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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第四十九話 深緑のタワー

アッシュはレギオンズから貰った前金で店で食事を購入して腹ごしらえをした後に必要な装備を整える。

「えーっと、食料に最新型の酸素ボンベ…銃のメンテナンス用のパーツ…今はこれくらいで良いわね」

「そんなに少なくて大丈夫なのか?」

「大荷物にすると逆に動きにくくなるからねー、これくらいが丁度良いのよ。さてと、墜落現場に行くにはまず古いタワーのあるエリアを越えて極寒のエリアを抜けないといけないわ」

どうやらハンター達から得た情報によると違法ハンターの飛行艇はここから大分離れた油田にあるらしい。

タワーのあるエリアはともかく、極寒のエリアは装備がないと厳しい。

特に水中はヒューマノイドであるアッシュには辛いので酸素ボンベは必須だ。

「よーし、行くわよグレイ!モデルA!」

「うん」

「はいはい」

グレイとモデルAを連れて早速、深緑のタワーと呼ばれる建物があるエリアへと向かった。

普通ならかなりの時間がかかるが、ロックマンの状態ならかなりの短時間で到着出来る。

何度かの休憩と食事を経て辿り着いたタワーにアッシュは口を開いた。

「いやー便利ねぇ、ロックマンの力って。遠い場所にもあっさり到着しちゃうし。これでライブメタルがスケベメタルじゃなかったら文句ないんだけど」

「スケベスケベ言うな!あれは事故なんだから仕方ないだろ!?」

「事故で済む問題じゃないでしょ!このスケベ!」

「二人共、落ち着いて…近くに村があるけど、休憩していく?」

「村?あー、この村にはもう誰もいないのよ。昔は人工栽培していた薔薇を使ったローズティーが評判でそれを飲みに来る人達もそれなりいたんだけど、イレギュラーの襲撃を受けて今はイレギュラーの巣窟よ」

つまり元々はインナーの村だったが、今では完全なアウターとなってしまっているのだ。

「えーっと、確か極寒のエリアに出るためにはここのタワーを通り抜けないといけないわけね」

ハンターキャンプで譲ってもらえた地図を確認すると、まずはタワーを通らなければ次のエリアには向かえない。

まずはタワー内部に入って奥の次のエリアに続くシャッターに向かうアッシュとグレイとモデルA。

広い場所に出た瞬間に警報が鳴り、セキュリティシステムが警告する。

《アラート!アラート!セキュリティシステムニ異常発生!警戒レベル3ヲ発動!外部ヘノルートヲ封鎖スル!》

次のエリアに続く道が塞がれてしまい、それを見たモデルAが慌てる。

「お、おい、何かまずくないか!?」

「慌てるんじゃないの!グレイ、変身よ!!」

「分かった!」

アッシュとグレイがロックマン・モデルAに変身し、さっき潜ったシャッターに向かうが叩いても蹴っても開かない。

「扉にロックが掛かってる…やられたわね…」

「攻撃で吹き飛ばせないかな?」

「止めた方が良いわ。このタワー…結構古いから、破壊の衝撃で崩れるかもしれないし」

途方に暮れる二人にアルバートからの通信が入る。

『こちら、アルバート!大丈夫か!?アッシュ君!グレイ君!その古いタワーは、付近の環境を調べるために建てられた物なんだ。イレギュラー用にセキュリティが強化されているのだけど、何か異常があったみたいだな。タワーの天辺にセキュリティを管理するコンピュータがあるはずだ。そこまで行って、ロックを解除するしかない。気をつけてくれ、アッシュ君、グレイ君』

