか?」
「「「「「「!?」」」」」」
部屋に入ってきたアイリスを見てゼロたちは、慌てる。
「どうしたんですか?」
「「何でもない何でもない!!」」
「そ、それよりもアイリス・・・・どうした?今日の研修は終わったはずだが・・・・」
「あぁ・・・・実は上層部からすぐに出頭してくれと連絡があったので。」
「何?それは本当か?」
「はい、ゼロ隊長及び各部隊の隊長はすぐに集まれと。」
「・・・・わかった。すぐに行く。」
ゼロはそう言うと部屋を後にしていく。
「ゼロ隊長、今日のイレギュラー事件の始末書は・・・・・・」
「机の上に置いといてくれ。」
「あっ。」
アイリスの言葉を聞き終える前にゼロは部屋から出て行ってしまった。
「もう・・・・・ゼロ隊長ったら。」
アイリスは残念そうな顔で言う。
(・・・・・・・アレだな。)
(うん、間違いなくアレだね。)
(もしかして、アイリスちゃん・・・・・)
(う~ん。ここは温かい目で見守るか【温かい目】。)
(まさかな・・・・・・アイリスさん、意外に耐性ないのかも。)
そんなアイリスの様子を見ながらドラえもんたちはその場を後にした。
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