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八条学園騒動記

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第五百六十九話 マウリアから見た連合という国その六

「これもね」
「そちらも連合の味です」
「それで美味しいのね」
「実はエウロパのアイスもありまして」
「あんたのお家にあるの」
「すぐに出せますが」
「そういえばアイスクリームってあっち起源ね」
 エウロパのものとだ、ルビーもこのことは知っていた。
「イタリア辺りのよね」
「そこからです」
「生まれたスイーツよね」
「そうなのです」
「そうよね、それで今もよね」
「エウロパで食べています」
 実際にというのだ。
「連合と同じ様に」
「ジェラートも」
「そのジェラートもありますが」
「そうなのね」
「それでどうされますか」
「別にいいわ」
 いらないとだ、ルビーはセーラに明るく笑って答えた。
「アイスはね」
「そうですか」
「だって味薄いのよね」
 エウロパの料理はとだ、ルビーはそこから答えた。
「スイーツも」
「素材を活かしているとなります」
 エウロパの言い分であった。
「そうなります」
「そういうのって連合じゃないから」
「やはり味は、ですね」
「そう、濃いっていうかね」
「はっきりした味ですね」
「そうしたものに慣れてるから」
 ルビーはセーラに笑顔のまま答えた。
「いいわ」
「そうですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「連合のものでいいから」
「アイスもジェラートも」
「両方ね」
 ルビーの返事は変わらなかった。
「それでいいわ」
「わかりました」
「っていうか向こうは連合の食べものについて滅茶苦茶言ってるわよね」
「はい」
 セーラはルビーの言葉にその通りと答えた。
「これ以上はないまでに」
「やっぱりね」
「連合でも言っていまして」
「あっちもということね」
「人間は同じです」
 セーラは微笑んでいるが達観している感じで述べた。
「どの国、どの社会にいても」
「人間は人間で」
「そうです、悪口もです」
「言うのね」
「自分達から見てどうかと思うものに対して」
「それでこっちが味が薄いと言えば」
「あちらは味が濃いとです」
 エウロパはエウロパでというのだ。
「そうしています」
「そうなのね」
「私はどちらも見てきています」
 連合もエウロパもというのだ。
「マウリア人しか出来ないですが」
「それをしてみてなのね」
「はい、実際に」
 そうしてというのだ。
「私はわかったと思います」
「連合もエウロパも人間ってことね」
「間違っても人間ではない何かではありません」
「何かっていうと」
「ですから別の存在です」
 人間ではない、というのだ。 
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