| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔転語(魔王転職物語)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

9話~宴会~



第9話~宴会~


「パーティーを組もう?」

勇者、レイナ・ペングラムは元魔王である俺にパーティーを組もうと提案をしてくる。

おいおい……マジかよ。
一応、俺は元魔王だよ?

「マジで言ってるの?ドッキリとかじゃなく?俺は、元魔王だよ?」

「ん?何かおかしい?…確かに貴方は元魔王だけど、今は只の人間…それに、今の魔王、サタンを倒そうとしている。利害は一致すると思うけど?」

まぁ、確かに利害は一致するが、いいのか?

というか、なに言ってるの?当たり前じゃないみたいな顔して俺を見るな。

「それに、貴方は悪い人じゃなさそう。だから、私の仲間になって」

レイナは俺に詰め寄ってくる。

困っている俺を見かねて、ギルドマスターのリンファが

「いいんじゃない?レイナが貴方を仲間にしたいと言っているのだから……それに、勇者と元魔王が仲間で、魔王討伐だなんて面白いじゃない」

リンファは、笑いながら俺に言ってくる。

そして、続けて

「それに、レイナは本気で魔王サタンを討伐しようとしてるわ。そこに貴方を仲間に入れたいってことは、レイナは本気ってことよ」

本気か。元魔王の手を借りたいぐらいサタンを討つことに本気ということか。

俺の手でサタンを倒そうと思ったが時間がかかる。

なら、勇者と共にサタンを討伐するのもありか。

もともと、前勇者のアレクセイと共にやろうとしてたし。

アレクセイから娘のレイナに変わっただけだ。

しかし、ここで一つ疑問が浮かぶ。
レイナ本人は大丈夫と言っているがレイナのパーティー仲間は大丈夫なのか?

勇者となれば、その仲間も凄いはず、そんな人達が俺を入れてくれるのか?

「気持ちは嬉しいんだけど、あれだよ別に嫌じゃないよ?その…君のパーティーの人達が何て言うか」

俺は疑問に思ったことを素直に聞く。

すると

「パーティーメンバーのこと?なら、大丈夫」

レイナは大丈夫だと言う。

本人は大丈夫と言っているが

俺の心配を察して、リンファが口を開く。

「安心しなさい。レイナにはパーティーメンバーが居ないわ」

パーティーメンバーが居ない?

勇者なのに?募集すれば困りはしないはず

「パーティーメンバーが居ないのか?一人も?」

「えぇ、居ないわ。一人もね。まぁ確かにパーティーメンバーに入りたいって子はたくさん居るわ。でも、レイナがなかなか決めないのよね」

「どうして?」

俺の質問に

「みんな、来てくれる人達はみんないい人ばかり。でも、私が進む道は魔王討伐。そんな、危険なことに巻き込むことはできない。それに、勇者の仲間という肩書きが欲しいだけの人もいる。」

レイナは言うのだった。
そして

「でも、貴方は私と同じ目的を持っている。それに、なんでだろう?私は貴方が嫌いじゃない」

なるほど。つまりは、同じ目的を持つ仲間が欲しいってわけか

正直、魔王討伐の目標を掲げている人は少ない。

みんな、己の私利私欲のためにレイナに近づいてくるってわけか

「だから、パーティー組まない?……ダメ?」

レイナは上目遣いで見てくるのだった。

この勇者、狙ってやってる訳じゃない。素でやってる天然だ。

正直、既婚者じゃなかったら、ヤられていたな。

「わかった。よろしく頼むよ勇者様」

俺はレイナの提案を受けるのだった。

「ありがとう、よろしくね……マオ」

笑顔で笑うのだった。

「あと、私のことはレイナでいい。勇者呼びはやめて、約束?」

レイナは、笑顔で小指を立て俺の前にだす。

「わかった。よろしくレイナ」

と、小指を絡ませ約束するのだった。

こうして、俺はレイナのパーティーメンバーに正式に加入するのだ。

ちなみに

「なぁ、シャルルもパーティーに入れても?」

この場に居ない、シャルルも入れてもいいかと尋ねる。

「シャルル?人間に変身してたスライム?」

勇者の名は伊達じゃないか、シャルルの変身魔法を見破っている。

「あぁ、シャルルは大事な仲間なんだ。ダメか?」

「いいよ。マオの仲間なら信用できる」

レイナは了承してくれた。

魔物でも仲間にする。
素敵な勇者だ。

俺の中でレイナの好感度が上がる。

「ありがとう。シャルルには俺から言っておく」

「うん」

勇者レイナ、元魔王マオ、スライムシャルルの三人のパーティーができるのだった。

その光景を見ていたリンファは

「やっとボッチじゃなくなったわね。レイナしっかり魔王討伐を頑張るのよ。我ら蒼天の義勇、全員がサポートするわ」

お姉さん気質のリンファは、レイナがボッチ勇者じゃなくなったことに安心するのだった。

そして

「今日は宴を開くわ、新たなるギルドメンバーの歓迎そして、勇者の仲間の誕生を祝って」

リンファ主催の宴が開かれるのだった。


~ギルド内・大広場~

ギルドの中には、食堂、酒場、宿屋兼冒険者寮などある。

そして、マオ達が居るのは、冒険者達が集まる大広場。

その、大広場の真ん中でリンファが立っていた。

「蒼天の義勇の仲間達よ、今日、新たな冒険者が誕生した!その名をマオ!」

リンファは、俺をギルドメンバーに紹介を始める。

大広場に居るだけで、百人近くは集まっていた。戦士や魔法使いや僧侶、格闘家など様々な顔ぶれである。

ここに居るのはまだ、一部だけで蒼天の義勇は冒険者五百人以上、所属している大規模ギルドだ。

「今日からお世話になる。マオです、よろしくお願いしまーす」

俺は、ギルドメンバー達に挨拶をする。

ちなみにマオ・テンペストとは名乗っていない、顔はあまり知られてないが元魔王ということを隠すためだ。

元魔王と知っている人間は、アレクセイ、リンファ、レイナの三人だけである。

そして、先ほど合流した。

「シャルルと申しますよろしくお願いいたします」

シャルルも自己紹介をする。

「この、マオとシャルルは、勇者レイナと共にパーティーを組み魔王討伐を目指すものよ、みんなサポートをよろしく頼むわ」

リンファの言葉に

『あのレイナちゃんとパーティーか!?』

『羨ましいぜ!よろしく頼むぞあんちゃん達!』

『『よろしくなぁー!!』』

ギルドメンバー達は、歓迎してくれる。

しかし、中には

『レイナ様とパーティーだと、私は断られたというのに!』

などと、よく思っていない奴等もちらほらと見える。

レイナは、美人だし勇者だし人気者だからな。

その隣に知らない男が居たらおもしろくないよな。

レイナを狙ってる連中は


「それでは、宴を始めるわ!……乾杯!」

ギルドマスター、リンファの掛け声で宴が始まるのだった。


「飲むぞぉー!」

そして俺は、初めての人間としての宴を楽しむのだった。



次回第10話~宴会開始~









 
 

 
後書き

次回第10話~宴会の始まり~

感想、評価よろしくお願いいたします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