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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十五話 小野さんのお話その一

               第二百七十五話  小野さんのお話
 八条荘の三年生の人達は皆八条大学のそれぞれの学部への推薦入試を終えてしかもどの人も合格だった。
 それで三年生の人達のお祝いでパーティーをすることになったが。
「時期が時期ですね」
「今は期末テスト前ですからね」
 僕は八条荘で小野さんと食堂で話した、そこでこう言った。
「ですから」
「パーティーは出来ないですね」
「本当に時期は悪いですね」
「テスト前はやっぱり」
「勉強しないといけないですからね」
「はい、それで」
 こう小野さんに話した。
「今はです」
「パーティーはしないで」
「後にしましょう」 
「それで何時にしますか」 
 小野さんは自分から僕に聞いてきた。
「それで」
「そうですね、最低でもテストが終わって」
「それで、ですね」
「そこからですね」
「テストが終わるのは十二月の」
「十日です」
 小野さんにその日を話した。
「後は二十三日まで授業がありますが」
「それでもですね」
「もうかなり自由です」
「パーティーも開けますね」
「はい」 
 僕は小野さんに答えた。
「そうです」
「ならクリスマスに」
「その時にですね」
「クリスマスパーティーも兼ねて」
 それでというのだ。
「行いますか」
「そうですね」
 僕は小野さんのその提案を受けてまずは考えた、そしてそれから小野さんに対して静かな声で答えた。
「それでいいと思います」
「それでは」
「クリスマスに」
「そうしますか、ではその時は」 
 そのクリスマスパーティーの時はというのだ。
「七面鳥にワインにケーキに」
「美味しいものを出してですね」
「そしてです」
「皆で楽しみますね」
「ツリーも出して」
「それは欠かせないですね」
「そして三年生の人達のお祝いに」
 小野さんは僕に笑顔で話してくれた。
「私はとっておきのものを出します」
「美味しいものをですか」
「はい、ご本家のお屋敷のソムリエに頼んで」
「ご本家ですか」
「あちらに」
 八条家は世界屈指の企業グループの経営家だ、その資産はそれこそビル=ゲイツかロスチャイルド家並だ。だからご本家のお屋敷には腕利きのソムリエの人が何人もいる。小野さんは元々ご本家のシェフだったので知り合いのソムリエの人もいるのだ。
「トカイの上等のものを」
「あの有名な」
「シャンパンもモーゼルも」
「凄いですね」
「はい、ただ」
「ただといいますと」
「美味しいワインは値段では決まりません」
 小野さんは僕にこうも話してくれた。
「実は」
「安いワインでもですね」
「美味しいものです」
「ワインは実際に飲んで、ですね」
「確かめるもので」
「値段ではです」
 それではというのだ。 
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