ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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ワイヤー・ヘチマール
ハンターベース 司令部
「状況は!?」
エックスは、慌てた様子ながらも部屋に入るなりオペレーターに聞く。
「はい、現在確認されているのは8つのエリアで気象コントロールセンター、砂漠基地、深海基地、シティ・アーベルに進行中の恐竜型の巨大移動要塞、エネルゲン水晶鉱山、中央コンピュータ施設、火山帯、又はスクラップ工場で正体不明のイレギュラーが大量発生しています!!」
「首謀者はわからないのか?」
「すべてのエリアは特定できておりませんがコンピュータ施設では数時間前、先の反乱で行方不明になっていた特A級ハンター マグネ・ヒャクレッガー、火山帯ではフレイム・スタッガーらしき姿が目撃されています!」
「・・・・・シグマの反乱時離反したスタッガーか。」
元ハンターが絡んでいることを知るとエックスは、腕を組みながらどうするか考える。
「遅れました!すみません!!」
ブートビードが慌てて入ってくる。
「遅刻・・・・・と言いたいところだが大丈夫なのか?先の作戦で怪我しただろう?」
「俺は、大丈夫です!!あのぐらいの怪我で寝込んでたら兄貴に笑われちゃいますんで。・・・・・ところで副隊長は?」
「そう言えば、今日はまだ来ていないな。」
エックスは、部屋を見まわしながら言う。いつもは自分よりも早く待機しているマーティが今日はどこにもいないのだ。
「あら?エックス隊長、ご存じないんですか?」
「どういう事だ?」
「マーティ副隊長は、エックス隊長からの指示で先に気象コントロールセンターに行ってくると・・・・・・」
「いや、俺はそんな事言ってないぞ!?」
オペレーターからの言葉にエックスは思わず動揺する。
「え、エックス隊長・・・・・・・」
「んん・・・・・・・本当は君と組ませて別エリアに向かわせる予定にしていたんだが・・・・・・」
「なら、俺一人で行きます。隊長は副隊長を連れ戻してきてください。」
「しかし・・・・・」
「俺だって降格はされたけど元特A級ハンターです。一人で何とかやってみせます。」
ビートブードの言葉でエックスは少し悩むがこうしている間にもマーティが危険なことをしようとしていると思うとやむを得ないと考えた。
「・・・・・・わかった。オペレーター、俺を気象コントロールセンター、ビートブードは火山帯へ転送してくれ。」
「了解しました。」
「ビートブード、危険だと判断したらすぐに撤退するんだぞ。君に万が一のことがあったらクワンガーに申し訳が立たないからね。」
「ご心配なく。隊長も副隊長のことちゃんと連れ戻してくださいよ。」
「わかってる。連れ戻し次第、そっちに向かうからな。」
「エックス隊長、転送装置の準備が整いました。これより、お二人を各エリアに転送します。」
「頼む。」
「転送5秒前、・・・・・・3,2,1、転送!」
気象コントロールセンター
「あ、暑い・・・・」
マーティは、気象コントロールセンターの環境の変化に苦労しながらもケインから受け取った装備を駆使して施設の中を進んでいた。
「シールドブーメラン!!」
マーティが投げるとシールドは回転し、メカニロイドを切り裂くと彼女の手元に戻ってくる。
「思っていたよりも使い勝手がよさそうね!この調子で行くわよ!!」
そう言いながら今度は槍を展開し、ホッピングしながら移動する。
「アタシだってやればできるんだから・・・・・・・・一人でもイレギュラーを倒せばエックスだって・・・・・・」
そのわずか数分後、エックスがセンターへ転送され、彼女を追った。
コントロールルーム
「わあぁ!!何なんだよあの女!!僕の家に勝手に上がり込んだと思ったら勝手に作った玩具壊しやがって!!」
子供みたいな口調で一体のレプリロイド ワイヤー・ヘチマールがこちらに向かってくるマーティに対して怒りをぶつける。
「しかもあのおじさんが言っていた青いレプリロイドも出て来たし!!一体僕がなにしたって言うんだよ!!家で玩具造って遊んでいただけなのにどう・・・・・・・」
「見つけたわよイレギュラー!!」
「!?」
ヘチマールが後ろを振り向くとそこには槍を構えたマーティの姿があった。
「何なんだよ、お前!!勝手に人の家に上がり込んで!玩具ぶっ壊して!!何の用だよ!!」
「家?イレギュラーが何言ってんのよ?アンタがこのセンターを占拠したんでしょ。」
「違うもん!!ここは僕の家だもん!!僕の家で玩具を造ろうが遊ぼうが別にいいじゃないか!」
「だから、アンタの家じゃないって。」
「だって、おじさんがここにいる人たちみんな壊したら好きにしていいよって言ってたんだ!!」
「おじさん?誰の事?」
「教えないよぉ~だっ!お前もあの青い奴も壊してやる!」
