八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十四話 真実は一つその五
「思っています」
「そうですか、何か僕は」
そうした人を見ることは見てきた、お子さんが先に旅立ってしまってお葬式の場で取り乱さんばかりになっている人を。
けれどだ、僕はまだだった。
「そのことは」
「やがて義和様もおわかりになられます」
「お子さんやお孫さんは」
「自分の親や祖父母よりもです」
「長く生きるべきですか」
「子供や孫が看取るものです」
畑中さんはこうも言った。
「逆はない方がいいものです」
「何よりもですか」
「はい、賽の河原もそうですね」
「早く死んだ子供が行く場所ですね」
「何故ああした場所があるか」
石を積んでそれを鬼に壊される、それを繰り返す場所だ。
「それはです」
「親より先に死んだからですね」
「これは何よりの親不孝なので」
「ああした場所に送られるんですね」
「そうです、子供や孫は」
そして曾孫もやしゃ孫もというのだ。
「親や祖父母よりもです」
「長く生きてですか」
「その死を看取るものです」
「それが筋ですか」
「はい、ですから」
「生きていることが何よりですか」
「そして最もよくない死は」
親御さん達より先に死ぬその中でもというのだ。
「自殺はです」
「一番よくないですか」
「残された人達はまことに無念で残念な気持ちになります」
「だからですね」
「それはです」
何があってもというのだ。
「してはなりません」
「自殺については」
「自ら命を絶つ位はな」
「それならですか」
「今いる場所から逃げて」
そうしてというのだ。
「暫く心を休めるべきです」
「自殺する位ならですか」
「そうです、やはり自殺する人も多く見てきましたが」
「親御さん達より早く死ぬとなると」
「この場合の自殺は最悪です、私が認められた自殺は一つです」
「自決ですか」
「それだけです」
まさにというのだ。
「それ以外にはありません」
「そうですか」
「大戦中、大戦直後の」
「武人としてのそれはですか」
「そこに確かな心があったので」
武人のそれがというのだ。
「いいのですが」
「そうでない他の自殺は」
「残念な死に方です」
「これ以上はないまでの」
「それをする位なら」
「逃げることですか」
「今いるその苦しい場所から」
そこからというのだ、これはいじめでもそうだしブラック企業でもそうだ、そうした絶望的な場所にいいるならというのだ。
「逃げてです」
「心を癒すべきなんですね」
「そうです、絶望する前に」
「自殺するまでに」
「この世界ではまず命あってです」
「死ねば終わりですね」
「そして自殺をして生まれ変わるとなると」
その先はというと。
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