ミニ豚からわかったこと

「ペットショップで買って」
「今は一緒に暮らしてるのね」
「そうなの。ご飯もお水もちゃんとあげてね」
　そしてというのだ。
「おトイレもベッドも用意して」
「育ててるのね」
「人懐っこくていい娘よ」
「ブウ」
　そのミニ豚、メアリーが鳴いてきた。その鳴き声を聞いてだった。紗理奈は麗子に笑顔でこう言った。
「可愛いわね、ただね」
「ただ？」
「豚っていうとね」
　どうしてもという口調での言葉だった。
「どうしても。家畜で」
「あっ、食用で」
「ええ、そっちを思い浮かべるわね」
「それはね」
　麗子も紗理奈のその言葉に応えて言った。
「私もね」
「思うでしょ」
「豚っていうと」
　実際にというのだ。
「やっぱりね」
「食用ってイメージ強いわね」
「牛はミルク出したり羊は毛を使ったりもするけれど」
「豚っていうとね」
「どうしてもね」
「食用ってイメージが他の生きものより強いわね」
「そうよね、だからね」
　それでとだ、麗子は紗理奈に応えて言った。
「最近豚肉食べる量減ったかも」
「ペットと食べるのは別でしょ」
「わかってるけれどね」
「ミニ豚でも豚を飼ってるから」
「どうしてもね」
　豚肉、それをというのだ。
「意識して」
「食べる量減ったの」
「豚肉使ったお料理は多いから」
　巷に溢れているというのだ。
「だから食べることはあっても」
「減ってるのね」
「そう思うわ」
「そうなのね」
「気にし過ぎかしら」
「流石にね。競馬見た後で馬刺し食べる人もいるし」
　それはそれ、これはこれと考えてとだ、紗利奈はこの事例を話した。
「酪農やってるお家でもステーキやすき焼き食べるし」
「別になのね」
「意識しなくてもいいでしょ、流石に餌で豚肉あげてもない限り」
「それはしないから。ちゃんとミニ豚用のご飯あげてるから」
　麗子はこのことはしっかりと話した。