ヘチマールは、そう言うと蔓型のチェーン『ストライクチェーン』でマーティを攻撃する。
「青い奴って・・・・・・まさかエックスのこと?」
マーティは、ヘチマールの攻撃を避けながらしまったと思った。
今回の出撃は自分の独断だ。故にエックスは心配して自分の後を追ってきたのだ。
「・・・・・でも、こんなところで助けられたんじゃハンターとしてアタシはいつまでもエックスの隣に立つ事ができない・・・・・ここは何としてもこいつを倒さなくちゃ。」
マーティは、ホルスターに収めてあるバスターショットを取り出し、牽制のために撃つ。
「そんなへっぽこ弾効かないよぉ~だ!!」
ヘチマールは、チェーンを天井に飛ばしてぶら下がりながら避ける。
「だったらこれでどう?」
マーティはシールドブーメランを投げる。ブーメランはチェーンを切断し、ヘチマールは地上に落下する。
「痛っ!?やったな!!」
ヘチマールは膨れっ面になり頬を膨らませると頭部の花が角に生え変わる。
「あら?怒り過ぎたせいで鬼になっちゃった?」
「ぶう~!!お前なんか死んじゃえ~!!」
ヘチマールが叫ぶと同時にコントロールルーム一帯に雷撃が降り注ぐ。
「えっ!?嘘!?」
マーティは、シールドブーメランでガードするが雷撃は問答無用に彼女の体を直撃する。
「きゃああああぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
雷撃によりマーティは、体のあちこちから煙を吹き出し倒れる。
「いやったぁ~!!僕のことをバカにするからそうなるんだ!!」
彼は、笑いながらマーティに近づいて行く。マーティは、動こうとするが殺気の雷撃でどこか壊れたのか体が動かない。
「う、うぅ・・・・・・・・」
「さあて、どうなって遊ぼうかな?電磁メスでその体をバラバラにして首だけメカニロイドにくっつけるか、それとも的にして顔だけ狙い撃ちするか・・・・・・どの遊びがいいかな~。」
ヘチマールは、ニヤニヤしながら考え込む。マーティは、思わぬ発言に顔を青くする。
「ぐっ!動け!動きなさいよ!!」
無理して体を動かそうにも手足が全然いう事を聞かない。このままではこのイレギュラーの玩具として殺されてしまう。
「う、うぅ・・・・・(こうなるんだったら素直に待っていればよかった・・・・エックスの足を引っ張って死ぬなんて・・・女としてもハンターとしてもアタシ最低・・・)」
何もできない自分への悔しさのあまり涙まで込み上げてきた。
「あれ~?もしかして怖くなって泣いちゃった?フ~ンだ。でも許さないもんね~!」
ヘチマールはそんなマーティの反応を見ながら踊り出す。それが死の舞に見えて一層彼女を追い詰める。
「うわあぁ~ん!!エックス助けて~!!」
「き~めた!!えっと君で遊ぶのは・・・・・・」
「ガンマンごっこはどうだ?」
「「ん?」」
突然の第三者の声に二人は入口の方を見る。入り口にはエックスが立っていた。
「エックス!!」
「何だよお前?せっかくこれから遊ぼうと思ったのに・・・・・・」
泣き喜び状態のマーティに対してヘチマールは不満そうな顔をして言う。そんなヘチマールに対してエックスは、堂々と近づいてくる。
「遊ぶんだろ?でも一人だとつまらないと思わないのか?」
「えっ?う~ん・・・・・・・・つまんないかも。」
エックスの問いにヘチマールは、少し首をかしげると何となく言う。
「だったらそう簡単に壊しちゃダメだ。もっと有効に使わなきゃ。」
「じゃあ、どうすればいいの~?」
「簡単さ、どっちが銃を撃つのがうまいのか競争するんだよ。」
エックスは、笑いながら言う。
「俺と君でどっちが早く相手を撃てるのか?合図と同時に決めるんだ。」
「勝ったらどうなるの?」
「そりゃあ、今まで通りの生活に戻ってあの子を自由にしていいんだよ。」
「ちょっ、エックス!?」
「う~ん、でもお前が勝ったら?」
「それはどうなんだろうね~?」
「う~!教えてくれたっていいじゃないか!!」
「なら勝てばいいんだよ。もしかして自信がない?」
エックスは、意地悪そうな顔でヘチマールを見る。
「うっ!?じ、自信ならあるさ!僕が勝つに決まってるも~ん!!」
「よし。じゃあ、まずは背中を合わせて。」
彼は、言われるがままにエックスに背中を合わせる。
「やったぞぉ!」
「じゃあ、お互い『1,2・・・・・・の、3!』といったと同時に相手に向かって撃つんだ。それで倒れた方が負け。」
「よおぉ~し!絶対にやっつけてやる!」
ヘチマールは、自信満々にエックスの話に乗る。
「じゃあ、行くぞ。」
「「1」」
2人が声かけと同時にゆっくり離れて行く。
「「2」」
お互い武器を構えて発射態勢に入る。
「エックス・・・・・・・」
マーティは心臓部をドキドキさせながら見る。
「「の・・・・・・・・・3!!」」
二人は同時に振り向く。
ズガ―――――――――――――ンン!!
