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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第三十二話 モデルV本体の発掘阻止

一枚目のデータディスクの修復から数日後、二枚目のデータディスクの修復が完了したとのことで司令室であるブリッジに足を運んだ。

「二枚目のデータディスクの内容は何だったんだ?」

早速データディスクの内容を尋ねるヴァン。

「………二枚目のデータディスクにはモデルX達の所有者へのお姉ちゃんからのメッセージが残されていたわ。モデルX達の所有者であるエール…あなたへよ」

「アタシに…?」

「一応お前も聞いとけヴァン、お前もモデルXの適合者なんだからな」

「そういう先輩もモデルZの適合者だろ」

「それじゃあ、再生するわね」

プレリーが端末を操作すると、データディスクの内容がモニターに映された。

《ライブメタル・レポート》

《分類No.555913―力を受け継ぎし者へ―》

《私が作ったライブメタルを手にするであろう、選ばれし者達にこのメッセージを送ります。私はイレギュラーを生み出す恐るべきライブメタル…モデルVに対抗するべく、英雄達のデータを込めたライブメタル…モデルXやモデルZ達を作りました。けれど…ライブメタルは未知の部分が多く、モデルX達はモデルVの研究データを基にして作らざるを得なかったのです。つまり、モデルX達の真の力を引き出せる者は…モデルVの真の力をも使いこなすことが出来るということ…あなたは世界を守ることも出来れば、世界を支配することも出来るのです。どうか、その力で人々をより良き世界へと導いて下さい…》

「「「………」」」

メッセージから伝わる初代司令官の願いを感じ取った三人は無言であった。

「ライブメタルを使える者は英雄にも…支配者にもなれる…だから、プロメテ達はヴァンを仲間と言って、あなたが仲間に相応しいのかを確かめようとしたのね」

「……俺達の力は仲間や仲間の信じるものを守るための力だ。プロメテ達とは違う…そうだろエール?」

「ヴァン…そうだね…アタシのこの力は…みんなに託された、大切なものを守る力なんだ…アタシは絶対…プロメテ達のようにはならない…!」

「……その言葉を聞けて安心したな…今のお前達なら何があっても道を踏み外したりなんかしない。例えこの先何があってもお前達には俺達がいる…だから頑張れエール…ヴァン」

「ジルウェ…」

「分かってるよ先輩…ありがとう…俺、先輩に会えて良かったよ」

「おいおい、まるで全て終わらせたように言うなよ。セルパンを倒してもまだまだやることはたくさんあるんだ…お前にもミッチリ働いてもらうからな」

「やること…か…そうだな……………手伝えたら良いな…」

「ヴァン?」

最後のヴァンの呟きが小さすぎて聞こえなかったエールは首を傾げた。

「いや、何でもない…モデルH達のパスコードの修復は?」

「…………ヴァン…いや、何でもない…どうやらみんなのパスコードの修復が終わったようだ。これで、モデルV本体が眠る遺跡の奥に入ることが出来るはずだ(君は覚悟してるんだよね…もう僕ではモデルOの干渉を止められない。モデルVと対面すればモデルVの狂気によって今度こそモデルOの破壊衝動に呑まれてしまうかもしれない。でもそれでも君は行くんだね…守るために…僕に刻まれたオリジナルのデータ……僕のオリジナルもモデルZのオリジナルが自分を犠牲にした時…こんな気持ちだったんだろうか…)」

