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白い女の子

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第一章

               白い女の子
 その神社では最近話題になっていることがあった。
 神社の巫女でかなり可愛い娘が入ってきたというのだ、その娘はというと。
「滅茶苦茶肌白いらしいな」
「髪の毛は金髪でな」
「目は赤くて」
「顔立ちもお人形さんみたいで」
「嘘みたいに可愛いらしいな」
「そうらしいな」
「えっ、どんな娘なんだ?」
 その話を聞いた池山八雲は自分が所属している学校の商業科の厚生委員長のアイアンクローの跡が残っている顔で尋ねた。細目でやや色黒で口は広く大きくやや尖っている感じだ。黒髪を短く刈っていて長身で引き締まった身体つきだ。
「一体」
「そう言うお前の顔何だよ」
「赤い手形はっきりついてるぞ」
「また商業科の厚生委員長の額の話したな」
「あの人禿の話には滅茶苦茶敏感だからな」
 額が広い、つまり禿の話題をするとすぐにそうしてくるのだ。
「もうその話したら来られるぞ」
「絶対に殴ったり蹴ったりしないけれどな」
 暴力は振るわないというのだ。
「アイアンクロー来るからな」
「しかもあの人物凄い腕力だからな」
「アイアンクローかけられたら跡残るぞ」
 今の池山の様にというのだ。
「頭掴まれたら頭ミシミシいうしな」
「そんな人に言ったら駄目に決まってるだろ」
「全く、何やってんだよ」
「そのうち頭潰されるぞ」
「いや、マジで痛かったな」
 池山はその手形が赤く残っている顔で友人達に話した。
「あの人のアイアンクローは」
「女子野球部一の握力だぞ」
「伊達にいつもバット振ってる訳じゃねえぞ」
「厚生委員会でもいつも肉体労働されてるしな」
「握力プロレスラー並らしいぞ」
「そんな人に言うなよ」
 池山が悪いとだ、友人達は彼に口々に言った。
「もう二度と言うなよ」
「あの人普段は温厚だけれど禿の話だけは本気で怒るからな」
「そのうち本当に頭潰されるぞ」
「林檎握り潰せる握力でな」
「ネタで言っても駄目なんだな」
 池山の言葉は反省していないものだった。
「よくわかったぜ」
「わかったらするなよ」
「本当にな」
「怒らせないといい人だからな」
「額の話さえしなければ」
「だよな、それでな」
 池山はここでようやく話を進ませた、そうして言うのだった。
「その巫女さんってそこまで可愛いのかよ」
「何でも市内の高校の娘らしくてな」
「家が近所で神社で巫女さんのバイトしているらしいんだよ」
「それで日本人でも髪の毛は金髪で」
「肌は白くて」
 日本人つまりアジア系だがそうした外見だというのだ。
「目は赤くてな」
「滅茶苦茶可愛いらしいぜ」
「嘘みたいに」
「話聞いてたらあれだな」
 その娘の外見を聞いてだ、池山は言った。
「アルビノか?」
「ああ、そうみたいだぜ」
「実際にそうした娘らしいぜ」
「色素が全然なくてな」
「そうした娘らしいぜ」
「だよな、そうした人って本当にいるんだな」
 池山は腕を組んで納得した様に言った。 
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