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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十四話 真実は一つその十

「ビクトリア女王の次の」
「太子時代は評判の悪かった方です」
「遊び人だからですね」
「とかくスキャンダルが多く」
 このことで当時はかなり有名だったらしい、それで母親にあたるビクトリア女王とえらく比較されたらしい。
「問題児と言われていましたが」
「遊びについてはですね」
「やはり達人でした」
「色々浮名も流されたそうで」
「左様です」
「確か王位に就くと」
 太子時代評判が悪かったので酷い王様になると思われていたらしい。
「結構以上にでしたね」
「よい王様でした」
「そうみたいですね」
「平和主義で人種的偏見もなく」
「自由主義的な人で」
「各国に築いた人脈もあり」
 遊びの中で築いたという。
「よい王様だったとのことです」
「遊びもいいことですね」
「日本の皇室では無理ですが」
「ああした人が出て来ることは」
「我が国の皇室は違いますので」
「物凄いですからね」
「とかく厳格です」
 その教育そして生活たるやだ。
「あの様な方はです」
「誕生出来る余地もないですね」
「間違いなく」
「それが我が国の皇室ですね」
「よいことですが多少面白みもないですね」
「それを言うとそうですね」
 放蕩とは全く無縁ということもだ。
「やっぱり日本の皇室は理想がしっかりしていますから」
「明治帝と昭和帝です」
「お二方を理想とされると」
「贅沢、ましてや放蕩なぞ」
「夢のまた夢ですね」
「全否定されるものです」
 あの方々を理想とするとそんな要素入る筈がない。
「まさに」
「そうですよね」
「はい、そこはイギリス王家と違います」
「あそこはまた結構スキャンダルありますし」
 これはある意味伝統らしい。
「違いますね」
「はい、そして止様は」
「そのエドワード七世以上のですか」
「遊びの達人であられ」
「本物ですか」
「そうした方になられると」
 それこそというのだ。
「不始末はです」
「ないですか」
「断じて」
「そうなんですね」
「軽い遊びはされません」
「遊ぶならですか」
「本気です」
 そうしたものだというのだ。
「楽しみつつです」
「本気ですか」
「そこにあるものは」
「随分真剣なんですね」
「遊びは本来そうしたものだとか」
 畑中さんは僕に淡々とかつ真剣に話してくれた。
「軽くするものではなく」
「本気で楽しむものですか」
「かつ真剣に」
「何か武道みたいですね」
「太宰治が書いていましたが」
 今度は昭和のあの作家の名前が出て来た。 
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