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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十話 神戸に戻ってその十三

「あの人は自殺しましたけれど」
「そうした人達は間違いなく嫌っていました」
「そうした人達でしたね」
「卑怯ではなかったですから」
 少なくとも自分の発言には責任を持った、それは作品にも出ている。
「戦争についてもそうでした」
「確か親が負けるとわかっている喧嘩に行くのに子供がついていかないか」
「そう言っていましたし」
「卑怯ではですね」
「なかったです」
「そのことは確かですね」
「色々言う人もいますが」
 自殺したことがやっぱり大きいと思う、太宰が言われることについては。
「少なくともです」
「あの人は卑怯ではなくて」
「戦後のマルクス主義者に多い」
「卑怯な人達とは違いますね」
「例えマルクス主義でも卑怯ではなく」 
 そしてというのだ。
「曲学阿世でなければ」
「いいんですね」
「はい、ですが何故かです」
「戦後の日本ではですか」
「マルクス主義の側に多かったです」
「卑怯な人が」
「帰国事業の件も含めて」
 これが一番酷い話だろうか、多くの犠牲者が出ているだけに。
「あまりにも酷い人がです」
「多くて」
「その彼等が長い間日本の学問や思想の主流だったので」
「マスコミもですね」
「彼等が握っていましたから」
 それでというのだ。
「戦後の日本の学問やマスメディアはです」
「酷いことになったんですね」
「腐敗の極みにありました」
 そうだったというのだ。
「今でこそ落日を迎えてそれが確実になっていますが」
「それでもですか」
「ソ連が崩壊してもです」
 マルクス主義の総本山がなくなってもだ。
「卑怯の限りを尽くして生き残りましたし」
「それで今もいるんですね」
「そうです、戦後私は驚きました」
「戦場から戻られて」
「学問や思想が一変していて」
「酷くなっていて」
「そうなっていたので」
 だからだというのだ。
「これは敗戦よりも酷いとです」
「そこまで思われましたか」
「満州を攻めたソ連を賛美していたのですから」
「そういえば」
 僕も思い出した、ソ連軍は満州を中立条約を一方的に破棄して攻め込んできた。そうして恐ろしい蛮行を繰り返した。
「あの時必死に満州から帰ってきた人も多いですね」
「無残なお話も多かったですね」
「よく言われていますね」
「ですがそのソ連をです」
「賛美している人達がですか」
「大手を振って歩いていたのですから」
 知識人の世界を掌握してだ。
「驚きました」
「よくそれで満州から帰ってきた人達怒りませんでしたね」
「義和様、嘘は時としてです」
 畑中さんは僕に苦い顔で話してくれた。
「押し通すことが出来ます」
「ソ連についてもですか」
「素晴らしい民主主義国家、平和勢力という嘘も」
 満州に攻めていた時点で平和勢力とかとんでもない嘘だとわかる、その前にバルト三国も恫喝して併合しているしフィンランドにも攻め込んでいる。
「大学教授という権威や何百万部の新聞の発行の前では」
「通りますか」
「そこにテレビも加われば」 
 付けていればそれで情報は垂れ流しだ、何も考えずに観ていると目と耳から情報が入って頭の中に残る。 
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