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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十一話 元の生活に戻ってその一

               第二百七十一話  元の生活に戻って
 六時に起きて朝ご飯を食べる為に食堂に向かった、その途中の一階のロビーでピアノを演奏している早百合さんに麻の挨拶を交えた後で尋ねられた。今朝の音楽はシューベルトの野薔薇だった。実に優しい曲だ。
「風邪の方は」
「あっ、それは」
 ここで思い出した、昨日僕は風邪ということで休んでいたのだ。そして自分の部屋からも出なかったということになっているのだ。
 そのことを思い出してそれで早百合さんに答えた。
「もう熱も引いて咳も」
「収まりましたか」
「はい」
 こう早百合さんに答えた。
「何とか」
「それはいいことですね」
「本当によかったです」
 仕方ないとはいえ嘘を言っているのでそのことが心苦しかった、けれどお芝居を続けてそのうえでさらに言った。
「今はすっかりです」
「お元気ですか」
「早く朝ご飯を食べたいです」
 このことは本音だ。
「お腹が空いて」
「そうですか」
「今朝は何か今からです」
「楽しみですね」
「本当に」
「食欲があるなら」
 それならとだ、早百合さんは僕に笑顔で言ってくれた。
「もう大丈夫ですね」
「風邪でもですね」
「インフルエンザや肺炎なら」
「こんなものじゃないですね」
「それこそ何日もです」
「部屋から出られないですね」
「熱が収まらないので」
 インフルエンザも肺炎もだ、普通の風邪よりも遥かに苦しい。
「感染の危険もあるので」
「こんなのじゃないですね」
「一日で熱が引いたなら」
 それならというのだ。
「大丈夫です、では」
「今からですね」
「朝ご飯を食べて」
 そしてというのだ。
「学校に行きましょう」
「それがいいですね」
「私も行きますし」
「それで今日もですね」
「部活はもう引退していますが」
 それでもとだ、千歳さんは僕に微笑んで話してくれた。
「ピアノはです」
「弾かれますね」
「大学は合格しています」
 八条大学芸術学部音楽科にだ、八条荘の三年生の人達はどの人も八条大学への入学が推薦で決まっている。
「ですが」
「芸術は毎日が大事ですね」
「ピアノもそうで」
「練習を怠れないですね」
「ですから今も弾いていますし」 
 それにというのだ。
「部活にもお邪魔して」
「そうしてですか」
「弾かせてもらっています」
「毎日の練習が大事ですか」
「レッスンが、では」
「今日もですね」
「頑張っていきましょう」 
 こう僕にお話してくれた。
「朝ご飯を食べてから」
「そうですね、それで今朝のメニューは」
「確か和食です」
「和食ですか」
「ご飯に」
 和食といえばまずはこれだ、やっぱり和食の基本はご飯だ。 
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