「こんなタイミングで異常……イレギュラーが原因としか思えないわ…あの蔦を登って上に行けそうね」

突如伸びてきた蔦の足場に飛び移り、アッシュは上を目指して駆け出し、グレイもアッシュを追い掛けた。

「天辺に管理コンピュータがあるんだっけ?」

「ええ、だから急いでロックを解除しましょ」

蔦を伝って上へと登っていき、現在行ける場所まで行くとシャッターを発見して潜り抜ける。

すると壁にトゲが敷き詰められている場所に出た。

次の瞬間に上から大型の蜘蛛型のメカニロイドが出現する。

「でかい!」

「こいつとは戦ったことがあるわ!グレイ、こいつの弱点は頭部よ!集中的に狙って!!」

「分かった!!」

アッシュの指示通りにグレイはバスターショットを向け、アッシュもレーザーショットを向けてショットを頭部に集中攻撃する。

メカニロイドも小型の蜘蛛メカニロイドを出し、ドリルで反撃するも二人掛かりの攻撃に耐えられるはずもなく爆散した。

破壊されたメカニロイドは防衛機能の一つだったのか、壁の一部が吹き飛んでシャッターが露になる。

「ラッキー!このまま奥に行けそうね」

シャッターを潜り抜けて奥に進むと外の景色が見える。

気付かないうちにかなりの高さまで登っていたようだ。

「もう、ここまで登ってたんだ…」

「ロックマンのスピードって便利ねー。普通ならどれくらいの時間がかかるのか…想像したくもないわ…一応言っとくけど、落ちないでよグレイ」

「分かってるよ」

壁蹴りを駆使して上に向かうための入り口を探し、建物内部に入れそうな穴を発見したのでそこから再び内部に戻る。

襲い掛かるイレギュラーを返り討ちしながらアッシュとグレイはダッシュと壁蹴りを駆使して天辺まで向かうと、シャッターを発見する。

「ここに管理コンピュータがあるのね」

「…?アッシュ、中で声がする」

「イレギュラーかしら…?」

シャッターを抉じ開けると、そこには傷だらけの違法ハンターらしき男と…球根のようなレプリロイドがいた。

「ここまで辿り着くとは違法ハンターながら見所のある男だ…フッフッフッフッ…気に入ったぞ!我が茨の腕に抱かれ、我らのためにその魂、散らせるがいい!」

「ひいいっ!こ、こっちへ来るなぁ!」

怯えながらバスターを構える男だが、震えによってバスターの引き金が引けないようだ。

「ストーップ!あんたの相手はこっちだよ!」

アッシュの制止の声にイレギュラーは振り返るが、すぐに興味を無くした。

「…何だ、女か。今私は忙しいのだ。この男の魂を抜いたら、適当に相手してやる。そこで待っていろ」

そして男に蔓を伸ばそうとするが、グレイがショットを放って妨害する。

「止めろ!」

「む…ほう…甘い罠に誘われ、迷い込んだ蜜蜂がここにも…か。なかなか素敵な少年じゃないか……気に入ったぞ」

「ちょっと、アタシとグレイの扱いの差が激しくない?」

「ええい、喧しい女だ。私と少年の甘い一時を邪魔するとは…」

「何か…あいつ…気持ち悪いぞ…」

「気が合うわねモデルA…アタシも同感よ」

声が引き攣っているモデルAにアッシュも同意する。

「うわあああっ!」

男は隙を突いてこの部屋から脱出した。

グレイはバスターを構えてイレギュラーに問い詰める。

「セキュリティを狂わせたのはお前か!ここで何をしている!」

「種を育てているのだよ。新たな世界、新たな王の礎となる種をね、このタワーに迷い込んだ者の恐怖心を喰らうことでその種は成長するのだ。私の名はローズパーク…君も我が胸で鳴きたまえ!恐怖と苦痛の声を上げてな!」

