八条学園騒動記
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第五百六十一話 ホームルームにおいてその二
「どういう喫茶店よ」
「推理小説や漫画を沢山置くんだ」
テンボが答えた。
「それで喫茶店をやるんだ」
「そうしてなの」
「喫茶店をすればな」
それでとだ、テンボはそのドヤ顔で話した。
「絶対にお客さんが来るわよ」
「満員御礼間違いなしよ」
ジャッキーもドヤ顔で言ってきた。
「もうね」
「それは推理研究会でもしないか」
ダンはドヤ顔で語る二人にこのことを問うた。
「推理部だったか」
「今は推理部だ」
「名前は何時でも変わるわよ」
八条学園では部活と同好会の違いは名前位でしかない、だからその時によって変わったりもするのである。
「そんなのはね」
「大した違いじゃないだろ」
「そうだな、それであらためて聞くが」
ダンは二人にさらに聞いた。
「推理部でもしないか」
「ああ、するぞ」
「その方針で決まったわ」
二人はダンにドヤ顔のまま言った。
「推理部の出しものは喫茶店よ」
「推理の本を優雅に読みながらな」
「いいでしょ」
「それでうちのクラスでもしないか」
「被るじゃない」
ロザリーは二人にこのことを指摘した。
「だからね」
「駄目だっていうのか」
「それだと」
「そうよ、まともなお店だけれど」
内心この二人が言うこととは思えないと思いつつ言った。
「それでもね」
「駄目か」
「そうなのね」
「被るとお客さん来ないわよ」
「推理部がやるなら勝てないよ」
トムも二人に言ってきた。
「あそこが本場だしね」
「俺達の蔵書じゃ駄目か」
「それ全部持って来るつもりだったけれど」
「映画やドラマも流してな」
「それでって思ったけれど」
「だからそういうのも推理部やるよね」
トムは冷静に指摘していった。
「やっぱり」
「推理部の映画やビデオも多いしな」
「もう連合中のがあるわね」
「二十世紀のもあるしな」
「ホームズもポワロも明智さんもね」
「だったら絶対に推理部に負けるから」
それでというのだ。
「したら被るし負けるよ」
「そうなるか」
「勝てないのね」
「うん、やっぱりやるからには繁盛した方がいいよね」
トムはこのことも話した。
「だったらね」
「しない方がいいか」
「推理喫茶は」
「ちょっとね」
トムは穏やかな口調で話した。
「その方がいいよ」
「そうか、じゃあ俺達の案は引っ込めるな」
「そうするわね」
「そういうことでね」
「あれっ、二人にしてはあっさりね」
ナンシーはこのことに驚いた。
「随分と」
「うん、じゃあね」
今度はジョルジュが言ってきた。
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