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八条学園騒動記

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第五百六十三話 準備に入りその三

「それでね」
「そうしたことは言わない」
「もう嫌なことしか言わなくて」
「嫌われていた」
「そうなるね、当然ながら」
「それで一年で他の学校に飛ばされた」 
 そうなったというのだ。
「半分クビだったな」
「飛ばされたっていうか」
「僻地の給料の安いいるだけみたいな職場にな」
「学校の先生だよね、顧問っていうと」
「そうだったが」
「それをクビになって」
「他にも色々やらかしてな」
 それでというのだ。
「一生そこから出られないらしい」
「そうなんだ」
「学校といっても少年刑務所の中でも屑ばかり集まっていてだ」
「ああ、全員消耗品だね」
 連合では凶悪犯の人権は少年少女でも一切無視される、その為彼等の扱いは実に過酷なものであるのだ。
「二十四時間強制労働で」
「そこの教師だ」
「そこに送られたんだ」
「屑の相手は屑ということでな」
「一緒に死ねっていうんだ」
「そうした風になってな」
 そしてだというのだ。
「そこで授業といっても何もすることがなくな」
「お給料も安くて」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「もう会うこともない」
「よっぽど嫌われてたんだね」
「生徒からも同僚からもね、目が笑っていなかった」
「ああ、目が」
「常にな」
「悪い人って目が笑っていないっていうね」  
 マルティはハンマーを使いながら言った。
「よく」
「そうだな、そして実際にな」
「悪いこともしていたんだ」
「金に汚かったらしい」
「横領とかしていたとか」
「それをかなり疑われてだ」
「それが決め手になって左遷かな」
 マルティはタムタムの話を聞いてこう予想した。
「それかな」
「どうもな、証拠は見付からなかったらしいが」
「見付かったらクビだったね」
「その時点でな」
「そうだよね」
「だが見付からなかった、しかしな」
「クロに近いと思われていたから」
 それでとだ、マルティは話した。
「左遷されたんだね」
「皆大喜びした」
「本当に嫌われていたんだ」
「今はどうしているだろうな」
「まだそこにいるかな」
「さてな、しかし屑を消耗品にして使い潰す場所に遅れられるとかな」
 少年刑務所、それも凶悪犯罪を犯した輩が集められる場所にというのだ。そこは一日十二時間以上の重労働だけでなく粗末な食生活と劣悪な環境であることでも知られている。
「相応しいと言われた」
「その教師にとって」
「いい鉄は釘にはならない」 
 タムタムはマルティが今打っている釘を自分は鋸を使いつつ話した。
「いい人は教師にはならない」
「連合では昔から言われてるね」
「そして実際にだ」
「学校の先生っておかしな人多いよね」
「暴力事件や性犯罪が異常に多い」 
 教師の犯すそれがというのだ。 
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