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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第五十話 ライブメタル・モデルV

ローズパークを倒して、そのデータをコピーしたモデルAは早速ローズパークの能力の説明をする。

「ローズパークは柱に体を固定して腕の蔓で他の柱に移動することが出来るんだ。一応地上での活動も出来るようだけど、動きが鈍いからあまりおすすめはしないぜ。チャージすることで電気属性の蔓の鞭やトゲを発射出来るようになる。一応炎属性の相手には有効だから覚えておいてくれよな…素早い敵に使えるかは別として」

説明していたモデルAもローズパークのあまりの癖の強い性能に渋い声を出した。

「苦労したわりにはあまり旨味がないわねー。これならディアバーンの方がまだ使いやすいわ」

「まあ、コンセプトの違いって奴だな」

「とにかく、逃げた違法ハンターを追ってみよう」

逃げた違法ハンターを追い掛けるためにシャッターを抉じ開けて奥の部屋に入るとアッシュとグレイに気付いた。

「ひいっ!お前達も俺達の飛行艇を襲った奴の仲間か!畜生…止めろっ…!来るなーっ!」

バスターを構える男だが、震えによって全く照準が定まっていない。

あれでは例え撃ったとしても当たらないだろう。

「駄目だな、こりゃ…完全にパニクってやがる」

「そりゃあ、飛行艇を襲われてあんな奴にやられそうになったんだから理解出来るけどね…」

「落ち着けよ!僕はお前を助けに来たんだ!」

モデルAがパニックを起こしてまともな会話が出来そうにないと判断してアッシュはどうしたものかと頭を悩ませる。

グレイが落ち着かせようとして一歩前に出るが、それは逆効果である。

「く、来るな…!来ないでくれぇ!ぐあっ…!うあああああっ!」

男は突然苦しみだし、紫色のエネルギーが飛び出して奥の物体に吸収され、男は崩れ落ちて消滅した。

「な…何…!?何が起きたの!?」

「…完全なる敗北…その男は恐怖に耐えきれず、モデルVの生け贄となった。」

「モデルV…!?この馬鹿でかいのがライブメタルだってのか!?」

そこに現れたのは二人の青年であり、一人はヒューマノイド、もう一人はレプリロイドだ。

そしてヒューマノイドの青年の言葉にモデルAが驚愕する。

「データ照合、該当データ有リ、ロックマン・モデルA発見。ライブメタル・モデルV…古代兵器ヨリ作ラレシ王ノ為ノライブメタル…」

もう一人の青年がグレイとアッシュを見比べながら機械的な口調でモデルVのことを語る。

「あんた達は一体…!?」

「……ロックオン!」

「ロックオン」

二人がライブメタルを取り出して変身する。

風が吹き荒れ、闇が蠢いたかと思った瞬間、二人は別の姿となっていた。

「大いなる失望…奴に続く二人目のイレギュラーロックマンが誕生したと聞いて来てみれば…お前のようなハンターの小娘か…失敗作も含め、お前達のような者達がモデルAの適合者とはな。我が名はヘリオス。風のロックマン・モデルH」

「コードネーム・シャルナク。闇ノロックマン・モデルP」

二人はかつてヴァンに挑んで敗北したロックマンのうちの二人だった。

モデルHのロックマンであるヘリオスとモデルPのロックマンであるシャルナクはかつてとは比較にならない程の力を身につけてこのゲームに戻ってきたのだ。

「モデルHにモデルP…こいつらがプロメテの言っていたロックマンか!」

「作戦時間超過、モデルVヲ回収スル」

モデルVの元へ向かおうとするヘリオスとシャルナクだが、グレイとアッシュが呼び止める。

「ま、待て!逃げる気か!」

「敵を目の前にして逃げちゃうわけ?」

「愚かなる間違い…我らが逃げるのではない、お前達を見逃してやると言っているのだ。今はモデルVの育成が最優先…お前達などいつでも消せる。今の我らの目的は王となる前にロックマン・モデルO…忌々しいあの男を葬ることだ。お前達に無駄な時間など使えん」

「現在ノ優先目的ハ、ライブメタル・モデルVノ育成ト回収。ロックマン・モデルAトノ戦闘ハ作戦行動ニ含マレナイ」

「へっ!眼中にないってか!」

全く相手にしようとしないヘリオスとシャルナクにモデルAが叫ぶ。

「正確なる認識…お前達如き、いつでも始末出来る。次に会う時まで、精々ロックマンとして腕を磨くがいい」

傲慢な発言だが、言葉だけではない。

ヘリオス達は過去の痛い経験もあって言葉に見合うだけの力を手にしているのだ。

「作戦時間、超過増大…迅速ナ行動ヲ要求スル。モデルV、覚醒レベル2。イレギュラー生成マデ5717秒ト推定」

モデルVがイレギュラーを生み出すと言うシャルナクの言葉にアッシュが食いついた。

「ちょっと…!?イレギュラーの発生はモデルVのせいなの!?」

それを聞いたヘリオスが呆れたように口を開いた。

モデルVがイレギュラーを生み出すと言うのは疑似ロックマンであるフォルスロイドを含めてロックマンならば誰でも知っていることだからだ。

「果てしなき無知…そんな事も知らないとは、やはりお前達にロックマンは務まらん。その命、預けておこう。次に会う時が、お前達の最期だ」

二人はモデルVを回収し、転送の光に包まれてこの場を去り、そしてモデルVが無くなった瞬間にアルバートからの通信が入った。

『やっと通信が繋がったよ。そっちは無事かい?こちらでもタワーのセキュリティ解除を確認した。これで先のエリアへ進む事が出来るはずだ』

セキュリティが解除されたことを知ったアッシュとグレイは奥のシャッターを抉じ開けて床にトゲが敷き詰められた場所に出るが、ローズパークに変身して二人はパイプを利用して奥へと移動し、トランスサーバーに乗り込んで油田へと続く道のある部屋に戻るのであった。

「……あ」

「アッシュ、どうしたんだ?」

「思い出したわ、昔…アタシを助けてくれた人が言ってたわ…イレギュラーの発生原因はモデルVだって…」

今ならヴァンが使っていた力がロックマンの力なのが分かる。

しかし、ヴァンはヘリオス達と違ってイレギュラーの破壊やモデルVの破壊が目的のようだ。

出来ることなら戦いたくはないが…。

「(正直、まともにやり合えそうにないのよねー)」

幼い頃に見たヴァンの戦いぶりを思い返して、自分達二人で勝てるのだろうかと考えて…止めた。

勝てるビジョンが浮かばなかったのだ。

取り敢えず、今はレギオンズ本部に向かうために極寒のエリアに向かうのであった。

まず、タワーを抜けたら野宿の準備をして腹ごしらえをしようと決めた。

一方、極寒のエリアでは真紅のアーマーを纏った青年…ヴァンが辺りを見回していた。

「違法ハンターの飛行艇から何とか脱出出来たけど、とんでもない場所に落ちたな…しかもフォルスロイドの気配まで……モデルVのフォルスロイドなら、今のうちに破壊しておくべきか」

それだけ言うと水の中に飛び込むヴァン。

ここで新たな出会いと再会があるとは知らずに。 
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