八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十一話 元の生活に戻ってその十二
「だからだ」
「長崎にもですか」
「そう思う」
「長崎は景色とかですね」
「特にハウステンボスだ」
「ああ、あそこですか」
「美しい街並にだ」
オランダ風のそれにというのだ。
「美酒に美食、やはりな」
「最高ですよね」
「だからだ」
それでというのだ。
「長崎にもだ」
「住みたいとですか」
「思っている、博多にも思うが」
「どちらにしても九州に魅せられましたね」
「かなりな」
井上さんは微笑んで僕に言ってくれた。
「素晴らしいところだ」
「九州はそうですね」
「あの似非グルメ漫画には描けない」
「サラリーマンの人の漫画は」
「そもそも新聞記者が主人公という時点でな」
つまり最初でというのだ。
「何かが違う」
「しかも柄の悪い」
「ならず者がそうである時点でな」
「対する方は家庭を持っているサラリーマンで」
「いいお父さんで部下思いでもあるしな」
「お仕事もちゃんとしていて」
間違ってもお店の食べものがまずいと言って暴れたりしない、というか普通の人がそんなことは絶対にしない。
「普通の世界で」
「だからこそいい」
「そうですよね」
「腐った権力者が主人公ならだ」
その新聞記者のことであるのは言うまでもない。
「もうその時点で終わりだ」
「父親も権力者ですしね」
「そうだな」
「何か政治家や財界の人達にあれこれ言って」
「吹き込む様なこともしているな」
「それも上から目線で」
このこともこの漫画の特徴だ。
「偉そうに」
「何様だという態度でな」
「そうした漫画と比べたら」
「あちらの方がずっといい」
「九州に親しみが持てますし」
このことも違う、あの新聞記者の漫画を読んでいると自然に新聞記者そして新聞社に害虫を見る様な嫌悪感を感じるがだ。
「レシピもありますし」
「実にいいな」
「料理漫画はかくあるべきですね」
「全くだな」
「ああした漫画が続くのは当然ですね」
三十年以上もだ。
「本当に」
「私もそう思う」
「そうですよね」
「時々海外や地方にも行くしな」
このこともいいことだ。
「大阪の料理も出たか」
「はい、確か」
長い連載の中でだ。
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