夢幻水滸伝
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第百三十八話 最強の勢力その一
第百三十八話 最強の勢力
トウェインは自分と共に今はアメリカの棟梁の座に並んで座っているメルヴィルに対してこんなことを言った。
「さて、今からな」
「ああ、グアムからな」
メルヴィルはトウェインに鋭い目で応えた。
「出撃してな」
「日本に向かうが」
「江戸を目指すで」
メルヴィルはトウェインに進路のことを話した。
「ええな」
「そしてやな」
「日本軍はこっちに来る」
「それでやな」
「多分このグアムと硫黄島の間で激突や」
そうなるとだ、メルヴィルは予想される衝突場所の話もした。
「そうなるわ」
「そやな、そしてやな」
「決戦となるが」
「その決戦はやな」
「確実にな」
まさにと言うのだった。
「こっちが勝つわ」
「我がアメリカがな」
「まさか南洋も中国も破るとは思わんかったわ」
「それな」
トウェインはメルヴィルの言葉に応えた、見事な黒檀の欧風だが玉座とは違い華美ではない座から彼に話した。
「わいにしてもな」
「全くの予想外やったな」
「勝つ可能性は」
日本がというのだ。
「一パーセントもないと思ってた」
「わしもや」
トウェインは自分もだと述べた。
「ほんまにな」
「そんなことはやな」
「まずないと思ってたわ」
「最初の南洋との戦でな」
まさにそこでというのだ。
「負けるってな」
「思ってたけどな」
「それがな」
「連勝や」
「南洋に勝って中国にも勝って」
「そしてや」
「うちと戦う」
メルヴィルはエルフの細く流麗と言っていい顔で述べた。
「そうなったわ」
「番狂わせもええとこやな」
「ああ、しかしな」
「それでもやな」
「勝つ」
言葉は一言だった、ここでは。
「もう番狂わせはない」
「勝つのはアメリカやな」
「というかもうな」
「アメリカが日本に勝つだけやないな」
「アメリカが太平洋そして地下世界の覇者になることは決まってる」
即ちこの戦に勝ち残ることはというのだ。
「もうな」
「その通りや」
トウェインはメルヴィルの言葉にバーバリアンの逞しい顔で答えた。見れば起きた世界のアフリカ系の印象がそのまま出ていて肌も褐色だ。そしてメルヴィルもそれは同じで彼の肌の色は白である。色は対象的だ。
「日本に勝つだけやない」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「ここはな」
「残った勢力にもな」
「全部勝つさかいな」
「アメリカがな」
「それだけの力があるからな」
「数に加え」
八億の人口から三百二十万の兵を出している、その全軍を今自分達の移動要塞であるマグ=メルに乗せているのだ。
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