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ヘタリア大帝国

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TURN42 雨蛙その四

「それに敵が来る数も少ない」
「そうなのですか。それは何よりです」
「ただ来る敵の提督は手強い」 
 柴神はこのことも話した。
「朽木_=イザベラ提督だがな」
「ああ、あいつだね」 
 話を聞いていたキャシーがすぐに言ってきた。
「あいつはやるよ。強いよ」
「戦艦や駆逐艦で我々の様な突撃で来る」
 日本軍の攻撃に似ているというのだ。イザベラの攻撃は。
「当たって砕けろと言わんばかりにな」
「あいつはそうだよ。士官学校の時から攻撃的な戦いをしてたよ」
「貴殿よりもか」
「あたしも攻めるのは好きだけれどね」
 だがそれでもだとだ。キャシーは右手を首の高さで動かしながら話す。
「あいつは特別だよ。しかも勉強もちゃんとしてるしね」
「士官学校で主席だったんだよね」
 ネクソンが相変わらずの案山子を思わせる顔で話してきた。
「几帳面な性格だしね。真面目で」
「あれだけだと面白みがないんだよ」
 キャシーはイザベラについてこうも話した。
「けれど何をやるにも必死で一直線でね」
「そこがいいんだよね」
「その彼女の攻撃には悩まさせられている」
 柴神はイザベラのことを話していく。
「田中提督はその都度激しい攻防を繰り広げている」
「いえ、彼は攻めるだけでは?」
 秋山も田中の性分は知っている。彼は日本軍、ひいては太平洋軍でも随一の攻撃型指揮官なのだ、それは今も変わらない。
「守ることを知らないので」
「そうなのだ。それで戦いの都度派手に損害を出している」
「やはりそうですか」
「マイクロネシアもラバウルも日本にはすぐに戻れる。大規模な修理工場があるから復帰はスムーズに済んでいるが」
「あまり損害が多いと」
「気になっている。どうしたものか」
「艦艇の編成を考えるべきでしょうか」
 秋山は考える顔で述べていく。
「田中提督のあの無鉄砲な性格に相応しい艦種の編成を」
「その方がいいだろうな」
 柴神も秋山の言葉に頷く。そうした話をしながらだった。 
 柴神はあらためてだ。秋山に問うた。
「それで私を呼んだ理由だが」
「はい、見て頂きたい娘がいまして」
「ベトナムの娘だな」
「そうです。宜しいでしょうか」
「無論だ。ではだ」
「こちらです」
 秋山は早速柴神をフェムがいる彼女の邸宅に案内した。そこには東郷と日本、それにベトナムと他ならぬ彼女がいた。そのフェムを見てすぐにだった。 
 柴神は納得した顔でだ。こう一同に答えた。
「蛙だ」
「蛙といいますと」
「この娘の背には蛙がいる。普段は気配を全く隠している」
 こう日本達に話すのだった。
「しかし術を使い蛙が雨を降らしているならばだ」
「感じることができるのですね」
「人間や国家ならばそれでようやくだ。だが」
「柴神様ならばですか」
「見ることができる」
 神の力を持っているからだ。それが可能だというのだ。
「雨蛙だ。蛙の神がこの娘の背中にいる」
「あの、どうしてそんな神様が私の背中にいるんですか?」
「君を守っているな」
 柴神は言葉ではなくテレパシーでその蛙神と話していた。そのうえでの言葉だった。
「そう話している」
「私を」
「この神はベトナム土着の動物神だ。雨を司る神の一柱だ」
 柴神がこう話すとだ。ここでだった。
 ベトナムがだ。こう柴神に話した。
「私の国には祠が多くありそれぞれの神々が祀られているが」
「それだ。その神のうちの一柱だ」
「そうだったのか」
 ベトナムもわかった。ここで。
 そして柴神は今度はフェムに尋ねた。その尋ねることはというと。
 
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