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魔転語(魔王転職物語)

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8話~パーティー~





第8話~パーティー~


俺が目覚めるとそこは、ギルドの医務室であった。

「あら?目覚めたかしら」

話をかけてきたのは、ギルドマスター、リンファであった。

リンファが、居るということはここは、ギルドか

「ギルドか?俺はリザードトカゲの討伐クエストをしていたはずだが」

「貴方が気絶しちゃっはたから、レイナがギルドに運んでくれたのよ。幸せそうな顔をしていたわよ貴方」

気絶する前の記憶が……微かにいい匂いと柔らかいなにかの記憶が…

「起きた?気絶したから、ビックリした。それほど、怖かったんだね。もう、ギルドたから安心だよ」

そうだった。俺はこの娘、レイナ・ペングラムに助けられたんだった。

「……一応、礼は言っておく?ありがとう」

一応、命の恩人であるから、レイナにお礼をする。

「あれ?シャルルは?」

シャルルが居ないことに気づく、もしかして、置いて来ちゃったか?

「安心しなさい。今、クエストの報告に向かっているわ。貴方を探しながらリザードトカゲを全部討伐しちゃったらしいわ」

マジかよ。でも、これでクエストは、クリアなのか?

「貴方は気絶しちゃったけど、貴方の家臣がクエスト達成ということで、二人とも合格にしてあげる」

「それじゃあ、ギルドには?」

「ようこそ、ギルド【蒼天の義勇】へ、これから、よろしくね。」

リンファは、手を差し伸べる。

「よろしく頼むよ」

俺は、リンファと握手をするのだった。


「おめでとう。私と同じギルドだね。何かあったら、言ってね?」

レイナは、笑顔で笑う。

「よろしく」

「ところで名前、教えて?」

「あら?レイナ、まだ知らないの?」

「さっき、聞いたら、マオ・テンペスト魔王だって、たぶん怖くて頭が混乱してたんだと思う。だから、本当の名前教えて?」

それを聞いて、リンファは、笑いだす。

「リンファ?なんで笑うの?」

「いえ、ごめんなさい。レイナよく聞いて、貴方が助けたその男は、魔王…マオ・テンペストよ」

少しの沈黙を経って

「でも、弱いよ。魔王だなんてありえない」

レイナは、信じようとしない

「でしょうね。今は、人間になってしまったそうよ。アレクセイ叔父様からも聞いたから間違いないわ」

「パパが?……ねぇ」

レイナは、俺をまじまじと見て

「本当……みたいだね。一度、戦場で見た。面影がある」

「だから、言っただろう。魔王だって、元だが」

「そう。なら……」

レイナは剣を抜こうと構える。

「ここで討ってもいい?」

俺を今にも、亡き者にしようとするが、それをリンファが止める。

「ダメよ。レイナ」

「でも、魔王が目の前に」

「ダメ。叔父様から言われてるのよ。元魔王と共に新たな魔王……サタンを討伐せよ、と」

「サタン!?……ねぇ、サタンが魔王って本当?」

レイナは問いかけてくる。

なんだ、こいつサタンを知っているのか

「そうだ。あいつは、俺を魔王の座から引きずり下ろし今は魔族の魔王となっている。お前、あいつ嫌いなのか?」

レイナの問いに答えた。

「うん。大嫌い、サタンが、魔王だなんて虫酸が走る」

……何かあったのか?めちゃくちゃ敵意丸出しだぞ。

「まぁ、奴は結構自分勝手だからな。俺の命令も無視するし」

部下に無視されるって、俺、魔王なのにヤバイよな

だから、下克上されるわけだ。


「ねぇ、元魔王さん、アスタール平原での戦争覚えてる」

【アスタール平原の戦争】

確か、サタンの奴が俺の許可なく始めた戦争だ。

様々な、薄汚い罠でたくさんの魔族、そして人間も犠牲になった。

「あぁ。あれは酷い戦争だった。今でも覚えているよ」

あの時、俺とアレクセイが戦争に割り込まなかったら両陣営もっと被害が出ていただろう。

「あれは、貴方の指示だったの?」

「違う。サタンの独断だ。でも、サタンの企みを気づけなかったのは事実だ。俺のせいでもある」

「そう。違うならいい……それに、一度魔王だった、貴方を見たときあまり悪いようには見えなかった。」

正直、戦争は嫌いだった。

魔族も人間も死ぬのは嫌だし、できれば、人間とは共生できないかと思っていた。

しかし、下手にでれば、我ら魔族は人間になめられてしまう。

お互い、領土を守るため。

仕方なく、戦争していた。

だが、アレクセイと話し。実は魔族と人間が共生していく方向で話が進んでいた。

そこに、サタンの反逆。

俺は、魔王の座を奪われ、共生の道も断たれた。

アレクセイも人間と魔族。
共生の道を行くと見越し、勇者の力を娘に譲ったのであろう。


「そうなのか?」

「うん。私は見たの魔族の誰もいないとこで人間を助けていたところを」

……見られていたのか。

確かに戦争はしていたが、魔族、人間と助けられる命が目の前にあれば、俺は誰であろうと助けていた。

「よく、気づいたな」

「うん。それで、魔王…マオ・テンペストはあまり悪い人じゃないんだなって思ってた。パパとも仲が良いし」


そして、続けてレイナは


「ねぇ、元魔王さん。今日から蒼天の義勇のギルドメンバーでしょ?なら…」


レイナは手を差し伸べ


「新たな魔王サタンを討伐するため、協力……パーティーを組もう?」


勇者、レイナ・ペングラムは
元魔王、マオ・テンペストに提案するのだった。




次回第9話~宴会~








 
 

 
後書き

次回第9話~宴会~

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