そして銃声が響いた。
「そ・・・・そん・・・なに・・・早い・・なんて・・・ずるいよ・・・・」
ヘチマールは、頭部を撃ち抜かれて倒れる。エックスは、バスターを通常の腕に戻すと司令部に通信を入れる。
「こちらエックス、気象コントロールセンターのイレギュラーを鎮圧した。イレギュラーをケイン博士のところへ持っていくように手配してくれ。後、マーティが負傷したからその件も頼む。」
そう言って通信を切るとエックスはヘチマールの体からDNAデータを抜き取り、バスターに組み込む。
「急所は外しておいたからケイン博士ならうまく直せるだろう。」
エックスは、呆れた顔をしてマーティを抱きかかえる。
「全く・・・・・・・いつもは待機していたのにどうして勝手に出撃・・・・・・・!?」
質問しようとしたエックスだがマーティの顔を見て思わず言葉を失う。いつもは本当に女性型か?と言うぐらい強気だった彼女が自分の胸の中で何処かしらにいそうな少女のように泣いていたのだ。
「うぅ・・・・・ううう・・・・」
「そ、そんなに泣かれても・・・・・・命令違反は命令違反だからな!」
彼女の顔を見て言いづらそうだったがエックスは、立場上言う。
「・・・・どうして勝手に出撃した?」
「・・・認めてほしかったから。」
「えっ?」
マーティの言葉にエックスは、思わずきょとんとする。
「・・・・・・・アタシ、今までイレギュラーをまともに倒した戦績もなかったし、危ないところはいつもアンタに助けられっぱなし。だから、今度は手間を掛けさせないようにって爺さんからの装備で行ったのに・・・・・・・」
そこまで言いかけたところでマーティは、また泣き出す。
「け、けっきょ、きょく・・・・・・勝てなかった・・・・・・じいさんに無理に頼んで態々作ってくれたのに・・・・・・・アタシって・・・・もうハンター失格だよ・・・・・・・何もできやしない・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
そんなマーティに対してエックスは思わずかつての悪友ジャイアンの妹ことジャイ子を思い出した。
彼女は将来漫画家になるべく、新人賞に応募しては何度も落選するという苦い経験を味わっていた。ジャイアンからの話を聞くなりよく何度も諦めかけながら起き上がっては自信作を書いては挑む・・・・・・それが今のマーティと何となく似ていた。
エックスは、彼女の頭を撫でながら基地へと戻り始める。
「・・・・・悪かったな。そんな悩み事を聞いてやれなくて。」
「!?」
「俺だって最初っからイレギュラーと戦えたわけじゃないさ。それにそれよりも前はすぐに諦めちゃうような奴だった。まあ、一緒にいた親友がいろいろ言ってはやってくれたけど。」
「・・・・・・・」
「俺は別に君が弱いとか宛にならないとか思ったことは一度もないよ。それどころか信用しているし、いつも仕事をサポートしてくれることに感謝しているよ。」
「エックス・・・・・・」
「・・・・ちゃんと直ったら、また別のイレギュラーと戦うことになる。負けることなんかいくらでもある。でも、そこから立ち上がろうとすることも大事なんだ。だから、そんな風に言うんじゃない。」
「う・・・・うん・・・・・・」
マーティは、少し恥ずかしそうな顔をしていたが何かがほぐれたような気がした。
「・・・・・早く、ビートブードの方にも行かなきゃな。」
エックスはそう思いながら一旦基地へ帰還する。
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