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八条学園騒動記

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第五百六十三話 準備に入りその六

「むしろ全力を出さなかったらな」
「そのことを後悔しろっていうんだね」
「そうだ、後悔するならそちらだ」
 失敗した場合でなく、というのだ。
「むしろな」
「そうなんだね」
「ならいいな」
「うん、じゃあね」
「その気概でいけ」
「そうするね」
「そしてだ」
 タムタムはさらに言った。
「今もな」
「全力でだね」
「作業をしていこうな」
「何でも手を抜かない」
「手を抜くといい加減なものが出来てな」
「舞台も悪いものになるね」
「こうしたことからだ」
 タムタムは次から次に木を切っていた、その動きは素早く時々鋸で木を切って出来た木屑を掃除している。
「いい舞台が出来る」
「そういうことだね」
「だからな」
「こうした作業もだね」
「しっかりすることだ」
 手を抜かないでというのだ。
「それでいいな」
「じゃあね、僕もね」
 マルティはタムタムの言葉に頷いてだった。
 ハンマーと釘を使う、そうして言うのだった。
「真面目にやっていくよ」
「お前の流儀で言うとな」
 タムタムはここで微笑んだ、そして言った。
「女の子のことを考えながらだ」
「ああ、女の子のグラビアとか写真集とか」
「DVDとかのな」
「僕の実家レンタルビデオショップだしね」
 この時代もこの名称だが扱っているものはもうDVDになっている、ブルーレイも扱われているがそれでもこの名称だ。
「それでね」
「アイドルのものも多いな」
「大きなお店で」
 店の規模の話もした。
「ドラマにアニメも揃えてるけれど」
「アイドル関係もか」
「あとね」
「アダルトもか」
「やっぱりそっちはね」 
 レンタルビデオショップならとだ、マルティはこうした店の現実を話した。現実は時としてそうした話を避けられないものだ。
「人気があるよ」
「やっぱりそうだな」
「実は女の人にも」
「女の人もそういうのを観るな」
「そうなんだ、それでだね」
「そうしたことに熱中する様にな」
「今は作業に熱中すべきだね」
「そしてだ」
 タムタムはマルティにさらに話した。
「舞台もだ」
「アイドルに集中するみたいに」
「やればいい」
「そう言われるとやりやすいね」
「要点はな」 
 それはどういったものかというと。
「手を抜かないでな」
「真剣にだね」
「していくことだ」
「作業も舞台も」
「野球でも手を抜くとな」 
 そうすると、とだ。タムタムは話した。
「駄目だ」
「絶対にだよね」
「幾ら弱い相手でもな」
「手を抜いたらね」
「スポーツマンシップに反する、相手を馬鹿にする様な奴はだ」
「スポーツマンシップがないね」
「そんなふざけた奴は野球どころかだ」 
 それこそという言葉だった、今のタムタムのそれは。 
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