八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十四話 真実は一つその十一
「義の為に遊ぶ」
「義ですか」
「そうした考えもありますし」
「そうですか」
「はい、そして」
それにというのだ。
「本物の遊び人はです」
「本気で遊ぶので」
「そうした不始末もです」
遊んだ相手の人との間に意識しない子供を作ることはないというのだ、遊び人には付きものの話でもだ。
「されません」
「そうですか」
「ですから」
「このことはですか」
「今の時点でです」
DNA鑑定等をしていなくてもというのだ。
「ご安心下さい」
「親父を信じればいいんですね」
「止様は信頼出来ない方でしょうか」
「違いますからね」
息子だから言えた、この言葉は。
「確かに滅茶苦茶ですが」
「信頼は出来ますね」
「はい」
こう答えた。
「あれで」
「誠実な方ですし」
「そうなんですよね」
親父は実はだ。
「いい加減な様で」
「約束を守られて」
「冗談は言いますが」
それでもだ。
「嘘もです」
「言われないですね」
「助けに行くと言って来ないとか」
「後で理由を言って」
「そうしたこともしないですし」
世の中とんでもない輩もいる、行くと言っていてずっと来なくて後で自分の事情で悩んで悪いけれど行かなかったとか言って約束した相手を激怒させて絶交された奴を知っている、そいつは何で怒られたのかわからないと言って誰からも呆れられている。
「本当にです」
「助けると言われたら」
「助ける人です」
親父はそうした人間でもある。
「一見不誠実そうでも」
「誠実な方ですね」
「だから信頼出来ます」
「左様ですね」
「少なくとも」
今思い出した奴を念頭に言った、こいつは今はもう誰からも信用されない行為を繰り返して完全に孤立している。それを自分のせいとも思っていない。
「誠実そうに見えて」
「それでもですか」
「不誠実な奴よりかは」
それこそだ。
「親父は遥かにましといいますか」
「むしろですね」
「逆です」
こちらになる、親父は。
「実は誠実な人間です」
「そして遊ぶことについても」
「実は、ですね」
「一流の方で」
「しかも誠実なので」
「安心して下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんのその言葉に頷いた。
「じゃあいざという時は」
「そういうことです」
「そしてですね」
「詩織様についても」
「親父は関係ないですか」
「詩織様のお母様とそうしたことになったことはです」
このことはというのだ。
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