「モデルVの本体があるのは以前、エリアJに向かった時に通った洞窟のどこかにあるみたいなの」

「あそこね……急ごう!モデルV本体の発掘は相当進んでいるはずよ」

「ええ…!ミッションをトランスサーバーに追加しておくわ!二人共…気を付けてね。あなた達を信じているわ…!」

早速トランスサーバーのある部屋に向かい、エリアAに向かうと早速エリアJに向かう際に利用した洞窟へ向かった。

「ここの洞窟のどこかにあるんだって言うんだけど…」

周囲を見渡しながらモデルVの封印場所を探すエールだが、やはりモデルVの封印場所なだけあって簡単には見つからない。

「………あそこだ」

ヴァンは何かに引き寄せられるように駆け出した。

それを見たエールが慌ててヴァンを追い掛ける。

「モデルX…あいつは…」

「うん…モデルOとの人格の境界線が薄れ始めている。」

モデルZとモデルXの会話はエールには聞こえないようにしているため、内容はエールには分からない。

「…そうか、だが…今は時間がない…」

「彼は僕の適合者だから、本当は僕が力にならないといけないのに…」

「お前のせいじゃない。どこまでやれるかは分からんが…今の俺達に出来ることをするしかない…お前も少しは俺達を頼れ」

「モデルZ…ありがとう」

ヴァンを追い掛けると、そこには古い扉があった。

「ここだな」

「…この先に…モデルVが…!」

二人が扉を抉じ開けると、他の場所とは全く雰囲気が違う洞窟に出た。

そして奥には厳重な封印が施された扉がある。

「覚悟はいいか、扉を開けるぞ」

「うん…お願い!」

モデルZの言葉にエールが頷くと、モデルXが他のライブメタルに指示を出す。

「みんな…パスコードの入力を」

エールのモデルZXの変身が解除されるのと同時にライブメタル達が飛び出す。

「我が言の葉は、風となり空を巡る……ウェントス・アルス…」

パスコードの言葉を言い終えたモデルHからパスコードのデータが飛び出してモデルHのパスコードに対応したロックに吸い込まれた。

それにモデルL、モデルF、モデルP、モデルX、モデルZが続いた。

「我が言の葉は、水となり大地を潤す……グラキエス・パッシオ…」

「我が言の葉は、炎となり命を燃やす……フランマ・ウィース…」

「我が言の葉は、影となり忠義を誓う……ウンブラ・プロフェス…」

「我が言の葉は、光となり無限の可能性を照らす……ルーメン・インフィニタス…」

「我が言の葉は、勇気となり信念を支える……フォルティトゥード・クレド…」

最後のモデルZのパスコードのデータがモデルZのパスコードに対応したロックに吸い込まれたことで扉のロックが解除された。

「さあ、行こう!」

「後は…お前達次第だ」

モデルXとモデルZの言葉に二人は頷くと、エールは再びモデルZXへと変身して、扉を潜っていった。

扉を潜った先は今まで通ったエリアとは全く違っていた。

入ったばかりなのに微かに感じるモデルVのプレッシャー。

モデルV本体から相当離れているはずなのに感じると言うことは相当な力を宿している証拠だ。

「…………」

「ヴァン、大丈夫?」

「いや、大丈夫だ…急ごう」

モデルVのプレッシャーによってモデルOが刺激されたのか、今までとは比較にならないくらいにモデルOが騒がしい。

顔色が悪いヴァンをエールは心配するが、時間はあまり残されていないのでここで時間を潰すわけにはいかない。

途中で鷹を彷彿とさせるメカニロイドが出現して襲い掛かってくるが、モデルHXに変身したエールがエネミーアナライジングで弱点を調べる。

「あいつの弱点は頭部みたい」

「ならそこを集中攻撃だ」

オーバードライブを発動したヴァンがバスターショットを構えてセミチャージバスターを連射し、エールもオーバードライブで強化したダブルセイバーで連続で斬りつけると、あっさりとメカニロイドは沈んだ。

二人はメカニロイドが沈黙したことを確認すると、急いで奥へと進んでいく。

敵を蹴散らしながら進んで奥の古びたシャッターを抉じ開けると、何かの建造物だったのか、切断されたコードが動いていたり、未だに機能している部分がある。

「何だこれは?」

「遺跡と言うよりも壊れた建造物って感じ…もしかして、この遺跡ってラグナロクの残骸なのかな?」

「……多分、そうかもな。大きめの残骸が遺跡化したのかもな」

周囲を見渡すと、歴史の教科書や博物館で見たことのある旧世代のメカニロイドやレプリロイドの残骸がチラホラと見える。

確かあれはバリアントだっただろうか?

