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ミニ豚からわかったこと

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第三章

「安心してね」
「なら問題ないでしょ」
「豚肉食べてもいいのね」
「普通にね」
「そうなのね、ただね」
「ただ?」
「今ふと思ったけれど」
 考える顔になってだ、麗子は紗理奈に話した。
「食用の豚ってどうして飼育されてるのかしら」
「それはやっぱり食べらえれる為に育てられていて」
「時期になったら出荷されるのね」
「そうでしょ。牛や鶏と同じよ」
「やっぱりそうよね」
「もう食用だとね」
 それこそというのだ。
「美味しくなる為に育てられて」
「時期が来たら出荷されて」
「それで食べられるのよ」
「そうよね」
「そうした生きものだってね」
「受け入れるしかないのね」
「だって飼育している人もそれがお仕事で」
 それでというのだ。
「生活しているから」
「その人達のこともあるわね」
「それに人は食べないといけないでしょ」
「食べないと死ぬわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「豚肉もちゃんと食べないとね」
「いけないわね」
「というかね」
「というか?」
「要は命でしょ」
 紗理奈は麗子に真面目な顔で話した。
「豚に限らず食べるってことは」
「その命を貰うってことね」
「食べてね、菜食主義だったら命を貰っていないか」
「植物にも命あるわね」
「結局食べるならね」
 その対象がどんなものでもというのだ。
「命を貰うってことだから」
「そのことを意識して」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「どうするかだけよ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「食べものを粗末にしないことがね」
「大事なのね」
「私はそう思うわ」
「それが大事なの」
「私が思うにね」
「そうなの」
「そう、それでね」
 紗理奈はさらに話した。
「メアリーちゃんもね」
「大事にすることね」
「それが大事だと思うわ」
「命だから」
「そう、飼ってるにしても食べるにしても」 
 どちらでもというのだ。
「相手に命がある」
「そのことをいつもわかっていること」
「それが大事だと思うわ」
「そうなの」
「だからね」
「食べることと飼うことは別でも同じなのね」
 麗子はあらためて言った。
「そういうことね」
「そうね、本当にね」
 紗理奈もその通りだと答える。
「命は大事にすることは同じでもね」
「そうね、けれど命はね」
「絶対に大事にしないといけないわね」
「そうよね」
 二人でこう話した、そしてだった。
 麗子はメアリーを見て彼女の頭を撫でて微笑んで話した。
「メアリー、これからも貴女と一緒にいるから」
「ブイブイ」
 メアリーはその主に笑顔で応えた、この日からだった。
 麗子は食べるものをこれまで以上に粗末にしなくなりメアリーも大事にする様になった。この日からそうなったのだった。紗理奈と話したこの日から。


ミニ豚からわかったこと   完


                  2020・5・29 
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