柱に体を固定して変形するローズパーク。

「何かグレイがヤバそうだぞ!」

「そうね…グレイの教育に悪いわ、さっさと倒しましょう!!」

グレイの身の危険を感じたモデルAとアッシュは速攻でローズパークを撃破しようとする。

「喰らいなさい!!」

アッシュがショットを連射してローズパークを撃ち墜とそうとするが、ローズパークは蔓を伸ばして他の柱に素早く移動してかわしていく。

「鬱陶しい小娘めっ!私と少年の甘く熱い時間を邪魔しないでもらおう!!」

「グレイに何する気よこの変態!!」

「変態とは失礼な!少年をこの茨の腕で抱き、少年を鳴かせたいだけなのだよ!!」

「モデルAとは別ベクトルの変態だわ!!」

ローズパークは柱を次々と移動し、電撃とトゲを発射してくる。

グレイはアッシュのサポートをするために隙を突いてホーミングショットからのチャージバスターを当てる。

「ぬおおっ!?しょ、少年…なるほど…君も私と一つになりたいのだね!良いだろう少年!!」

「ストーップ!!」

リフレクトレーザーでローズパークの動きを阻害し、ディアバーンに変身すると飛び蹴りをお見舞いした。

「ぬああああっ!?こ、これがモデルAの能力…しかし、小娘!私と少年が一つとなる瞬間を妨害するとは…っ!その罪、死を以て購え!!」

電気エネルギーをチャージして強烈な電撃を発射してくるローズパーク。

アッシュは咄嗟に屈んでかわすと、モデルAが話し掛けてくる。

「おい、アッシュ!!」

「何よモデルA!?戦闘中に話しかけないで!!」

「あいつはどうやら電気属性のようだ。電気属性の敵には氷属性の攻撃が良く効くぜ。何か氷属性の武器はないのか?」

「そんな武器、都合良くないわよ!……あ、でも……」

「アッシュ!どうしたんだ?」

ローズパークの攻撃をかわしながらアッシュに尋ねるグレイ。

「確か、良い物が……グレイ、少しだけ時間稼いで!!」

「分かった!!」

「何をするつもりかは知らないが、これで終わりだ小娘!!」

アッシュに向けてトゲを発射するローズパークだが、グレイが間に入って防御する。

「アッシュはやらせない!!」

「お…おお…少年…美しい…そのような小娘を守ろうとするとは、何と美しい心の持ち主なのだ!そんな君と私は…一つとなりたい!!」

グレイに襲い掛かるローズパーク。

それをかわしてグレイはチャージバスターを当てて少しでもダメージを稼ぐ。

「アッシュ急げよ!このままじゃグレイが!」

「あーもう!うるさいわね!………あったわ!!」

鞄から取り出したのは複数の手榴弾。

「グレイ、そいつから離れなさい!!」

安全ピンを外してローズパークに手榴弾を投擲する。

「忌々しい小娘め…そのような物が私に効くわけがないだろう!!」

蔓で手榴弾を弾こうとするが、手榴弾が爆発を起こして周囲の気温が冷気によって一気に冷えた。

「え…?冷たい?」

「あれは液体窒素が入った爆弾なのよ。ローズパークは電気属性だから…」

冷気による煙が消えるとローズパークは完全に凍結しており、身動き出来ないでいる。

「氷付けになってる!!」

「電気属性は冷気に弱いらしいからね。足止めくらいであまり使えないなーって思ってたけど役に立ったわ。それじゃあとどめよ!!」

アッシュとグレイが二丁のレーザーとバスターを構え、ホーミングショットからのリフレクトレーザーとチャージバスターを命中させて跡形もなく粉砕した。

そして残骸からローズパークのデータが飛び出し、モデルAがコピーしようとするが…。

「ねえ、モデルA…あんたそいつをコピーするの?」

「ん?ああ、勿論だ。こいつおかしな奴だけど強力な奴だからな」

「………こいつ、グレイに手を出そうとした変態よ?」

「…………性格まではコピー出来ないから安心しろよ。癖が強そうな性能なようだけど、無いよりはマシだって」

モデルAはローズパークのデータをコピーし、これでアッシュとグレイはローズパークへの変身が可能となるのであった。 
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