今では考えられないが、メカニロイドに近い簡易的な電子頭脳を持ち、電子頭脳を簡略化する代わりに戦闘力を大きく向上させ、装備変更を可能にすることで汎用性に特化させた戦闘用レプリロイドだ。

昔話と言われるくらいに過去のことは歴史には残っていないものの、後にこのバリアントの技術を流用して作られたのが現在の目の前で自分達を攻撃してくる人型メカニロイドのガレオンなのだ。

「………数百年経ったのにまだ機能してるのか…」

それだけ世界の支配に本気だったということなのだろう。

ラグナロクには当時最先端の技術が使われていたのだろうし。

「何か不気味よね…取り敢えず進もうよ」

モデルPXに変身してレーダースコープで隠し通路がないかを調べながら進むと、ブロックで塞がれた場所に出た。

「このブロックの先に細い道があるみたい」

「よし、下がってろエール」

ヴァンがオメガナックルでブロックを壊すと、確かに細道はあった。

「これは変身を解かないと行けそうに…あっ!?」

ヴァンはスライディングで細道を強引に突破した。

「良いのかな…?」

エールもスライディングを真似して下に降りていく。

すると降りた場所はシャッターの前だったらしく、目の前のメカニロイドをエールがモデルZXに変身してZXバスターのショットを連射して破壊した。

「それにしてもこの中は見覚えがあるな……」

「そうなの?」

「ああ、モデルOに取り憑かれてロックマンになった場所もこんな感じの場所だった。」

「…もしかしたら、モデルOのあった場所はここに近かったのかもね」

二人がシャッターを潜ると、海水が満ち引きを繰り返している。

ここは少しヴァンでは通りにくいだろうから、エールがモデルLXに変身してヴァンの手を引きながら進み、海水の満ち引きに注意を払ってトゲに当たらないように進む。

安全な場所まで移動すると、エールはモデルZXに再度変身する。

ヴァンがアルティメットセイバーを抜き、エールがバスターをZXセイバーに変形させてメカニロイドを両断しながら進む。

そして奥のシャッターを潜り抜けてメカニロイドを片付けながら下の方に降りていくと、モデルVのプレッシャーが一際強くなった。

「どうやらここだな…」

一瞬意識を失いかけたが、何とか耐えてシャッターを抉じ開けると、そこにはセルパンとパンドラがいた。

「とうとうここまで辿り着いたか…破壊神のロックマン。そしてあの時の少女よ…まさか君達がここまでやるとは思いもしなかった。」

セルパンの口ぶりから、恐らくプロメテ達からモデルOのことを聞いたようだ。

ヴァンを破壊神のロックマンと呼んでいることからそれが分かる。

「セルパン…!」

「丁度良いな、ここでお前を倒させてもらうぞ!!」

セイバーの切っ先を向けるヴァンにセルパンは不敵な笑みを浮かべた。

「そう慌てるな破壊神のロックマンよ。これを見たまえ…」

セルパンが頭上を見上げたので、ヴァンとエールの視線もそれを追う。

見上げた先には禍々しい強大なプレッシャーを放つ巨大な金属の塊があった。

「まさか…これが本体のモデルVなのか…!?」

「ライブメタルなの…!?これが!?」

「そう!これが世界を支配する力…本当のモデルVの姿だ!!」

通常のライブメタル…モデルX達とは桁違いの大きさに二人はきょうがくし、その表情を見たセルパンは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「感じるかね!?このプレッシャーを!少女の持つライブメタル達…そして古の破壊神の力すら、このモデルVの前では霞んで見えるだろう!この力が今!全て!ついに我が物となる!パンドラ!!」

後ろに控えていたパンドラを呼ぶセルパン。

「…………」

パンドラはヴァンとエールを交互に見ながら前に出た。

「あの二人は大切なお客様だ…もてなしてやってくれ」

「………分かった……」

「いよいよプロジェクト・ヘヴンは最終段階的に入る!そこで しっかりと見ていたまえ…新たな時代の幕開けをな…!」

転送の光に包まれたセルパンはこの場から消えた。

「待て!」

「モデルO…ロックマン………邪魔は……させない…」

「邪魔をするなら叩き斬る!!」

チャージセイバーを振るうヴァンに対してパンドラは杖の柄で受け止めるが、あまりの威力に表情が微かに歪んだ。

「ヴァン!こいつはアタシに任せて、セルパンを追って!!」

バスターを構えてチャージバスターをパンドラに放ってシャッターの前から退かすエール。

「任せた!」

ダッシュで移動し、シャッターを潜って奥へと向かうヴァン。

「……モデルOの…ロックマン…彼は…プロメテの……獲物………彼はプロメテに…任せる……あなたが私達の…仲間に……このゲームに参加する資格があるのか…テストするわ」

