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ヘタリア学園

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第三百八十六話  お花に気付いて

第三百八十六話  お花に気付いて
 暫く日本とイタリアは二人で和歌を作っていました。日本がイタリアの和歌を見て言います。
「お見事です」
「そんなにいいかな」
「はい。御自身のお気持ちをはっきりと表わされていますね」
「僕のお家の詩ってそうなんだ」
 こう日本に答えます。
「それでなんだけれど」
「それでいいと思いますよ。イタリア君はイタリア君ですから」
 自分の流儀とは違うのですがイタリアのやり方も認めています。
「いい歌です」
「有り難う」
「ところでイタリア君」
 日本はイタリアを褒めた後でまた彼に声をかけてきました。
「お茶にしませんか、ここで」
「お茶なの」
「はい。喉が渇きましたので」
「そういえば」
 日本の言葉で自分もそうなのに気付きました。暫く和歌を作っていてそれで喉が渇いてしまっていました。
「僕もそうだよ」
「それではあちらで」
「わあ、凄い奇麗」
 日本が指し示した場所は藤の木の下でした。紫色の葡萄にも似た花が木から垂れ下がってまるで夢の様な風景です。さっきも見ましたがそれでもやっぱり奇麗です。
「あそこの席で。どうぞ」
「そうだね。それじゃあ」
 日本の言葉に従ってその藤の木の下に向かいます。目の前のその花を見ながらイタリアは。日本と一緒に緑色のお茶を飲むのでした。緑と紫。二つの世界が彼を優しく、静かに包み込んでいました。


第三百八十六話   完


                            2008・10・10
 
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