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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十話 神戸に戻ってその三

「返すな」
「そうするんだね」
「絶対にな、じゃあな」
「今はだね」
「ああ、母さんと一緒にまずは新空港に行ってな」 
 僕達が合流した大阪のあの空港にだ。
「そこからな」
「ジェット機でだね」
「ヴェネツィアに戻るな」
「それじゃあね」
「また来るからな」 
 日本にとだ、親父は真剣な表情を笑顔にして僕に話してくれた。
「また会おうな」
「うん、それじゃあね」
「その時は母さんも一緒だよ」
「お父さんとね」
 お袋も僕に微笑んで言ってきた。
「また戻って来るわね」
「そうしてくれるんだね」
「実家のことが何とかなってからだけれど」
 それでもというのだ。
「またね」
「日本に戻ってきて」
「会いましょう」
「その時を楽しみにしているよ」
「お母さんもよ、だからね」
「またね」
「ええ、また」 
 久しぶりの再会だったけれどすぐに別れることになったのは残念だ、けれどまた会えることは間違いないので。
 僕は親父そしてお袋と笑顔で別れた、二人はまたヘリコプターに乗ってそうして大阪の方に向かった。そのヘリコプターを見送って見えなくなってから。
 僕は畑中さんにこう言った。
「後は無事にです」
「ヴェネツィアにですね」
「着いてくれれば」  
 それでだ。
「いいですね」
「そうですね、ではです」
「僕達もですね」
「戻りましょう」
「八条荘に」
「はい、私達の場所に」
「そうですね。とりあえずは終わりましたし」
 これから起こることがどれだけ多くてもだ。
「それじゃあ」
「八条荘に帰りましょう」
「そうしましょう、本当に」
「妻と共に」
「奥さんもご無事ですし」
「はい」
 その奥さんも出て来た、他の人達と同じく無傷だ。
「それでは」
「今からですね」
「お車の用意はしてもらっていますので」
 それでというのだ。
「今からです」
「その車に乗せてもらって」
「そうしてです」
「帰ってですね」
「休みましょう」
「帰りましたら」
 畑中さんがまた僕に言ってきた。
「まずはご夕食を。そして」
「その後で、ですね」
「お風呂にお入り下さい」
「そうしてですか」
「今日の疲れをお取り下さい」
 こう僕に話してくれた。
「そうして下さい」
「わかりました、そうさせてもらいます」
「そして日常にです」
「戻るんですね」
「そうされて下さい」
「日常ですか」
「はい、いつもの日々に」
 今日が終わればというのだ。 
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