「アタシはお前達の仲間になんかにはならない!あんたを倒してセルパンを倒す!それだけよ!」

チャージバスターを発射するエールだが、パンドラは杖に乗ると不規則な動きをしながらかわしてエールにぶつかる。

「…どうしたの?…当たらないわ…」

「っ!」

咄嗟にセイバーで反撃しようとするが、すぐに間合いから離脱して属性を電気に変えると追尾性能を持った電撃を発射する。

「かわせる?」

「ダブルロックオン!モデルHX!!」

壁蹴りとモデルHXのエネミーアナライジングとエアダッシュを駆使してパンドラを解析しながら距離を詰めると再度変身する。

「ダブルロックオン!モデルLX!!」

オーバードライブを発動してハルバードで斬りつけると、パンドラの体が凍結した。

「っ…」

「どう!?」

「…調子に乗らないで…潰してあげる」

自身を電気属性から氷属性に変えると巨大な氷達磨を作り出してエールに向けて滑らせる。

壁蹴りでかわそうとするが、壁にぶつかるとエールの壁蹴りが阻害されてしまい、落ちそうになる。

「ダブルロックオン!モデルFX!!」

壁蹴りを維持しながらオーバードライブを発動し、ナックルバスターを構えながらショットを連射する。

それをパンドラはかわそうとするが、ショットの軌道を変えることが出来るモデルFXにはそれはかなり困難だ。

「…やるわね…」

「初めて会った時のようにはいかないわよ」

パンドラから見ても初めて会った時よりも遥かに成長しているエール。

「……訂正するわ…青の英雄のライブメタル…それに選ばれただけのことはあるわ」

今のエールの強さは自分が本気を出さねばならないくらいだと認識を改める。

「あんたにそんなこと言われても全然嬉しくないわ!!」

パンドラはビットを射出し、属性を電気と氷を交互に変えながら電撃と氷弾の攻撃を繰り返すが、エールはモデルZXに変身して的確にチャージバスターを当ててビットを無力化し、壁蹴りからのダッシュジャンプで回転斬りをパンドラに浴びせる。

「……逃がさない…」

距離を取ったエールに再び杖から電撃が放たれた。

ギリギリまで引き付けて回避し、チャージバスターを当てた。

多種多様な変身を可能にし、あらゆる状況への対応力を他のライブメタルとの融合で得ているエール。

これらの力を使いこなすのにどれだけの努力を重ねたのか…。

氷達磨を作り出してエールに向けて滑らせながら、パンドラ自身も杖に乗って突進してくる。

エールはモデルFXに変身して二丁のナックルバスターをチャージしながらタイミングを待ち、ジャンプで氷達磨の上を取ると、ナックルバスターを真下の氷達磨に叩き付ける。

その反動で高くジャンプし、パンドラの真正面に移動した。

「っ……!?」

「メガトンクラッシュ!!」

炎を纏ったナックルバスターでのパンチを喰らったパンドラは大きく吹き飛ばされたものの、空中で体勢を立て直した。

「……合格よ」

「!?」

破損したアーマーが瞬く間に修復されていく。

エールはこの現象を見たことがある。

「それは…ヴァンと同じ…」

「私達とモデルOのロックマンは…同胞…ライブメタルと一体化し…もう二度と人としての生を望めない存在…元には戻れない…」

「何…?何を…言ってるの…?」

パンドラの言葉の意味が分からないエールは困惑していたが、モデルV本体が浮上していくのを見たエールはハッとなってそちらを見る。

「くっ…!モデルVが…!」

「……運命は…動き出した……滅びの運命は…誰にも止められない…あなたにも…彼にも…セルパンにも……そう……誰にも……」

「…え…!?」

目を見開くエールだが、パンドラは転送の光に包まれて消えてしまう。
 
「……滅びの運命…?あいつらは一体………いや、考える前にヴァンを追いかけなきゃ!!」

エールもまたダッシュで奥のシャッターを潜り抜け、ヴァンの後を追い掛けたのであった。 
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